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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part1-出会い
16/215

その3-04

12月26日は、実はBoxing Dayと言って休日なのです。

今年はクリスマス、ボクシングデイが土日と重なって、振り替え休日で月曜、火曜もお休みになりました。ああ、良かった…

「どんな字?」


 モグモグ、と勢い良くパンを平らげている龍之介も興味深そうに横を向いて、アイラを見やる。


「――柴に岬、です」

「芝生の“芝”?」

雑木(ぞうき)の“柴”です」


 ふうん、と大曽根が良く判らない納得をしてみせる。


「変わった字だな。じゃあ、あいら、はどう書くんだ? ――あいら、っていうのも変わってる名前だよな。変わってるから、つけられた名前?」

「――ええ」

「ふうん。どういう字で書くんだ?」


 前には生徒会長、横にはこの知りたがりの龍之介。反対には廉がいて、後ろは生徒で埋もれつくしている。どう取っても、今回は逃げ場がなかった。


「藍色の“藍”に、羅生門の“羅”」

「ふうん。それも、かわってるなぁ。俺なんか、龍之介だぜ。一人前に、男らしく――っていうんで、そうなったんだ」

「龍ちゃん、の方がお似合いですけど」

「それは――そうかもしれないけど――そうだけどさ。友達とかは、龍ちゃん、って呼ぶのが多いんだ。どうせ、ガキくさいから、そう呼ばれてるんだろうけど。――なあ、食べないと、休み時間終わっちまうぜ」


 すでに三袋目を開けている龍之介が、手を出さないアイラをせっついた。


「開けようか?」


 なぜ、そこで、そんなくだらないことを聞いてくるのだろうか。

 アイラは視線だけを動かして龍之介とは反対に座っている廉を、ちょっと睨め付けた。


「結構です」

「じゃあ、食べないの?」


 無表情ではあるが、忌々しげにアイラの眉間が微かに揺れていたのを、龍之介は見逃していた。

 ビリッ、と無造作にパンの袋を開けたアイラは、中身を取り出してそれを口に持っていった。


「これ――どうも。いくらです?」

「うまいだろ?お金は、別にいいぜ。購買は他のところより、断然、安いから。学生の味方、ってな」 


 そう、とおざなりな返事をしたアイラはもらったヤキソバパンをモグモグと口にしていく。これを食べてさっさと退散すべし――との強い態度が伺えるのである。


「どこから、転校してきたの?」


 食事を終えているのにまだそこに座っている大曽根は、動く様子もない。肘をついたまま、アイラをなんとはなしに眺めている。


「北から」


 へえ、とまた訳の判らない相槌を返す大曽根は、ちょっと首を倒すようにした。


「どこの北?」

「青森」

「青森なの? へぇぇぇ、すごいな。そんな遠くから、わざわざやって来たんだ。青森弁、喋らないの? でも、すっかり標準語だよな。なんで、転校してきたんだ?」


 どうして、隣の龍之介はいつも思い立ったらそのまま口に出して、質問攻めをするのだろうか。一気に思い立って、そのままに口に出して、特別、後先を考えていない口調だ。



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