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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part2-マレーシア編
156/215

その18-06

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「なんか、若い学生っぽいのばっかりね」


 ホテルから歩いてやって来られたナイトクラブの店内は、ものすごいネオンが連なっていて、壁から、テーブルから、椅子から、ネオン尽くしだ。


 平日でも、まだ休暇が続いているのか、店内はすでにかなりの混雑を見せていた。

 それで、見渡す限り、アジア人の若い男女の団体が、お酒を派手に飲んで、宴会――以上の賑わいを見せていた。


 ライブDJの音楽がガンガンとなり、ステージでも賑わっている。


「すげぇ……轟音だな……」


 耳に直接響いて来る轟音に、龍之介も頭痛がしてきそうだ。


「リュウチャン、初ナイトクラブってことで、最初は俺がおごってやるぜ」

「あっ、それは、どうも」


 この髪の毛の色は――ウィリアムだった。


「じゃあ、次は、俺がおごってやる」


 それで、気前よく、マイケルも奢ってくれるらしい。


「ありがとう。でも、そんなに飲めないと思うけどな……」


 すでに、カウンター側に移動しながらでも、轟音に負けないよう、お互いに大声を張り上げているほどだ。


「まあ、若いのが一杯で、ナイトクラブって言っても、こんなもんかしら」

「なんで?」


「ヨーロッパとかのは、もっと派手だったわ」

「NZは?」


「NZは、ネオンはないけど、兎に角、ミュージックだけがうるさいわね」

「でも、行くんだ」

「そりゃあ、たまにストレス発散しなくちゃね」


 双子が龍之介のドリンクのオーダーをしている間、アイラの隣で、廉は派手な音楽を鳴り響かせているステージの方を、ただ、眺めていた。


 突然、アイラが、廉の肩に自分の腕を、ズシっと、乗せて来た。それで、寄りかかるように、その体重を乗せて来る。


 ハイヒールを履いているアイラだと、今夜は、横を向いた廉の目線と、アイラの目線が近い。

 それで、燃え盛るような紅の口紅を付けているアイラの口が、廉の耳に押し当てられた。


「どうせ、龍ちゃんのことだから、今夜は、ダンスなんてしないだろうけど、目を離さない方がいいわね」

「まあ、それはいいけど」


 廉だって、ダンスをする気はない。

 だから、龍之介のお守りで、側にいることに問題はない。


「君は?」

「私は大丈夫よ。これだけ着飾ってるんだからねん~」


「まあ、それだけ目立つ格好をしていたら、とてもじゃないけど、同一人物とは見えないね」

「派手に遊ぶんだから、当然じゃない」


 せっかく、ナイトクラブにやって来ているのに、派手に着飾らなくては、思いっきり遊ぶ醍醐味も薄れてしまうだろう。


 アイラの理屈はいつものことで、廉にも理解不能だ。


 だが、背の高いアイラは、モデル並みのスタイルで、おまけに、体にピッタリとしたドレスなど着込んでいるから、店内に入っただけで、すでに、そこら中の男達からの眼差しが向けられている。

 チラッ、チラッと、未だに、アイラを確認している男達もいる。


「君のことだから目立つけど、せめて、ウィリアムかマイケルを一緒に連れて行くんだね」

「その程度は、無視するわよ」


「無視しようが、言うことを聞く酔っ払ないなんていないだろ」


 アイラがまだ廉の耳元に唇をしっかりと押し付けているので、廉が、グイッと、アイラの腰を抱いた。


 それで、淡々としたまま、アイラの頬にわざと顔を寄せるようにする。


 端から見たら――仲良さそうにイチャついて、廉がアイラの頬にキスしているようにしか見えないだろう。


「もう、帰る日も近くなってる。これ以上、問題を呼ばなくてもいいだろう?」

「呼んでないわよ」


「呼ぶだろう、その恰好が」

「いいじゃない」


「忠告はしたよ――」

「――なっ、何やってんだっ、二人共っ……!?」


 両手にカクテルのグラスを持ってきた龍之介が、そこで叫んでいた。

 目を真ん丸に見開いて、その顔が真っ赤である。


「……なっ、なっ、なに、何やってんだ、二人共……!?」

「ただの虫除けだよ」


「虫除け? なんの虫除け? なにが? でも、なんで、そんな……風に、抱き合ってるんだよ。なにして……いや、いいけど……。でも……」


「龍ちゃんったら、イチャついてるトコ見たくらいで、そんなに動揺しなくてもいいじゃない」

「イチャ……いや、そんな見るつもりじゃないけど、でも……なんで? なんで、抱き合ってんだ?」


「だって、レンちゃんが、ワイルドなんだもの~。私を離したくないんだって」

「えっ、廉が!? なんで!? いや――それは、いいけど、いいけどさ……。でも、なんで……?」


 激しく自問自答して、激しく動揺しまくっている龍之介だ。


 毎回、このアイラにからかわれて、動揺しまくっているのだから、少しは進歩するか、多少は学んだりはしないのだろうか。


「ただの虫除けだよ。まあ、酔っ払いには効かないだろうけど」


 スッと、廉は何事もなかったように、アイラの腰から腕を外す。


「ドリンク二つも飲むんだ」

「え? いや、これは――廉の分だよ」


「俺の分?」

「そう。ウィリアムが最初のドリンクだからって、全員分、買ってくれたんだ」


「それは、どうも」


 せっかくなので、廉も龍之介の両手に持っているグラスを一つ受け取ることにした。


「私のは?」

「うるさいな。ほれよ」


 その態度を予想していたのか、ウィリアムがアイラの分のグラスを渡す。


「あら、ありがとん。さあ、龍ちゃんの初ナイトクラブを祝って、乾杯しましょう」

「いや、祝わなくていいんだけど……」


「いいから、いいから。ほら? 乾杯しましょう。――乾杯~っ」


 アイラがトースト(乾杯)するので、一応、龍之介もアイラのグラスに自分のグラスを近づけた。

 ウィリアムとマイケルにもグラスを当てて、やっぱり、廉にも乾杯する。


 全員が、最初のグラスのカクテルを口に含む。


「あっ、結構、さっぱりしてる」


 甘いのかなあ、と予想とは反して、柑橘系で、甘さも控えめで、夏の暑さにはさっぱりしておいしいカクテルだった。


「ねえ、それ何?」


 マイケルの手の中には、ラミネートされたメニューのようなものがある。


「料理も頼めるらしい」

「そうなの? じゃあ、夜食にオーダーしましょうよ」


 あれ?


 でも、今夜の夕食は、マーケットで、ものすごい量を平らげていてなかっただろうか?

 それも、アイラだけではなくて、双子だって揃って?


 これから夜食なんて、入るのだろうか。


「じゃあ、テーブル探そうぜ」


 料理を食べる区画は、ダンスやお酒が売っているバーからは少し離れた場所が区画されていて、そっちに向かうと、レストランとして利用しているようなお客が、料理を食べていた。


 チカチカと、目に眩しく、ネオンの光る椅子やら、テーブルやらを通り過ぎ、横にはゲーム機器のような台もたくさん並んでいた。


 六人席はなかったので、丁度開いている四人席を二つくっつけて、テーブルを作る。

 龍之介の隣には廉が、その向かいに、マイケル、アイラとウィリアムが座った。


「メニュー、何あるの?」

「アイラ、すごい食べるな……。夕食の分、もう、消化したのか?」


「これから、少し動けばいいだけじゃない」


 それで、興味津々で、メニューを確認するアイラだ。


「ピザ、結構いけそうだ」

「2~3個、頼めばいいんじゃねー?」

「この、ウナギドン、って怪し過ぎね。あんまり日本食には見えないわ」


 三人が頭を寄せて、揃いも揃って、好き勝手なことを言っている。


 それで、手を上げて待っていたら、ウェートレスがやって来て、ウィリアムが適当な料理をオーダーしていた。


 でも……、かなりの量に聞こえてしまったのだが……。


 ガンガンと、耳鳴りするほどの音量で、音楽が鳴り響き、ステージ側やダンスホールの方では、若い団体が、ごちゃ混ぜになって体を動かしている。


 こっちの食べる場所の区画の方では、派手なネオンがチカチカを目に眩しいほどだ。

 それで、ゲームの台のような場所に集まっている、女の子達もたくさんいる。


 きょろ、きょろと、物珍しそうに店内を見渡している龍之介の視線が戻って来ると、ウィリアムとマイケルの二人が、面白そうに龍之介を眺めていた。


「え? ……と、なに?」

「初ナイトクラブは、どうよ、リュウチャン」


「いや……すごいな、って」

「そうか?」


「結構、普通だけどな」

「普通じゃないナイトクラブって、あるのか?」


 そして、その質問をしてくる龍之介に、双子が笑いを堪えたような顔をした。


「異常なナイトクラブか?」

「そいつはすごいな」


「いや――そういう意味じゃなくて……。その、普通って、どんな普通なんだ? もっと、違う、ナイトクラブもあるのか?」


「あるぜ。サイズも、ミュージックも、内装も、全部違うやつ」

「そうなんだ」


 でも、やっぱり、龍之介は、日本にいたら、きっと、友達に誘われようが、ナイトクラブには顔を出さないことだろう。


 マイケルにせかされて、龍之介は始めの一杯目を終えていた。


 それで、次にはマイケルに奢ってもらったグラスを口にする。

 全員も、簡単に、二杯目に入っていた。


「ねえ。料理遅いのね」

「確かに」


 料理のオーダーが運ばれてくる前に、すでに、全員の二杯目は終えようとしていた。


「じゃあ、三杯目は私ね」

「あっ、俺は、もういいよ」


「大丈夫よ。ゆっくり飲めばいいじゃない。すぐに帰るんじゃないんだから」


 アイラは乗り気で、椅子から気軽に立ち上がっていく。


「レンは?」

「なんでもいいよ」


「あっ、そう。だったら、二人はどうするのよ」

「俺も行く」


 それで、マイケルが椅子から立ち上がった。


 アイラとマイケルの二人がカウンターの方に向かい、少し酔い始めて来た龍之介は、これ以上、お酒を飲めるか心配になってくる。



読んでいただきありがとうございました。

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