その1-05
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「じゃあ、3番目は?」
「3番目のホテルは、色々な部屋があるようだから、いいんじゃないかな。それから、近隣のホテルでもあるけど」
「クリスマスだし、豪華にするなら、今回は敷地内のホテルでいいわよ。ちょっとお高になっても、クリスマスパーティーだと思えばね」
「そう。二部屋――いや、一部屋でも、4人から6人は泊まれるようだ」
へぇと、廉も感心している。
やはり、テーマパークで遊園地。家族連れも多い中、部屋を別々では一緒に楽しめないだろう。
ホテルの部屋代だけで、破産しそうでもある。
「どうする? 一緒の部屋にする?」
「えっ……。それは、やっぱりさ……」
一応、成人している大人だし、男だし、友達とは言え、女の子と一緒の部屋では……。
「一緒でいいわよ。わざわざ、別にする必要はないじゃない。それに、マレーシアだって、一緒の部屋だったじゃない。龍ちゃん、今更、なに言っているのよ、バカね」
「あっ……。そっか。ファミリールームにしてもらったんだったよな」
「そうよ。着替えなんかは、バスルームで済ませればいいんだから、一緒の部屋だって問題ないわよ。それに、ほとんど一日中、外で遊んでるんだから、帰ってきたら、シャワーと寝るくらいじゃない」
「ああ、そっか。そうだよな」
「じゃあ、1ⅹクイーン+2xキングシングルとか、2xクイーン+1xキングシングルの折り畳みソファーか、2xクイーン+2xキングシングルが空いてるようだけど」
「私はクイーンで寝るわよ」
「わかっているよ」
マレーシアのリゾート地だって、アイラと美花の二人が揃って、大きなゆったりとしたクイーンベッドを、占領していたではないか。
「レディー・ファースト、でしょう?」
なんて、抜け抜けと口にして。
「値段が違うんでしょう? どのくらい?」
「折り畳み式の部屋が、一番安いけどね。それから、次に100ドルくらい上がるかな? 最後の、4つのベッドの部屋は、250ドルくらい上がるよ」
「そんなにっ!?」
さすがに、その話を聞いて、龍之介の目が飛び上がっていた。
「それなら、一番安いのでいいぜ。俺なら、折り畳み式のソファーベッドで、全然、問題ないもんな。アイラと廉で、ベッドで寝ていいぜ」
そして、親切な龍之介は、相変わらず、気遣いがある男だ。
「あら、そう」
そして、そうやって提案されたのに、一々、反対したり、意見を返さないアイラは、龍之介の親切をそのままもらう。
日本人の習慣で、頭が低く、腰も低く、社交辞令で親切な好意を提案してくれる場合もあるのだろうが、アイラは、わざわざ、そんな習慣に時間を潰したりはしない。
「あら? 初めから嫌なら、上辺っ面だけで取り繕って、意味のない好意なんて、見せなければいいのよ。口に出して、好意を見せてるんだから、わざわざ反対なんかしないわよ」
それで、相手がただの社交辞令だろうと、丁寧に謙遜していた態度だろうと、アイラは相手に反論させるような隙もなく、さっさと、その好意を使って行く。
「じゃあ、そのパッケージ予約してよ、レン」
「いつから? クリスマスのパーティーとして遊ぶなら、クリスマスイブにする?」
「いいわねぇ。それなら、クリスマスイブとクリスマスは、〇ズニーランドでお祝いだわ~」
「おおっ! それ、すごいいいかもな。俺も、クリスマスにそんなことしたことないぜ。日本のやつだったら、きっと、人込みで混雑していて、乗り物に乗れるところじゃないだろうしな。それに、大行列で、どこもかしこも、待ちぼうけのはずだから」
「たぶん、アメリカのだって、そうだと思うけどね」
「そうかもな。でも、二日続けてなら、そんなに慌てて乗り物に乗らなくても、のんびり回れそうだろ? クリスマスに、〇ズニーランドでお祝いなんて、豪勢だなぁ~」
早速、アメリカにやって来てすぐに、豪勢な遊びのプランができたではないか。
「飛行機は往復にする?」
「ロスに発つなら、そのまま、旅行始めちゃいましょうよ。のんびりバスに乗ってもいいし、列車でもいいし、ロスからなら、ラスベガスも行けるわよ。グランドキャニオンに立ち寄れるじゃない」
「あっ、それ、すごいいい案かも。ラスベガスも有名だよなぁ~。グランドキャニオンもさ。俺の友達で、一人、アメリカ旅行したやついて、グランドキャニオンを見て来たって言ってたんだ。やっぱり、「迫力があって、壮大な景色だったぞー」 って、自慢してたんだぜ」
「じゃあ、決まりね。片道だけでいいわよ、レン」
「そう」
話が簡単に決まったようなので、廉は空いているフライトも探す。
「あっ、廉――」
大慌てで、龍之介が止めるので、廉が不思議そうに龍之介を見返す。
「どうしたんだい、龍ちゃん?」
「あのさ、お金のことだけど――」
「ああ、今は俺のクレジットカードで払うから、支払いは後でいいよ」
「あっ、いいのか?」
「ああ、いいよ。でも、飛行機代は、クレジットカードで払いたかったかな?」
「いや……。それくらいは、現金で大丈夫だ。後で、お金が足りなくなったら、その時に、クレジットカードを使うつもりだから」
だから、龍之介だって、たくさん派手に遊びまくる為に貯めて来た資金は、ほとんど現金で持ってきている。
それが足りなくなり始めたのなら、クレジットカードで用足しをしようと考えていたから。
「アイラは?」
「私も現金でOKよ」
廉が自分のクレジットカードを取りに行き、飛行機のチケットも、〇ズニーランドのパッケージの予約も済ませていた。
「じゃあ、24日、朝早くに出るよ。フライトが8時だから、ここを6時半過ぎには出るかな」
「オッケー。俺は、全く、問題ないぜ」
「今年のクリスマスも、豪華になるわよん~」
なにしろ、一日中、かの有名な〇ズニーランドで遊びまくれるのだから。
ああ、アメリカ旅行企画。
初っ端から、楽しみである。
読んでいただきありがとうございました。
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