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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part3-アメリカ編
213/215

その14-02

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* * *



 無事にサンフランシスコの廉のアパートに戻って来た三人は、暇となっていた。


 お正月、開いているお店の数は限られていて、遊ぶ場所も限られている。


 何と言っても、世界中でお正月。

 お休みの日だ。


 でも、日本では、お正月からデパートやショッピングモールが開いていて、新年初セールもやっていた。


 皆さん、お正月から働いて、ご苦労様です。それから、ありがとう。


 でも、サンフランシスコでは、一日二日は連休でお休みの日だ。


 それで、時間を無駄にせずに、アイラと龍之介は、次の旅行プランを立てるのに余念なし。


 やはり、NYには観光程度でも、一度は顔を出したいものだ。NYの有名な場所で写真を撮らずして、アメリカに来たと言えようか。

 NYで数日。


 それから、シカゴにも数日寄って、そのまま国境を越えてカナダのトロントへ。

 ナイアガラの滝だって、もちろん、見物する。


 そこで数日、上に上がり、トロントで二日ほど、バンクーバーに飛び、二日ほどで、シアトル経由でアメリカに戻って来る。


 密度が濃くて、歩くのもたくさんで、やれることも、できることも、見る場所も、何でも挑戦した。


 三人の写真も増えて、龍之介のカメラの容量だって満杯になってきた。


「やっぱり、東側はフランス語が多くて、全然、分かんないや」


 トロントや、ケベック川ではフランス語が主要で、龍之介は更なる言語の問題にぶつかってしまった。


 アイラはちょっと喋れる程度で、レストランなどに入り、メニューを見れば、ある程度、料理の品物が分かる程度だ。

 廉も同じに。


 でも、龍之介にしてみたら、二人共、ちょっとだろうとフランス語が理解できて、「おお、すごいなぁ」と感動してしまっている。


 それから、バンクーバーに向かい、観光スポットを余念なく訪ねている。


 街並みも綺麗で、ウィンドウショッピングをしても楽しいものだ。


「えっ……?!」


 平和で、問題がなくて、楽しい旅行で――


 なのに、今、一瞬、龍之介の目の前で、繰り広げられた場面に、龍之介の頭の方が理解に追いついていなかった。


『きゃあぁ……!』

『うるさい、黙れっ――』


「ちょっと、龍ちゃん、ボケっとしてるんじゃないわよっ!」


 状況に全くついていけない龍之介の前で、アイラと廉が同時に駆け出していた。


 フードのついたトレーナーを着た男が、小さな子供を――連れ去って行く、正に、その瞬間だったのだ。


『レン、子供は任せたわよ』

『オーケー』


 車の中に子供を引きずり込もうとしている男の後ろを通り過ぎ、バンッ――と思いっきり、アイラが足で叩きつけるように車のドアを閉めていたのだ。


『いたっ――!!』


 肩が半分ドアに挟まって、ドアが閉じた衝撃で、フードを被った男がその場にうずくまる。


 それを見て、すぐに、アイラが運転席のドアを開けていた。


『なにやって――! ――きゃあっ! いたっ、いたっ――なにするのよっ――』


 アイラが手加減もなしに、運転席に座っていたもう一人――の女を、車の中から引きずり出したのだ。

 そのまま加減もなく、無情に、女を道路に放り投げる。


『なにするですって? こんな真昼間から、犯罪犯そうとしている女に言われたくないわね』


 地面に放り投げられた女が起き上がる前に、アイラの足蹴りが女の背中に入っていた。


 ヒールの高いブーツだ。

 それで、呼吸が一瞬止まり、地面に無様に顔を押し付けられたまま、首根っこにアイラの足が思いっきり強く乗せられた。


『ぐっ……!』

『……くそっ! ふざけんなよ――』


 肩を押さえながら、怒りの目を向けて起き上がった男が、アイラに手を伸ばす。


「おいっ、ふざけんなよ」


 だが、一気に正気に戻った龍之介が、その場に割り込んでいた。


 すぐに、男の胸倉を片手で引っ張り上げ、そのまま一気に背負い投げをする。


 コンクリートの道路に、ドシンっと、加減もなく叩きつけられて、あまりに痛さに、男の目が飛んでいた。


「なんだよ、こいつら」

「さあね。真昼間から子供を誘拐しようなんて、とんでもない下衆ね」

「誘拐? なんでだ?」


 そんなこと、アイラが知る由もない。


『ちょっとっ、ビデオなんて撮ってる暇があったら、警察を呼びなさいよ。ここで犯罪人を取り逃がしたら、ビデオなんてとってSNSに流しているあなた達のせいよ』


『えっ……?! そ、そんな……』


 何事だと、通りで集まって来た野次馬達は、皆、携帯電話を取り上げ、今の場面をビデオに撮っているだけだ。


 本当に、チャットやSNSのおかげで、世界中どこでもリアルタイムで衝撃のニュースをキャッチできる。


 だが、それと同時に、一番肝心な道徳精神が欠けすぎている。

 SNS発信に忙しくて、警察も呼ばないなんて、ふざけ過ぎだ。


『他人の不幸をビデオに撮って喜んでいるなんて、そんな人間の気が知れないわね』


 野次馬が集まって来て、アイラに冷たく指摘されると、そこにいた野次馬達が少しだけ携帯電話を下ろしていく。


 軽蔑の目を向けているアイラを見ないように、その場に立ち止まっているのに、少し横を向いて目を逸らし始めていた。


『レン、その子は?』

『呆然自失しかかってるね。親はどこだろう?』


 女の子を同じ視線の高さに廉が屈みこみ、その顔を覗き込んだ。


 小学生くらいの年齢の子供だろうか。

 今起きた事件が理解できなくて、あまりのショックで、呆然自失しかかっている。


『救急車も呼んだ方がいいだろう』

『救急車も呼んでよ』


 警察に電話をしたであろう一人に向かってアイラが叫び、こくこくと、その一人が大焦りで、また電話をかけ直していた。



読んでいただきありがとうございました。

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大人になってもはちゃめちゃ恋愛物語『やっぱりやらねば(続)』は大人の恋愛編です。
やっぱりやらねば(続)(18歳以上)

別作品で、“王道”外れた異世界転生物語も、どうぞよろしくお願いいたします。
奮闘記などと呼ばない(18歳以上)
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