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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part1-出会い
30/215

その6-01

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「へえぇ、そうか」

「ふうん。そうなのか」


 賑わった食堂内で、つい思い出した土曜の出来事を、龍之介が簡潔に大曽根と井柳院の二人に説明していた。隣で、廉は澄ました顔で一人ランチを食べているが、龍之介の前の二人――特に、大曽根の方はなんだか至極機嫌がいいようだった。


 なぜ、そんなに嬉しそうなのか龍之介にはよく判らなかったが、龍之介は一気に自分の食べていたうどんを流し込むようにして、


「それで、なんかな、柴岬ってすごい――って言うか、なんて言うか」

「そうかぁ。俺が知らない間に、なんだか、随分、話の展開が進んでるなぁ」

「おまけに、知らない間に、随分、仲良くなってるみたいだし」

「そうなんだ。俺も廉が柴岬と仲いいなんて、全然、知らなかったんだぜ」


 澄ました顔で座っている廉は、内心で、なぜそこまで話すのかな――と素直なままに龍之介が話すので、困ってしまう。


「それは、知らなかったなぁ」


 揃ってそれを口にする二人が、自然、その目を廉に向けて行く。


「知らなかったなぁ。そうかぁ、藤波君がねぇ」


 廉はそれでもまだ澄ました顔でご飯を食べている。


「藤波君も人が悪いな。俺達の仲なのに、そんなこと一言も話してくれないなんてな。別に、それでたくさんからかったりなんかしないのに」

「そんな隠し事しなくてもいいのにな」


 微かに口元を上げた廉はその二人の罠には釣られる様子もなく、まだ一人澄まし顔。


 それで余計に、大曽根の顔がにこにこと変わっていき、その笑顔のままで、大曽根がちょっとだけ龍之介に向いた。


「龍ちゃん、デザートのジュースなんて、買ってきてくれないよな」

「なんで?」

「いや、龍ちゃんのパワーなら今からでも購買のパンが買えるだろうし、やっぱり買収するには、それなりのものが必要だろう?」

「買収? なにを?」


 うん、とにこやかなまま大曽根が首を倒してみせる。


「いるじゃないか、ここに。買収しても釣られそうにない男が。でも、デザートのジュースに、まあチョコレートクリームとアップルパイ、それにチョココロネくらいあれば、少しは動じるかなぁ、と思ってね」


 大曽根の意味を理解しだした龍之介の顔が、おもしろそうに輝いた。それで、にかっと大きく笑ってみせる。


「そうか」

「これな。菊川、たくさん買えるなら、たくさんでいいぜ」


 井柳院が自分の財布から1000円札を取り出して、龍之介に手渡すようにした。


 そのお金を受け取るや否や、龍之介がスクッと椅子から立ち上がった。


「ほんじゃ、俺は行って来るぜぃ」

「ああ、いってらっしゃい」


 見送られているのに、龍之介はピューっと勢いよくその場から駆け出して行ってしまった。その後ろに砂埃でも舞い上がってしまいそうな勢いである。


「ああ、さすが龍ちゃんだ」

「さすが、校内No.1の俊足」


 龍之介の後ろ姿は食堂を抜けて、遥か彼方に消えてしまっていた。



読んでいただきありがとうございました。



大人になってもはちゃめちゃ恋愛(?)の続編もあります。そちらの方もよければ観覧してみてくださいね。

やっぱり やらねば(続) https://novel18.syosetu.com/n7288hj/ (18歳以上)


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大人になってもはちゃめちゃ恋愛物語『やっぱりやらねば(続)』は大人の恋愛編です。
やっぱりやらねば(続)(18歳以上)

別作品で、“王道”外れた異世界転生物語も、どうぞよろしくお願いいたします。
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