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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part3-アメリカ編
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その7-02

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 その足ですぐに、ケードは自分の事務所に戻り、自分がいつも使っている信用のおけるPI(Private Investigator の略。Private Detective とも言う。私立探偵のこと)に連絡をつけていた。


『――今すぐに調べてもらいたいことがある。それも、できれば、今日中に』


 電話の向こうで、ふうんと、面白そうな雰囲気の相槌が返って来る。


 ケードは、なにかと、コキ使うことが多い。

 だが、その分の支払いはいい。雇用の扱いも、いい。


 支払いをぼったくられたり、仕事内容も明確でなかったり、威張り散らすだけの雇い主は大勢いる。

 だが、ケードの仕事は、いつも内容が明確で、仕事の指示も的確で、曖昧なことをしないし、させない。


『ベガスに飛んで――』


 まず初めに、探し出して欲しい人物がいるのだ。

 ケード自身が、その確認をしなくてはならないだろう人物が。


『もし、ベガスを発っていた場合、その後の形跡も頼む』


 相手からの相槌が返って来て、相手の方も自分でメモを取っているようだった。


『契約の確認はイーメールで送る』

『了解。ベガスでカジノに行く場合?』


 なにしろ、行先場所がラスベガスなので、人探しなら、大抵、カジノにも聞き込みをしなければならないだろう。

 その場合、ただ店内をうろついていても、話など聞けない。近づくなら、ある程度の出費だって必要なのだ。


『必要経費以内で。それ以上は、自持ち。俺には関係ないことだ』

『そうですか』


 ボーナスでも出るのかと、鎌をかけてみたが、今回はその様子がないらしい。


『午後には、俺もベガスに飛ぶ。今夜、落ち合うことができるだろう』


 それなら、一日の終わりに電話での報告を待つ必要もない。


『了解』


 それで、二人の電話は終えていた。


『さて――』


 今からラスベガスに飛んだとしても、今夜までに、一体、どれだけの情報が集められるだろうか。


 その情報次第で、ケードだって――警察よりも前に、“重要参考人物”となりかねない一人を掴まえておかなければならない。


『おい、一体、なにやってるんだ――』


 やはり、あの時、無理矢理にでも、呼び戻しておくべきだったのだろうか。


 いや、そんなことをしても、あの性格なら、理由がなければ、ケードの言いつけなんかに耳を貸さなかったことだろう。


 今、アメリカにやって来ていて、まさか、ケードの足元で、事件を起こしたのか、事件に巻き込まれたのか。


 黙って指を加えて眺めていられる状況ではないことだけは、確かだった。



* * *



 銃で撃たれたアイラの傷は、銃弾が貫通したほどの重傷ではなかった。


 横腹をこすって行ったから、肌が(えぐ)れて出血もしているし、傷口がまだ()(あたら)しい状態のままだ。


 アイラの赤い(ものすごく高い)ドレスは、ホテルに戻って来る間の住宅街で、ゴミの収集があったから、ついでに、誰かのゴミ袋の中に破れたドレスも一緒に突っ込んでおいた。


 朝食の場でも、龍之介はアイラの怪我を知らない。


 龍之介にいらぬ心配をさせたくないアイラの気持ちも分からないではないが、アイラの怪我だって、ただ絆創膏(ばんそうこう)を貼った程度で治ります、なんていう怪我でもないのだ。


 銃弾を受けただけに、傷口が炎症していないか、きちんと()てもらう必要があるのに。


 廉の心配を十分に理解していても、アイラは病院に行く予定も、気配もない。

 銃弾などでは、特に、警察の目がすぐに入ってしまう。病院側でも、理由がわからない銃弾の怪我など、すぐに、警察に報告が回されてしまうからだ。


「アイラ、食中毒は治ったのか?」

「治ったような、治ってないような」


「それ……どっちなんだ?」

「もう、下痢はしてないわよ」


「それ、は……うーん、治った? 治りかけてる、のかなぁ……?」

「たぶんね」


「まあ……、それなら、良かったけどな」

「あの匂いのきつい薬……」


「正露丸か? 効き目、抜群だろ? ものすごいお役立ちアイテムなんだぜ」

「まあ、そうだけど……」


 ただ、アイラはその手の匂いに慣れていないから、最初の時は、その匂いだけで、少々、吐き出してしまうかと思ったほどだ。


「廉も使ったことあるのか?」

「いや、俺はないよ。でも、家には、常備薬のように、一応、一瓶はあったかもしれない」

「そっか。でも、すごい効き目がいいから、やっぱり、一家に一瓶? なんてな」


 そんな朝食の席での会話も終わり、全員が部屋に戻って来ていた。


「今日は、グランドキャニオンが見たいわ。予約してないから、即日だと、結構なお値段みたいだけど」

「まあ……それは、仕方がないよな。それに、クリスマスを終わって、冬休みとかで旅行に来てる人もいると思うしな」


 観光シーズンではないかもしれないが、それでも、お正月に近付いていき、休暇で移動する人もたくさんいるだろう。


「バスに乗って、グランドキャニオンまで歩くっていう手もあるし、移動もなにもかも高いなら、ヘリコプターでグランドキャニオン付近まで行くやつもあるわよ」


「俺としては、歩いて、グランドキャニオンをしっかり覗いてみたい気もするんだけどな。でも、ヘリコプターに乗ったら、全景が見られて、そっちも壮大で、すごそうだなぁ」


「そうねえ。私はヘリコプターかしらぁ。空の旅って、いいんじゃない~?」

「おお、いいなぁぁ~」


「じゃあ、値段比べて、予約が取れるか確認次第ね」

「おお、そうだな」


「レンは、バスツアーね。私は、空の旅」


 龍之介は英語が苦手だから、英語のウェッブサイトで検索するのは、到底、無理がある。


 結局、報告結果では、バスで行くのが安くはあるが、移動で数時間、歩きで数時間以上を費やすことになるので、値段がお高でも、今回は空の旅、ヘリコプターでグランドキャニオンへ!


 丁度良く、昼にかけて、ラスベガスからグランドキャニオンに出向く半日ツアーがあって、3人はそれに参加することに決定した。


 朝起きたのものんびりで、朝食ものんびりだったので、待ち時間も数時間とない。


 それで、のんびり支度を済ませ、ホテルまで迎えにやってきたツアー店の車に乗り込み、今日の観光開始だった。


 龍之介はヘリコプターに乗るのも、ヘリコプターのツアーに参加するのも今日が初めてで、浮き浮きと、いつでもビデオを撮れるように、携帯電話の空き容量を調節している。


 空の旅のツアーも絶景で、壮大な光景が目の前に繰り広げられ、赤く染まった峡谷の上を飛んでいくヘリコプターからの光景は、誰にも邪魔されないほどの素晴らしいものだった。


 全員、大満足でホテルに戻って来て、今日は、この間の食中毒事件もあり、今日はルームサービスで夕食を終える。


 移動が早い観光だったが、それでも、大満足の一日を終えていたのだった。



読んでいただきありがとうございました。

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Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)

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大人になってもはちゃめちゃ恋愛物語『やっぱりやらねば(続)』は大人の恋愛編です。
やっぱりやらねば(続)(18歳以上)

別作品で、“王道”外れた異世界転生物語も、どうぞよろしくお願いいたします。
奮闘記などと呼ばない(18歳以上)
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