その2-02
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「俺は……、今夜は、もういいよ」
さすがに、二人の食欲についていけない廉は、夕食後はギブアップ。
「こんな風に、遊園地で一日中遊んだのは、すごく久しぶりだ」
「そうなのか? 廉は、〇ズニーランドに行ったことあるのか?」
「いや。今日が初めてだ」
「「えっ?!」」
龍之介とアイラが揃って、あまりの驚きに、目をパチクリさせている。
「えっ?! 今日が初めてなのか? アメリカに住んでるのに? 日本に来てた時は?」
「アメリカに来たのは、高校の時だから、休みの日とかは、わざわざ、ロサンゼルスにまでやって来なかったんだ。日本にいた時は、受験で忙しかったからね」
「あっ、そっか。でも、〇ズニーランドが初めてなのか、廉? それなら、もっと大騒ぎしていいんだぜ」
「いやいや。二人と遊んでるから、それで十分」
勢いある二人に挟まれて、廉だって、十分に楽しんでいる。
「レンが〇ズニーランド初めてなら、やっぱり、記念に、キャラクターグッズを買わないとね」
「いや……、それは遠慮しておくよ」
「遠慮することないわよ。ちゃんと可愛いの、買ってあげるから」
その可愛らしいキャラクターグッズを身に着けて、きっと、記念写真も撮ることだろう。
記念写真はいいとしても、その後、その可愛らしいキャラクターグッズを持ち帰り、一体、廉の家でどこに飾って置けと言うのだろうか。
結局は、置き場がなくて、物置の片隅にでも追いやられてしまうのに。
「こういうのは、気分に乗るものなのよ、レン」
「いや、今でも、十分に、気分に乗ってるよ」
大はしゃぎする二人に挟まれているのだから、その点は、全然、問題がない簾だ。
でも、きっと、アイラは有言実行するだろう。
いつものことだ。
明日は、もしかしなくても――一日中、全員でキャラクターグッズを身に着けて、パーク内を回るかもしれない。
ああ、それも、簡単に予想ができるものだ。
「おっ、始まったっ!」
噴水が上がり、虹色の光が当てられたたくさんの噴水が真っすぐに飛び上がる。
「おおぉっ、きれいだっ! 昼間見た時は、普通に見えたのに、噴水にイルミネーションが混ざると、迫力だぁ」
「あの後ろの、マッキーマウスがポイントよねえ。真ん中に、ドーンってあるじゃない?」
「確かに」
噴水が真っすぐ上空に飛び上がり、虹色だったのに、青色に、紫色に、オレンジに、カラーが変わり、その度に揺れて、噴水が踊っているかのようだ。
それから、煙っぽく光が分かれ、有名なキャラクターの1シーンが出てくる。
「これ、全部、ライトでやってるのかぁ?! すごい、本物みたいだっ」
周囲にいる観客からも、うわぁぁっ! ――と、拍手喝采が上がっている。
「ねえね、レン。高いお金出した甲斐はあったでしょう? 〇ニーランドなら、大人だって遊べるわよん」
「そうだね」
色取り取りのカラーが圧倒的で、次から次へと、色の世界が繰り広がって行く。
龍之介とアイラは目を輝かせて、大喜びだ。
廉も、その二人の楽しさに影響されて、寒い夜の光のショーは楽しんだものだ。
「レン、全部のキャラクター、分かってる?」
「いや。有名なのしか知らない」
「そうでしょうねえ」
龍之介とアイラが、お互いにキャラクターの当てっこをしているが、今の所、アイラが全勝である。
「全部、見たの?」
「そうねん。子供の時にも見たし、大人になってからも見たわよん」
ショーは20分ほどだったのだが、その間もでも、十分なほどに、次から次へとカラフルな光が、イルミネーションが混ざって、ショーが終わると、そこらで、観客からも拍手が上がっていた。
「冬は寒いけど、空気が凍ってる分、イルミネーションもきれいに見えるわぁ」
「いやぁ、すごいきれいだったなぁ!」
それで、二人の顔が廉に向けられる。
「きれいだったね。ああいうショーも、初めて見たよ」
「それで、エンジョイしたの、レン?」
「そうだね」
「そうだよなぁ。俺だって、すごいきれいで、感動したもんなぁ」
今日一日は、たーっぷり満喫した三人だったが、今のショーも、最高にエンジョイしたものだった。
「よしっ。最後の締めに、Electrical Parade を見ましょうっ!」
「おおぉっ!」
一日中歩き回ったのに、この二人は、まだまだ、元気である。
二日用のパスは、両方のパークを行き来できるように、追加分を少々払っている。
今日、一日は、アドベンチャー・パークで遊びまくったが、念の為、時間があれば、反対側のパークに行けるようにと、追加分だ。
そのおかげで、Electrical Parade を見る為だけに、反対側のパークに移動しても、問題はない。
アドベンチャー・パークは、さっきのショーで一日の幕を閉じ、観光客もゾロゾロと帰りだす。
アイラ達のように、パレードを見る観光客もかなり残っているようで、それで、そっちの団体に揉まれながら、ゾロゾロと、三人もものすごい行列の波に押されていく。
「さすが、ホリデーシーズン。イルミネーションがきれいだわぁ!」
反対側のパークに入る手前のお城が、全部、イルミネーションで照らし出されている。
暗闇なのに、辺り一帯を照らし出すイルミネーションが明るく、幻想的で、すごくきれいだ。
「やっぱり、記念写真よねぇ」
「もちろんっ」
記念写真を撮っているのは、なにもアイラや龍之介達だけではない。
そこらで、家族連れだったり、友達同士だったり、恋人同士だったり、いいスポットが空くのを順番に待って、次から次に、みんな写真の撮り合いっこだ。
アイラと龍之介の携帯電話を任せ、三人の記念写真も撮ってもらう。
背景のお城のイルミネーションが浮き上がって綺麗だが、人物の分は、少々、小さくなり過ぎのような気がするが、まあ、混雑している中で撮ってもらった写真なので、仕方がない。
メインストリートに入って行くと、すでに、ものすごい数の観光客でごった返していた。
「すごい、人込みだなっ……!」
ゾロゾロというより、ぎゅうぎゅうと押されて、動きが取れないまま、なんだか、前に進んで行く大波に巻かれてしまっているような感じだ。
あまりに人込みなので、アイラの両腕に廉と龍之介が。ここでお互いに見失ってしまっては、たぶん、ホテルに帰るまでは、見つけ出すことも無理で、探せない事態に陥ってしまうだろうから。
「結構、もう、皆、陣取ってるんだな」
「さすが、クリスマスイブよね。有名なパレードだから、誰だって、いい場所で見たいわよね」
「そうだけどな……」
龍之介は、自分の背負っていたリュックサックを前側で抱えている。これだけの混雑した人込みだから、バッグは後ろで背負えない。
アイラの両腕が塞がっているので、アイラの持ってきているリュックサックは、廉に持たせている。
廉はお財布程度で、いつも、荷物がなく、身軽な一人なのだ。
それで、今はアイラの荷物持ちだ。
アイラはブーツのヒールがあるから、普段から背が高いのに拍車をかけて、背が高くなっている。
モデル並みの高さと言っても過言ではない。
廉も背が高い。
二人は、人込みに押され、揉まれても、その背があるおかげで、それほどもみくちゃにはされていないようなのだ。
でも、龍之介は――はっきり言って、混雑した人込みにもみくちゃにされ、進んで行く間も、隣の人がぶつかってきて、前の人が邪魔になってと、ものすごい苦労している。
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