その5-06
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アイラはほんの少し呆気に取られていたようだったが、突然、ふっ、とその瞳が緩んで、その顔に微笑みが浮かんだ。
「龍ちゃんは、いい子だね」
「え?」
ふふ、と微笑えまれて、龍之介の顔がまたかぁ…と高潮する。
思っても見ない、突然の微笑みを投げられて、ドキドキとちょっとトキメイテしまったふがいない龍之介。
そんな所でトキメクなよ――とつい自分を叱咤してしまう。
「心配してくれてるの?」
「……やめた方がいい。薬なんかに手出すなんて、バカげてる」
「そうね。だから、心配する必要はないわ。何をしてるか、私も自覚してるから」
「自覚してるのに、薬使ってるのか?やめろよ、そんなこと」
「だから、言ってるのよ。自覚してるから大丈夫だ、ってね。薬は使ってないわ」
「使ってない? ――だったら、あれ――なんで?」
「東京は広い割に、世間は狭いのね」
理解ができなくて、龍之介の顔が、はあ?としかめられた。
その表情があまりに素直で、アイラがくすっと笑いを漏らしていた。
「龍ちゃん、いい子だね。なんでこんな男と友達なのか、不思議よね」
「こんな男は、余計だと思うけど」
「胡散臭い男は信用してないの。おまけに変態だし」
「その――変態、っていうのはやめてくれないかな。これだけ親切にされておいて、随分な態度だ」
「親切はありがたくもらっておくけど、変態なんてそこらにわんさかいるじゃない」
「俺はその一人じゃないんだが。変態扱いしないでもらいたいね」
「ジロジロ見ないでよ」
「それは、仕方がない。でも、悪意もなければ害意もないから、我慢するんだね。客観的な事実を述べただけだから」
飄々としてそれを答える廉に、しらーっと冷たい眼差しだけがまた返された。
「――ケンカ、するなよ。廉と、柴岬……そんなに、仲が良かったんだな。知らなかった」
ポソッと言われた最後の呟きに、アイラがいかにも嫌そうに顔をしかめてみせていた。
読んでいただきありがとうございました。
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やっぱり やらねば(続) https://novel18.syosetu.com/n7288hj/ (18歳以上)
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奮闘記などと呼ばない https://novel18.syosetu.com/n6082hj/