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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part1-出会い
19/215

その4-02

「英語はどうだった?」

「英語は、まあまあ、かな。廉にも教えてもらってるし。でも、数学がなぁ……。なんで、俺って数学に弱いのかな。化学も生物もすごいイケたのに」

「得意、不得意があるだろうさ」


「そうだけどさ……。男って、結構、数学系が強いはずなのにな」

「それも、人によりけりだろうよ」

「そうだけどさ……」


 益々、落ち込んでいきそうな自分に、龍之介はそこでちょっと長い息を吐き出して、気分一転するように、空を見上げていた。


「さあ、勉強するかなっ! やるぞー」

「その調子」


 学校前から出ている電車に乗って、廉と龍之介はドア側で立っていた。

 下校時間は生徒達が乗り込むので、電車も満員状態に近い。早めに席を取っている生徒で、椅子は埋もれかえっている。都心に出るまでは大抵立っていることが多かった。


「そう言えばさ、俺さ……見たんだ」

「見た? なにを?」

「柴岬」

「あの――女の子?」

「そう。2~3日前だったか、塾の帰りにチラッと見かけて……」


 その口調がやけに神妙で、珍しく龍之介が顔をしかめている様子なので、廉も不思議にその話に乗ってきた。


「それが問題?」

「問題――じゃあないと思うけど……、でも……」

「塾の帰りって、どのくらい?」

「終わったのは9時半過ぎだから、それから家に向かう途中だったから…10時過ぎかなぁ」

「それどこ?」

「渋谷の裏通りを横切ってる時だったんだ。それでさ――チラッと見た感じでは柴岬だったように見えたんだけど……」


 さっきから、龍之介にしては珍しく語調があやふやに濁っている。


「あの女の子じゃなかった?」

「いや――やっぱり、柴岬だったんだけどさ……」

「どうしたんだい? 龍ちゃんらしくないな。なにか問題があったんなら、話してみればいい」


 うーん、とまだ躊躇っているのか、考えている様子だった龍之介はちらっと周囲を見渡して、それから廉に近づくようにその顔をちょっと寄せてきた。


「あのさ……、柴岬かなって思ったんだけど、格好が違ってて最初はさ、気がつかなかったんだ。でも、あの背が高いから――ちょっと振り返ったら、やっぱり柴岬だったんだ。すごい……化粧して、別人みたいに見えたけど」

「女の子はお化粧をすると変わるから」

「そうだよな。それで、最初は気がつかなかったけど、そこでさ――あいつ、危ないことしてるんじゃないかな……」

「危ないこと?」


 その話の先は予想していなかったらしく、廉も少々声を落としてそれを聞き返していた。


「危ないこと? どんな?」

「どんな――って言われても、もしかしたら違うかもしれないんだけどさ……。――でも、なんかぁ……あれって、よくないことしてるような気がするんだ……」

「何を見たんだい? あの女の子が悪いことでもしてたのを、目撃したとか?」


「そういう……んじゃ、ないけどさ――。でも、なんか……ダメだと、思うんだ。俺はああいう奴らは避けてる方だけど、でも、ああいう奴らに関わるのはやめた方がいい」

()()()()奴? どんな奴?」


 龍之介はちらっと廉の顔を見上げ、少し顔をしかめたような表情をしてみせた。



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