表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part1-出会い
4/215

その1-04

「ちょっと、ヤボ用で」

「ヤボ用?どんな?」


 うん? と少し笑った廉は自分の席に戻って行き、まず椅子に座り直していく。


「朝礼にはいたんだろう? 一緒に並んだもんな」

「そうだね」

「だったら、朝礼を抜け出したのか?」

「まあ、そういうことになるね」


「なんで? なにかあったのか?」

「大したことじゃないよ」

「確かに、女生徒を連れ出して朝礼をサボるくらいは、大したことじゃないさ」


 廉の後ろから会話に混ざって来た二人組みが、廉のすぐ横の机に寄りかかるように立った。


「女生徒を連れ出した? 廉が? どの女生徒? なんで? 朝礼の時に?」

「龍ちゃん、質問ばかりで、答える暇がないんだけど」


 溜め息がちに、龍之介のすぐ隣にいる男子生徒が龍之介の頭をなだめるようにした。


「あっ、ごめん。だって、廉が朝礼抜け出した、って言うから」

「そうだな。女生徒を連れて、颯爽と消えて行ったのは見えたけど」

「女生徒?誰?」

「さあ」


 二人組みが揃って肩をすくめるようにするので、龍之介の眼差しがまた廉に戻された。


「さあ」


 廉までも同じように肩をすくめてみせるのである。


「知らないの? 知らないのに、一緒に抜け出したって?」

「抜け出したんじゃなくて、気分が悪そうだったから、保健室まで連れて行っただけだよ」

「そうなのか? ――なーんだ。廉が女生徒と一緒に抜け出すなんて、誰かと思っちゃったぜ」

「別に、刺激のあるような話でもなんでもないんだけどね」

「なーんだ。そうだったのか」


 残念、と明らかに言いたげなその顔が、少し口を尖らせていく。


 くすっと、少し笑った廉は隣の二人に視線を向けて、

「随分、目がいいようで」

「まあ、それくらいは」

「そうそう。壇上からだったら、結構、何でも見えるしな」

「でも、全然、反省してる様子がないな」

「ああ、でも、一応、保健室に行ったという理由があるから」


 飄々とそんなことを口にする廉に、二人はちょっとだけ口元を上げていた。


 龍之介の隣にいる男子生徒は、この学校の生徒会長を務める大曽根(おおそね)(つかさ)である。その隣は、副会長を務める井柳院(いりゅういん)一真(かずま)だった。


 大抵、高校程度の生徒会など大した用を成さないものが多いのだが、ここ私立暁星(ぎょうせい)学園では、生徒会がかなりの実権を与えられていて、生徒に関する事柄はほぼ生徒会が運営していると言っても過言ではなかった。


 超進学校のトップに立ち、これだけの人数をまとめ、その運営を任されている生徒会の一員になることは、これからの将来にも箔が付き、有名高校である暁星学園の歴代の生徒会の会員は成績優秀、品行方正の名でも知られている為、将来お偉方になるであろう生徒達にとっては、もってこいのエリート育成所だった。



読んでいただきありがとうございました。

ブックマーク・評価★で応援いただければ励みになります!どうぞよろしくお願いいたします。


別作品で、異世界転生物語も書いています。どうぞそちらの方もよろしくお願いします。

https://novel18.syosetu.com/n6082hj/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングタグ、クリックしていただけたら嬉しいです (♥︎︎ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
小説家になろう 勝手にランキング

大人になってもはちゃめちゃ恋愛物語『やっぱりやらねば(続)』は大人の恋愛編です。
やっぱりやらねば(続)(18歳以上)

別作品で、“王道”外れた異世界転生物語も、どうぞよろしくお願いいたします。
奮闘記などと呼ばない(18歳以上)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ