表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part3-アメリカ編
210/215

その13-02

ブックマーク・評価★・感想・レビューなどなど応援いただければ励みになります! どうぞよろしくお願いいたします。

『キスしてたのか? アイラと?』

『それも――貪り合って?』

『さあ』


 廉の返答は、淡々としてる。


『なによ。ただの支払いじゃない』

『支払い? だったら、友達でも、あんなキスしてくれるわけ? 俺にもしてくれる?』


『支払いされるようなこと、したっけ? 私のキスはね、高いのよ』

『ええ? ――手当てしてあげたのに』


『セスのご飯、食べてるじゃない』

『それは、そうだけどね。残念だ』


 アイラはジョーダンのように肘をついてみせ、この上ないくらいの艶笑を、薄っすらと浮かべていく。


 冗談めいて喋っていたジョーダンの、その持っていたフォークとナイフの腕が、一瞬だけ止まっていた。


『私が欲しいなら、いつでも相手してあげるけど、それ相応のものがないと、私は満足しないの。パワーもスタミナも欲しいけど、その熱いハートも食べつくさないと、満足できないからぁ』


 斜めに顔を上げたその横顔に、微かに開いた口元が艶かしく輝いていて、それを見ているジョーダンの前で、アイラが、ちゅっと、投げキッスを送っていた。


『――……その誘いはすごく嬉しいんだけどね……。それと同時に、男の価値を試されているようでね……』


『別に、比べてないわよ』

『でも、試してる感じだ』


『それで?』


 全く懲りないアイラに、ジョーダンも完全に降参である。


『――そっちの友達は、パワーあるんだ』

『さあねぇ』


『――お前ら、セックスまでしてるのか?』


『品のない言い方ね。どうして、こうも下品な男が、揃いまくってるのかしらね。食事の席に、品がないわよ。ちゃんと教育されなかったの?』


『教育はちゃんとされたがな――』


 ケードは自分のナイフを握り直しながら、また食事を進め出した。


『あんたも――よくやるよな』


 セスも複雑そうなその顔を、まだ廉に向けている。


『まあ、抱き心地は悪くないんで』

『当たり前じゃない。こんないい女に触れられるんだから、感謝しなさいよね』


『すぐ威張るし』

『うるさいわね』


 途中で親切な通訳が切れてしまって、そこの会話を行ったり来たり見ていた龍之介は、ちょっと気まずそうにアイラに向いて、


「……なんの、話なんだ、アイラ?」


「ああ、ここの男達が下品だ、って言う話よ。欲求不満が溜まってるから、すぐ、下品な話に飛ぶのよねぇ。別に、龍ちゃんが気に欠けるほどのことじゃないわよ」


「そう……か?」

「そうよ」


『お前、今、俺達の悪口を言っただろう? 日本語が判らないと思って、余計なことを言うなよ、アイラ』


 ぷいっと、ケードにはそっぽを向いて、全く相手にしないアイラだった。


『……大したお嬢さんだよな、セスのイトコ殿は……』


『何度も言わせないでよね。私のこと全く知らない男が、下手に口出す方が間違ってるのよ。ヤケド程度じゃ、済まなくなるわよ』


『いや――まあ……、それも否定はしないけどね……。いい女だけど――大変だから……』


 それには、ケードもセスも、なんだか、ちょっと口をへの字に曲げて、顔をしかめていたのだった。


 あの兄弟は、一族でも有名である。


 可愛がり過ぎて、生意気に育て上げてしまった妹とて、その気の強さから言っても、一族の全員が、その性格を知っているものだ。


 甘やかされて育ったお姫様――と、冗談を言うのは、大抵、ほとんどの従兄弟達である。


 だが、その生意気な性格とて気にせず、偉そうだろうと、気が強かろうと、そんなものを全くモノとともせず、まさにその性格を地で行く本人が、口だけではなく、その偉そうな物言いのままに行動するのである。


 有言実行する本人の行動が、逆らうこともできず、口出しすることもできず、それで、男達が舌を巻いているのである。


 いつも見知っていた従妹の本性を初めて目にしたであろう――ケードとセスは、あの兄弟が育て上げたままの性格通りの妹が、まさか、これほどまでの器に育っていた――などとは、今回の事件に遭遇するまで、想像もしたことはなかっただろう。


 あの兄弟とて、アイラの本性――と言うか、本当の力――を知っているのかどうか、怪しいものである。


 口がうるさくて、少々、生意気な娘――だったら、まだまだ、ケードだって簡単に丸め込める相手だ。


だが、小娘ではなくて、一人前の女で、おまけに、その性格も強くて、その性格の強さ以上に行動力が並ではなくて、男一人を簡単に丸め込むことが容易にできる、その頭まで切れて、ここまできたら、到底、並の男程度じゃ、アイラの相手はできないことも、疑う余地はなし。


 カイリ達の願適ってか、極一般の男など、早々、容易く近寄ることもできないのではないだろうか。


『――お前も――大層な女に、育ったよな……』

『私のこと何も知らないんだから、口を挟むんじゃないわよ』


 認めたくはないが、ケードもセスも、



『いや――それは、そうなんだが……』



と、諦めたように独白を漏らしていたのだった。




読んでいただきありがとうございました。

一番下に、『小説家になろう勝手にランキング』のランキングタグをいれてみました。クリックしていただけたら、嬉しいです。


Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングタグ、クリックしていただけたら嬉しいです (♥︎︎ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
小説家になろう 勝手にランキング

大人になってもはちゃめちゃ恋愛物語『やっぱりやらねば(続)』は大人の恋愛編です。
やっぱりやらねば(続)(18歳以上)

別作品で、“王道”外れた異世界転生物語も、どうぞよろしくお願いいたします。
奮闘記などと呼ばない(18歳以上)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ