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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part2-マレーシア編
137/215

その15-01

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 靖樹のバカのせいで、今朝は朝早くから行動しなければならなくなってしまった。


 フェリー・ターミナルでフェリーを待っている間、そこで売られている軽食を買い込んで、モグモグ、モグモグと、味気のない朝食を済ます全員だ。


「ペナンって場所にはボートが出てる、って言わなかったか? フェリーでも行けるんだな」

「ボートはね、ジェットボートの小型のやつなのよ。だから、観光気分で移動できるのに、今回はフェリーじゃない」

「俺はどっちでも嬉しいぜ」


 フェリーと言っても、大型船ではない。ボートよりは大きくて、天板の上に立っていられる場所と、下に15人ほどが座れる椅子があるやつだ。


 今回は結構歩くかもしれない、ということで、龍之介も廉も、かなり久しぶりに靴を履いていた。スニーカーで、靴下も履くと、この常夏ではすぐに蒸れてきそうだ。


 アイラは髪の毛を後ろで縛り、縛った部分を帽子の止めの部分に通している。今日は、サマ―ドレスでもなく、Tシャツに、膝丈のカプリ、そして、いつもよりはヒールの低い、足首に留め金がすいたサンダルだった。


 廉も龍之介も帽子を被っている。

 珍しく、あの靖樹も帽子を被っている。


 こうなると、4人は観光客に見えるのだろうか?


 荷物も最小限にして、観光用にと持ち歩いているリュックサックを背負い、念の為に、一応、お金は2万円ほど持ち歩いている龍之介だ。


 アイラからは、そんなにいらないわよ、とは言われているが、一応、念の為。


 廉もリュックサックを背負っているようだったが、大した中身が入っていないのか、ほぼ鞄の外形がへこんでいる。


 フェリーに乗った一同は、朝の移動とあって、椅子が空いていたのでそこに腰を下ろす。

 龍之介はアイラと廉にお願いして、窓側の席で、清々しい海を観覧してエンジョイしている。


 廉は確認することがあるのか、フェリーの中では、珍しく、ずっと携帯電話を触っていた。


「龍ちゃん、今日はサンデー・マーケットがあるから、人込みでごった返してるはずよ。リュックは前にぶら下げて持ち歩くのよ」

「おうよ」


 人混みの中を進めば、必ず、ごった返している中で、後ろからスリにやられるはずだ、とアイラと廉からの二人に説明をされて、龍之介もちゃんと心構えをしている。


 だから、リュックサックは前でぶら下げる方がいいのだ、と。


「龍ちゃん、国際電話かけれるようにしてある?」

「一応な。言われた通り、電話会社に聞いてみて、やってもらったから」


「そう。それなら、何かあったら、すぐに俺に連絡して」

「おうよ。でも、そんなに心配しなくても大丈夫だけどな。アイラと廉だって、気を付けろよ」


「うん、ありがとう。俺は無茶する方じゃないから」


 その口調だと――アイラは無茶する方だから、と聞こえなくもない……。


「まずは、先に朝食でも食べましょう」

「え? さっき、フェリー・ターミナルで食べなかったか?」


「あんなの、お腹空き過ぎて、ただ摘まんだだけよ」

「そうなのか?」


「まあ、龍ちゃんはお腹一杯のようだから、ただ見てれば、私が食べ終わるのを」

「いやいや。俺も食べるぜ。このペナンって場所、“マレーシア一のご飯が出る”ってアイラだって言ってだろ」


「その通り。それをミスるなんて、勿体ないじゃない」


 例え、その用事が、ボケ靖樹の仕事の手伝いだとしても。


「いや、俺も食べるぜぃ。全然、問題なし」

「じゃあ、決まりね」


 ペナンに到着して、ランカヴィ・フェリー・ターミナルから繁華街に向かうのは、それほど遠い距離じゃなかった。

 一応、タクシーに乗って向かったが、すぐに混雑した通りが、あちこちに見えてくる。


「ここって、どこなんだ?」


「ジョージ―・タウンよ。ペナンでも有名な観光場所で、至る所にフードマーケットがあって、Flea Marketもあって、ローカルから観光客まで、うじゃうじゃ集まった場所ね。世界遺産にも登録されていたはずよ」


「へえ。フリー・マーケットって、なんでもタダなのか?」


 あまりに日本語の発音で「フリー」と出て来て、アイラも――一瞬、そこで理解不能。


「タダ、じゃないわよ」

「え? 今、フリー、って言わなかった?」

「それは、Free でしょ。Flea じゃないわよ」


 ああ……。

 きっと、アイラは日本人が大の不得意の“r”の発音のことを言っているのだな、とそこで龍之介も理解してしまった。


 アイラと龍之介の眼差しが、二人揃って、同時に、廉に向けられる。


 廉も少し溜息をついて、

「Flea Market は、日本では何て言うんだろうね。“Flea”は、日本語で、確か、“(のみ)”のはずだから、そのままで、“ノミ市”かな?」


「ノミ? ――って、ノミ? ――って、ノミ、だよな。あの、ちっちゃい虫のようなもんだろう?」

「そう。その、蚤((のみ)

「ノミ、って……え? 虫売ってんの?」


 さすが、龍之介の想像力。


 時々、廉でさえも、その想像力にはついていけないものがある。


「いや、そうじゃないよ」


 廉とアイラの反応を見て、龍之介がかなり頓珍漢なことを質問している気配は、龍之介も悟った。


 自分の携帯電話をポケットから取り出し、ピコピコと、〇ーグルサーチをする。


「――ああ、フリマのことなんだ。じゃあ、テントとか一杯出てて、面白そうだな。フリマって、“蚤の市”って言うんだってさ」


 へえ、と廉とアイラもそんな納得をする。


 フリマ、ねえ……。


 なるほど、カタカナ英語を日本語で略すると、そうなるわけねえ。


 誤解が解けたことで、龍之介もホッとする。


「すごいなぁ。そんなにたくさんのマーケットがあるんだ。――あっ、でも、遊びんで来たんじゃないしな……」


 今日は、アイラ達のお仕事で付き添ってきただけだ。


「別に、今はそんなの関係ないわよ。おいしいもの、たらふく食べるんだから。その後は別行動だし、龍ちゃんはストリートマーケットでも見てればいいのよ」


「いいのか、俺だけ……?」

「仕事をさっさと終わらせて、私だって買い物するもんね~」


 自信満々に言い切るアイラを見て、まあ……それならと、龍之介もお言葉に甘えようかなあ、なんて。


 ランカヴィからフェリーで数時間、まだお昼ではないが、お昼近くになり始めている。

 それで、通りが混雑してきたのでタクシーを降りた四人は、他の観光客らしき団体と一緒になって、流れるように(押されるように)同じ方向を進んで行く。


 すぐに、狭い通りに、所狭しと並んでいるテントが目に入って来て、テントを挟んだ通りは、すでに、人込みでごった返していた。


 かなり狭い通りで、それなのに、ものすごい数の観光客などが歩いていて、おまけに、ローカルの自転車乗りだったり、バイク乗りだったり、さすがに、それは無理があるだろう……、とその光景に、龍之介だって苦笑いが漏れてしまう。


「ここはね、Jalan Kuala Kangsar Morning Marketって言って、ペナンでも一番古いマーケットに入るんじゃないかしら?」

「良く知ってるな、アイラ」

「観光に来る予定だから、調べたのよん」


 それで、遊ぶ場所をチェックして楽しんでいたのに、バカ靖樹のせいで、観光より先に、くだらない仕事をしに来る羽目になった。


 ギロリ、とアイラに睨み付けられても、靖樹は完全無視。


 日本の祭りの屋台のようなお店もあるし、雑貨もあるし、お土産屋もある。

 そして、聞きしに勝る――輝かしいフードマーケットの数々!


 並んでいるお店の料理が、ものすごい量で、ものすごい数で、よだれが止まらない。



読んでいただきありがとうございました。

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