その6-02
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それで、二人が改めて廉に向き直る。
「藤波君、随分、興味のある話だねぇ」
「二人で飲みに行って、おまけにその帰りは藤波君のマンションに泊まり込み、だなんて、手が早いなぁ」
「おまけに、あの柴岬藍羅ちゃんが“すごい”らしいし」
「どんな“すごい”なんだろな」
「龍ちゃんは、時々、不思議な形容をするから。うーん、本当に」
いつまでも白を切っている廉に、二人の口元に薄い笑みが浮かんでいく。
「やっぱり、未成年の飲酒は学校側としても問題になってくるから、ちょっとお話するべきかなぁ」
「そうなると、やっぱり、同伴の藤波君も一緒かな?」
そうだな、とわざとらしく揃って同意する二人はなかなかのつわものである。
「龍ちゃんは告げ口したんじゃなかったと思いますけどね」
「龍ちゃんはただの興味、だろう?告げ口――なんて、そんな下世話なことを考えるようなタイプじゃないし」
「ただの興味だろうな。素直だから」
「なんでも興味の沸く年頃なんだろうな。特に龍ちゃんは」
「なんで、そこまで隠すかなぁ、藤波君は」
「そうなると余計に怪しくなってくるけどな」
二人が諦める様子もなく、じろーっと廉を見やっている。
それで、仕方なさそうに廉は小さな溜め息をこぼして、
「会ったのは偶然だけど」
「ああ、じゃあ、その後が偶然じゃないんだな。なるほど」
「ただ、興味があって」
「そりゃあ、あるだろうね。なにしろ、一緒に飲み明かしたくらいだから」
「おまけに、泊まり込みだし」
いつまでもとぼけていても、この二人相手だと、勝ち目はないだろう。
廉がちょっとだけ向こうを確認するようにして、また仕方なく二人に向き直る。
「以前――龍ちゃんに話した、渋谷にたむろってる悪っぽいグループの話で――」
大曽根の顔が、スッと真面目になる。
「ああ――そっちの方に興味があったか」
ふーむ、と大曽根はちょっと顎をつまむようにして、
「だったら、やっぱりちょっとお話しとくべきかなぁ。偶然――で、会った感じでもないしな。藤波、特別にお前も生徒会室に来ていいぞ」
「へえ、それは寛大で。龍ちゃんは?」
「龍ちゃんは、まあ、受験勉強に専念してるのが一番だと思うんだが」
「確かに。わずらわしいことに首突っ込んでないで、勉強に専念するのが一番だろうな」
「二人とも、随分、大切にしてるようで」
それを言われて、大曽根はその瞳だけをちょっと細めるようにした。
「まあ、それなりには、ね。龍ちゃんもいい子だから」
「そう、言ってたような。あっちも」
へえ、と大曽根の瞳が益々不穏げに輝いていた。
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