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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part1-出会い
17/215

その3-05

「転勤で」

「へえ。じゃあさ、東京には大分慣れた? まだ来たばっかりなんだろ? 学校来るまで迷ってないよな。ここの学校、ちょっと都心から外れてるし。敷地が膨大に広いから都心なんかじゃ、建てられなかったんだろうけど。でも、なんでうちの学校?やっぱり、進学目指してるから?――まあ、大抵の奴は進学目指しだから、ここの学校に来るんだけど」

「進学目指しなの?」

「俺は――どこの高校でもいいんだ。大学に行ければ。ただ、うちの身内がちょっとうるさくて……」


 ふうん、と簡単な相槌を返したアイラはもらったパンを食べきっていた。スクッ、と椅子から即座に立ち上がって、


「これ、ごちそうさま。それじゃあ」


 止める間もなくその狭い隙間を抜けて、アイラはさっさと歩き出してしまった。

 あまりの素早さに、龍之介のなにか言いかけた行動がポカンと止まっている。


「ああ、逃げられちゃった」

「素早いな」

「本当に怪しいな」

「怪しすぎかもな。後ろめたさがあるな」


 ふーむ、とまた二人でそんなことを口にしている横で、龍之介は不可思議そうに顔をちょっとしかめてしまった。


「なんで、怪しい?」

「怪しいでしょう?あれは、ねえ」

「なんで?」

「だって、即効で逃げ去っちゃたじゃないか。質問されても、答えることもないし」

「話をいつもそらしている感じだな」

「そう――かな……」


 そうそう、と二人があからさまに断言するので龍之介は、手元のパンをちょっと見下ろしながら、

「なんで――怪しいんだろ」

「さあねえ。理由がないと怪しくはないだろう?」

「そう、だけど――。廉も、そう思うのか?」


「さあ」

「思わない?」

「さあ。俺はこの二人みたいに機転が利くわけじゃないから、そういうのは分からないな」


 つらっとして平気でそんなことを口にしているのは本心なのか、そうでないのか。


 前に座っている大曽根と井柳院の顔が、



「よく言うぜ」



としらーっと白い目を向けていたのは間違いない。



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