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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part2-マレーシア編
158/215

その19-01

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 ペナンでの観光も終え、全員が、ペナンからクアラルンパー(注:日本読みでは、クアラルンプル)に戻って来てた。


 この旅行で仲良くなったウィリアムとマイケルは、クアラルンパーに戻って来たその夜、イギリス行きの飛行機が出るらしく、「じゃあな」と、簡単な別れの挨拶を済まし、二人は空港に向かった。


 短期間ではあったが、ウィリアムとマイケルとは仲良くなり、よく、一緒にも遊んだし、その過程で、色々な話もした。

 だから、別れになると、少々、寂しさが上がって来るものだ。


 特に、二人はイギリスに在住しているから、電話などで声はきけるかもしれないが、もう、たぶん、会うこともない距離で、間柄だ。


 龍之介達の休暇も、そろそろ、終わりに近づいてきている。


 クアラルンパーが最後の観光地の予定だったので、この観光が終えれば、また、それぞれに、自分の住んでいる国に戻って行く。


 クアラルンパーにやって来ると、アイラは、早速、ショッピングに出かけ、龍之介と廉から離れて自由行動だ。

 その日、一日は、ショッピングを満喫したらしく、ホテルの部屋に戻って、アイラを訪ねて行ったら、アイラの部屋は、ショッピングの紙袋などで溢れかえっていた。


「すごいな、アイラ……」


 ベッドの上にも、椅子にも、テーブルの上にも置かれた紙袋の山……。

 持っているおこずかいを全部使いきったような勢いでの、ショッピング三昧。


「これ……、どうやって、スーツケースに入れるんだ?」

「ほとんどは洋服だから、丸めれば、それほどの量じゃないわよ」

「ええ……? そう、かなぁ……」


 龍之介と廉は、ショッピングに興味がないので、その日は市内観光を済ませていた。


 その夜は、クアラルンパーでも、超高級レストランに入るレストランで食事となった。

 今回は――思ってもみないボーナスが出ただけに、奮発して、超高級レストランでも食事なったのだ。


 その為……、龍之介と廉は、またも、スーツを着る羽目になってしまったが……。


 生まれてこの方、超高級レストランになど行った経験がない龍之介は、レストラン内でも緊張し、食事中だって、粗相をしないように緊張しまくりだったから、食事がおいしかったのか、そうでなかったのか、あまり覚えていない。


「バカねぇ、龍ちゃんったら。ちょっと格式張っていようが、食事なんて、どこも同じでしょう?」


 その龍之介の様子に、あまりに呆れているアイラだ。


「いやいや……。そんなことは、ないと思うぞ……」


 やっぱり、雰囲気に呑まれる――とかあると思うし……。


 それで、デザートを待っている間、廉の携帯電話が鳴っていた。


 この休暇にやって来てから、自分達の携帯電話に電話がかかってくることなど滅多にない。


 龍之介だって、友達には、



「マレーシアに旅行に行くんだっ!」



と宣言してきたので、LIMEくらいのメッセージは来ても、電話は全くかかってこなかった。


 それで、廉の電話がなって、龍之介もアイラも珍しそうに簾を見ている。


「廉です」

「ああ、廉、久しぶりですね」


 電話の向こうでは、廉の――母親が電話をかけてきていた。


「ええ、久しぶりですね」

「確か――今は、マレーシアに旅行に行っていると、思いましたが?」


「ええ、そうです」

「そうですか。――実は、お父さんが、急遽、東京に戻ることになりまして、それで、ストップオーバーで、シンガポールに停まることになったんです」


 廉の耳に入って来る微かな雑音は、きっと、母が飛行機の中から電話をかけているかもしれないことを、思わせた。


 ガサガサと、機械音が混ざって、声が遠くに聞こえるのだ。


「廉は――まだ、マレーシアにいるようですから、せっかくですので、シンガポールで会うことはできませんか?」

「いつですか?」


「シンガポールには、明日の午後に到着する予定なのですよ」

「そうですか。俺は――問題ではありませんが、友人にも確認してみますので、ちょっと待ってください」


 それで、廉が携帯電話を少し押さえ、声を聞かせないようにしながら、興味津々で廉を見ている二人に向き直る。


「俺の両親が、明日、シンガポールにやって来るらしいんだ。それで、せっかくだからと、シンガポールで会えないかと、誘われたんだ」


「レンの両親? だったら、会いに行けばいいじゃない。シンガポールなんて、すぐ隣だもの」

「そうだよ、廉。廉のご両親って、海外に住んでいるんだろう? それなら、廉と会うのも久しぶりなんじゃないのか?」


「そうだね」

「だったら、せっかくだから、会いに行けよ。シンガポールって隣の国だから――そんなに、時間かかるのか?」


「それは、交通手段によるわよ。飛行機なら、一時間程度じゃないの?」

「そうなのか? それなら、すぐだな。やっぱり、新年の挨拶もあるだろうからさ、ご両親に会いに行くべきだよ。俺達のことは、気にするなよな」


「あら? 何言ってるの、龍ちゃんったら」


 龍之介の言葉に、アイラが意味深な眼差しを向けて来る。


「え? なにがだ?」

「私達だって、シンガポールに行ったっていいじゃない」


「えっ? 俺達が? でも、廉のご両親に会いに行くんだろう?」

「あら? 別に、うちらは、シンガポール市内の観光を続けてればいいだけじゃない。廉が両親に会いに行ってる間、邪魔もしないわよ」


「あっ――そっか」


 棚から牡丹餅……だったかもしれない。

 盲点である。


 別に、龍之介とアイラが、クアラルンパーに残らなければならないという理由はないのだ。


「それに、龍ちゃんだって、マレーシアのお金、全然、使い道ないじゃない。もうすぐ、日本に帰るのよ」

「そう、なんだけどな……」


 思ってもみないボーナスが入って、龍之介の懐は、マレーシアのお金で潤っている。


 だが、ショッピングもしないし、他に出費がなかったので、今は、そのお金は手づかずのままだ。


「そのお金で、飛行機代にすれば、話は簡単よ」

「あっ、そっか。それは、いい案かもしれないな」


「かもしれない、じゃなくて、いい案、じゃない」

「そう、だな。そっか。それなら――俺も、シンガポールに行こうかな?」


「そう。じゃあ、明日は、全員でシンガポールのようだ」

「俺達もいいか?」

「問題ないよ。両親は、午後にやって来る予定のようだから」


 急遽、旅行の計画変更だったが、思いもかけない、好機である。


 廉が自分の携帯電話に戻り、

「もしもし」

「ああ、どうでしたか?」


「問題はありません。友人も、明日は、シンガポールに行くそうですので、俺も便乗する形になります」

「まあ、そうですか」


「待ち時間は、どのくらいですか?」

「一応、5時間ほどと、聞いていますよ」


「では、空港で会った方が、簡単かもしれませんね」

「そう……かも、しれませんね。午後1時30分ほどで、シンガポールに到着する予定なのですけれど」


「わかりました。その頃に、国際空港の方に寄っていきます」

「そうですか。それなら、また、明日に」


 その会話は、そこで終わっていた。


「明日は、いつ、シンガポールに行く予定?」

「もちろん、朝早くから。観光するんだもんね」


「そう。だったら、今夜、オンラインでチケット取れるか確認してみるよ」

「あら、それはいいわよ。龍ちゃんは現金を使わないといけないんだから、少しお高になるけど、空港のカウンターでチケット買えばいいじゃない」


「俺はどっちでも構わないけどね」


 別に、廉のクレジットカードでオンラインのチケットを購入しようが、カウンターで現金を払おうが、廉にとっては大した問題ではない。



読んでいただきありがとうございました。

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