その6-04
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「生徒会役員以外でも出入りが許されてるんだ」
「今回は特別だよ」
中央の一つ席に座っている大曽根がにこやかに笑う。
こっちは一応目元が笑っている雰囲気を出しているが、それが余計に怪しすぎる。さっきから、アイラの“危険信号アンテナ”がピコピコと鳴りっぱなしだった。
「さあ、どうぞ、椅子に掛けて。今日はそんな特別なことじゃないんだ。転校してきた生徒に、学校での生活が馴染んでいるかどうか、ちょっと確認しておこうと思って」
「それは、随分、親切なことで」
アイラはそこに立ったまま冷たい目を大曽根に向けているだけだ。
どうやら、今日は相手もしらばっくれる様子はないようである。それで大曽根が更ににこやかに笑っていく。
「まあ、椅子に掛けて。長話になるかもしれないから」
「確認でしょう? さっさと済ませてくれません?生徒会長や副会長の貴重な時間を割いて、受験の邪魔はしたくないんで」
「もちろん、邪魔――なんてことはないよ。一人、一人の生徒のことは、生徒会も気を配っているものだから」
「まあ、いいから座って」
横に立っている井柳院がアイラの肩を押すようにして、そこの長椅子に座らせていくようにする。
アイラの冷たい視線が、スッと、自分の肩に置かれている井柳院の手に向けられていた。
「柴岬だっけ? 猫被るんなら、その目はやめた方がいい。大バレだからな」
「別に生徒会の前で猫は被ってませんけど」
「そうか? だったら、その攻撃的な目は、俺にケンカをふっかけてるのかな。これでも紳士なもので、女生徒に手を上げたくないんだ」
「へえ、手を上げれるの? そんな風には見えないけど」
アイラを長椅子に座らせた井柳院は、大曽根とは対に置かれている一つの椅子に腰を下ろしながら、薄っすらとその口元を曲げてみせた。
「柴岬、お前、そういう性格なんだ。だったら、話は早いな」
「本当に。手間が省けて、これは大助かりだ」
「それで?」
アイラの前に廉が、その左右に大曽根と井柳院。まったくどういう面子かどうかは知らないが、よくやってくれるものである。
アイラはスッと足を組んで、胸の前でも腕を組み出した。この面子を前に、全くものともしていない、かなり高慢――な態度とでも見て取れる感じだ。
おまけに、それを承知していて、わざとにそれを楽しんでいるようでもある。
「これは、これは。俺も君のような女生徒を相手にするのは、久しぶりかな」
「初めてじゃないのか?」
「まあ、そうとも言うけど」
「漫才してるんじゃないんでしょう?用はなに?」
端的に、淡々とそれだけを言いつけるアイラに、大曽根と井柳院の二人がおもしろうに互いを見やる。
読んでいただきありがとうございました。
大人になってもはちゃめちゃ恋愛(?)の続編もあります。そちらの方もよければ観覧してみてくださいね。
やっぱり やらねば(続) https://novel18.syosetu.com/n7288hj/ (18歳以上)
別作品で、異世界転生物語も書いています。どうぞよろしくお願いいたします。
奮闘記などと呼ばない https://novel18.syosetu.com/n6082hj/