その6-05
ブックマーク・評価★・感想などなど応援いただければ励みになります!どうぞよろしくお願いいたします。
今日は成人の日だったんですね。SNSのポストなどで読んで知りました。遅くなりましたが、新成人の皆さん、おめでとうございます!
Congratulations for today and Best wishes for all your tomorrows!
「そんなに急がなくても時間は十分にあるんだけどね。でも、遠回しも嫌だろうから本題に入ろうか。青森のどこから転校してきたの?」
「公立高校」
「そうだってね。でも、おかしいよな。“柴岬藍羅”っていう生徒の登録なんか、残ってないんだけど」
「へえ、そう」
「そう。青森のどこに住んでたの?」
「青森市」
「なるほど。“柴岬藍羅”って本名?」
「さあ」
「ふうん。だったら、この登録されてる住所は自宅なのかな?」
アイラの口元が薄っすらと上がっているだけで、それには答えない。
「おかしいなぁ。そう思わないか? どうして鈴鹿署の住所が自宅になってるんだろう?おかしいよね」
「随分、手際よく調べ上げたようで。それもこんな短期間で」
「まあ、それくらいはお手のものでして。君は何者かな? どうして、この学園に来ているんだ? ――龍ちゃんのように話をそらそうとしても、ダメだよ。俺達には通用しないだろうから」
にこやかなくせに、念を押すことは忘れていないらしい。
「別に、話はそらしはしませんけど」
「でも、話をする気もないんだ。困ったね。大騒ぎして欲しい?」
「さあ」
「ふーむ、君はなかなか手強いね」
「攻撃する駒が揃ってないんでしょう?弱味でもないから、質問続けるだけ無駄よ」
「そうだね。だったら、興味で聞くけど、ここで何をしてるんだ?問題になるようなら、俺も黙ってはいないんだけど」
「退学させる? 何を根拠に?」
「何でもいいだろう、この場合。俺は生徒会長だしね」
「そうね。学園を仕切る生徒会長さまだから、さぞ、信頼も高いでしょうね」
「そうだね。どうする?君を見張らせてもいいんだよ」
脅迫まがいのことをあっさりと口にしていながら、大曽根は全く悪気ない顔をしている。
「君に撒けるかな?」
アイラは腕を組んだまま少し考える様子をみせた。
「私にお茶のサービスはないわけ?」
つらっと催促されて、大曽根の瞳が細められた。
「それは、失礼。俺としたことが、女性にお茶も勧めないとはね」
スッと椅子から立ち上がった大曽根は、後ろの棚に歩いていって、そこで紅茶のポットにお湯を入れながら、棚から紅茶のカップとソーサーを取り出していく。
それを両手で簡単に持ってきて、アイラの前のテーブルに置くようにした。
「どうぞ。お茶も出さないとは、失礼しましたね。これで、のんびり話ができそうだ」
アイラは口元を微かに歪めて、勝手に紅茶のポットから紅茶をカップに注いでいく。
そして、優雅にそれを口に持っていき、
「今日は寒いわ」
「冬だからね。クリスマスも近いし、これから寒くなるだろう」
「そう」
「それで?」
「なにが?」
「お茶をサービスしただろう? その分は、説明程度はしてもらわないとね」
「そうねぇ。――でも、胡散臭いし、信用できないし、裏でなにしてるか判らないし。だから、無理ね」
紅茶をすすりながら、簡潔にそれを締めくくられ、アイラがにこっと笑う。
読んでいただきありがとうございました。
大人になってもはちゃめちゃ恋愛(?)の続編もあります。そちらの方もよければ観覧してみてくださいね。
やっぱり やらねば(続) https://novel18.syosetu.com/n7288hj/ (18歳以上)
別作品で、異世界転生物語も書いています。どうぞよろしくお願いいたします。
奮闘記などと呼ばない https://novel18.syosetu.com/n6082hj/