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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part2-マレーシア編
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Epilogue

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エピローグは二つ分のエピソードで投稿します。

「――こう言っちゃなんだけど、随分、奇妙な会話だったわ……」


 空港を後にして、また、市内に戻って来た場で、アイラがそれを漏らしていた。


「アイラの家族とは、大分、違うから。うちは、いつもあんな感じなんだ」

「それで、つまらなくないの?」


「いや。ただの近況報告だろう? 仲良しこよし、っていうのでもない」

「そうだけど……」


「うちは、いつも、あんな感じなんだ。だから、初めて、俺が――いや、俺と龍ちゃんがアイラの家族や身内に会った時に、あまりに勢いがあって驚いていたのは、今なら分るんじゃないか?」


 要は、アイラにとっては普通で、日常の習慣が、廉達にとっては全く違うから驚いた。


 そして、廉にとっては普通で、日常だと考えていた習慣が、アイラにとっては全く違っていた。


 だから、両方で驚いた理由が理解できるだろう、と言いたいのだろう。


「まあ……、そういう解釈も、あるだろうけどね」

「簾って、結構、早くから、自活してたんだな。すごいなあ」


「そんなことはないけど」

「そうかなぁ? そんなこと、あると思うけどなあ」


 今夜は、旅行最後の夜だ。


 それで、早めの夕食を取りながら、最高のスポットを陣取っている。


 実は、シンガポール名物のMarina Bay Sandsホテルの天辺にでも登って、あの有名なプールや、夜景を観覧してみたかったのだが、日没は6~7時過ぎになってしまう。


 マレーシアに帰る便を最終日にしたけれど、9時過ぎの最終便に間に合うように空港に向かうとなると、夜景を十分に堪能できる時間はなかった。


 それで、アイラと龍之介が頭を絞り、日没に向けて夕日が見えながら、夜景の最初の方も全景で見れる場所を探したのだ。


 それで、三棟が地上から突き出たかの有名なホテルに、近隣のアートミュージアムや、ガーデンパークの凝った建築物が見ることができる、反対側の海岸沿いのレストランを探し、そこを旅行最後のお祝い場所としたのだ。


 少し早めに来ただけあって、テーブルは最高のスポットで向かい側にあるホテルの全景が見える場所だ。


 夕食をのんびりと食べながら、段々と、外の風景も日が落ち始めてきているのだ。


 燃え盛るようなピンクが大地を照らし出し、全く揺れもしていない水面に反射する。

 空の方では、オレンジ色の空が真っ白な雲を抜け、そして、その色も水面に反射する。


 太陽の加減で、ある程度の時間は、ホテルが側は真っ黒に見えるが、それから、ポチポチと、周囲で、近隣で、夜用のイルミネーションが始まって行く。


「ああぁ、すごいなぁ。いい景色だ」

「最後を飾るには、最高ね」

「おうよっ!」


 レストラン・バー内で、アイラと龍之介は窓ガラス越しに、シンガポールの風景を写真に撮って行く。


「今夜で最後なんだなぁぁぁぁぁぁ」


 密度が濃くて、毎日が楽しくて、満喫して、アイラの身内や親戚にも会えて、パーティーもたくさんして、たくさん、たくさん、マレーシアのおいしいご飯も食べた。


 ここ三週間ほど、ずっと、アイラと廉と一緒に行動できた。


 去年、ニュージーランドに遊びに行った時も、それくらい、三人で一緒に過ごした。


 今年の年末は――どうなるか分からない。


「なんか……時間が過ぎるのが、アッと言う間だったなぁ……」

「そうね。楽しいことしている時は、特にね」


「このまま日本に帰るの、残念だなぁ……」

「ああ、それはあるかもね。まあ、今回は、アイラが招待してくれたから。だから、ありがとう」


 窓側に顔を張り付けるようにして写真を撮っていたアイラが、廉を振り返った。


「なによ。随分、しおらしいじゃない」

「今回は、個人の旅行に混ぜてもらったからね。それでも、たくさん遊ぶことができた」


「そうだよなっ。たくさん、色々な場所にも行ったし、色々挑戦したしな。アイラの家族にも会えたし、楽しかったよ。だから、アイラも招待してくれて、ありがとなっ」


 二人に向き合っているアイラが、少し首を倒しながら、少し瞳を細めたように笑う。


「こんな風に、自由に遊びまくれるなんて、学生の時くらいじゃない」

「確かにな。仕事が見つかったら、日本じゃ、こんなに長い休みなんて取れないんだぜ」


「そうでしょうね。だから、遊べる時に遊ばないで、どうするのよ」

「確かにな。今回も、遊びまくったぜぃ!」


「そうね。私も満喫したわ」


 それで、アイラが手を上げて、向こうにいたウェイターを掴まえていた。


『ねえ、全員で写真撮って欲しいんだけど』

『いいですよ』


 アイラが自分の携帯電話を、ウェイターに渡していく。


「最後の夜を記念して、記念写真しましょう」

「おう、それいいな。俺のも撮ってくれないかな?」


「携帯電話、手渡せば、撮ってくれるわよ」


 それで、龍之介が自分の携帯電話を見せたら、ウェイターは気兼ねなくOKのサインを出してくれた。


 テーブル越しではあるが、三人が、一応、真ん中に顔を寄せるようにして、最後の記念写真を撮っていた。


 夕日が沈みだし、周囲では暗闇を飾るネオンとイルミネーションが市内を照らし、水面を照らし、壮大で、華麗な余計が出来上がっていく。


「シンガポールって、観光客用なのかもしれないけど、建物がカッコいいよなぁ……。国際空港だって、すごいお洒落だったしな」


「確か――建築の賞を取ったはずだけど」

「そうなんだ。でも、それは、頷けるなぁ……。写真撮ってても、カッコイイ建物ばっかりだ」


「観光客に力を入れてるんでしょうねえ」

「そう言えば、双子はシンガポールに住んでたって、言わなかったっけ?」


「そうよ。子供の頃ね」

「アイラも遊びに行ったことあるのか?」


「一度だけね。すごい豪華なマンションなのよ。街のど真ん中の」


 へえええぇぇぇ、とその情報にも、龍之介は素直に感心している。


「あの二人、お金持ちなの?」


 廉もそんな質問を出していた。


「そうとも言うし、エリザベス叔母さんの両親が、結構、裕福でね。それに、ヨシヒト叔父さんの仕事の優遇が利いて、それで、住んでいた場所も、会社もちなんだもの」

「会社持ち? 双子のお父さんの仕事って、なんなんだ?」


「シンガポール・〇ラインのパイロットよ」

「ええええぇぇぇっ、すごいな、それっ!?」


 あんなに、にこにこと、優しそうな男性が、旅客機のパイロットなんて、すごい話だ。


 ジェットの飛行機を飛ばしている姿が、想像つかない。


「すごいなぁぁぁ!?」

「まあ、あれだけの親戚がいるから、それぞれの職業も、きっと、多種多様なんだろうねえ」


 ふーむと、それで、一人で納得してみせる廉だ。


「そうね。色々、よ」


 もう、それには、全くの反論がなかった。


 数も多くて、それぞれに個性的で、印象の強い“一族”だっただけに、パイロットがいても、きっと不思議はないのだろう。


「なんだか、この旅行に来て、もっと、アイラのことや、廉のことを知った感じだなぁ」


 友達でも、家族の話とか、身内の話って、その手の話題が上がってこないと、中々、出ないものだろうし。



読んでいただきありがとうございました。

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