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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part3-アメリカ編
214/215

その14-03

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 それからすぐに、警察の車が一台走り込んできて、警察官が二人飛び降りて来た。


 ペラペラと、早口の英語でアイラから説明を受け、アイラが押さえている女を逮捕し、道路側で伸びている男も逮捕した。


 それから応援を呼んだのか、すぐに、二台目、三代目のパトロールカーがやって来た。


 珍しそうな光景に野次馬が集まり、その収集に、二人の警察官が野次馬達を押し返している。


 それで、事情聴取もできないからと、アイラ達三人は警察署に寄ってくれるよう頼まれてしまったのだ。


「なんなのよ、これ。帰る間際に、事件なの?」

「そう、だな……」


 目の前で誘拐事件に遭遇するなんて、初めてである。


「警察署に観光なんていう予定はなかったのにね」

「観光、じゃあ、ないだろう、さすがに……?」


「でも、アメリカの警察署に顔出すなんて、滅多にあることじゃないじゃない」

「そう、だけど、なあ……」


 この状況で、そこまで気楽な考えに持っていけるアイラには、龍之介も感服ものである。


 連れて行かれた場所は、街角の交番などではなく、バンクーバーにある警察本部のビルに連れて来られていたのだ。


 入場の登録を済ませ、エレベーターに乗って面接室のような場所に三人は招かれていた。


『コーヒーか、紅茶?』


 気軽に飲み物を勧められて、驚く龍之介の隣で、アイラと廉はいつも通り。「No、Thanks」とあっさりと断るだけだ。


 それから、気さくな警察官のおじさんを前に、事情の説明を促されて、一体、何があったのかと尋ねられる。


 何があったか?


 それは、龍之介の方が聞きたいものだ。


 突然、目の前で、小さな子供が誘拐されそうになって、アイラと廉が先に動いたから、犯人を捕まえることができて、子供も無事で、警察が呼ばれたのだ。


 その説明だけしかないので、事情聴取は簡単に終わっていた。


『君達は、日本人?』

『そう』


『そうか。俺ね、若い時、日本に遊びに行ったんだ。もう一度くらい、日本に行きたいなぁ』


 なんて、昔の休暇の話で盛り上がる警察官のおじさんで、アイラもおじさんに話を合わせてやるものだから、なんだか、その後は、日本の話で妙に盛り上がってしまった。


 おぉ、こんな体験も初めてである。


 念の為に、後で連絡を取るかもしれないからと言われ、アメリカに在住している廉のアドレスと連絡先は残してきた。


 アイラと龍之介は、ただの観光客。


 アイラは、日本人の血が混ざっているが、今はニュージーランドに滞在しているのに、話の内容では、日本在住の日本人、みたいな振りをしている。


 深く追及されないから、龍之介もそこら辺は指摘しない。


 警察官にお礼を言われ、にこやかに見送られた三人は、警察署を後にしていた。


「フレンドリーな警察官だったなあ」

「別に、警察官だからって、いつでも、厳つい顔で仕事してるわけないじゃない」


「まあ、そうだけどな。でも、なんで、真昼間から誘拐なんて……」

「そうね。普通じゃ有り得ないわね。目立ち過ぎるもの。でも、あの車の位置、最初から狙ってたようね」


「えっ、そうなのか?!」

「目的はあの子だったんじゃないの?」


「えっ、お金持ちかなにかだったのか?」

「そんなの、私が知るわけないじゃない」


「そ、そうだな……」

「偶然には見えなかったな」

「そうね」


 廉もアイラと同意見のようだ。


「なんでだ?」


「人一人を誘拐するなんて、簡単にできることじゃない。だから、狙いを定めたとしても、一目のつかない場所、人通りの少ない時間帯などを狙うはずだろう?」


「まあ、そうかもな……」


「それなのに、あんな大通りで、明るい真昼間から犯罪を犯すのは考えられない。あまりのバカでなければ」

「バカ、だったと、思うか?」


「さあ。でも、あれだけの大騒ぎになっていたのに、親が駆けつけて来ないところをみると、あの子供は、あの時間帯で、一人きりになることがよくあったのかもしれない」


「だから、狙った、って?」

「さあ。ただの憶測だから」


 でも、あんな切羽詰まった状態で、アイラも廉も、二人も、それだけの状況判断を済ませていたのだ。


「でも……アイラさ、さっき、警察署で、そんなようなこと、説明してなかったよな」

「当り前じゃない。ただの憶測だもの。それに、裏を調べるのは警察の仕事よ。素人が口出しするべきじゃないわ」


「そっか……。そうだよな」

「それにしても、旅の最後になって来ているのに、事件とはね」

「そうだよなぁ……」


「なによ。私がいるから事件に巻き込まれる、なんて言ってるんじゃないわよね」


「言ってないぜ」

「言ってないよ」


 だが、アイラの眼差しは冷たいものだ。


 アイラが、わざわざ事件に首を突っ込んで、問題を起こしたことなどないではないか。


 アイラが事件に関わっている時は、いつも、あの靖樹のせいで仕事をしている時だけだ。


 無言の圧力で、そう責められて、はは……と龍之介も取り繕ってみるが、ジロリと、アイラの冷たい眼差しは止まらない。


「いや、な……? アイラのせいだとは思ってないぜ。あんな事件なんて、普通、お目にかかることもないだろう? それに、アイラと廉がすぐに動いてくれたから、未然のまま事件解決にもなったもんな。すごいよな、アイラも廉も」


 その反応は龍之介らしいと言えばらしいので、アイラも簡単に降参していた。



読んでいただきありがとうございました。

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大人になってもはちゃめちゃ恋愛物語『やっぱりやらねば(続)』は大人の恋愛編です。
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別作品で、“王道”外れた異世界転生物語も、どうぞよろしくお願いいたします。
奮闘記などと呼ばない(18歳以上)
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