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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part2-マレーシア編
125/215

その12-05

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* * *



 昼食も終えのんびりホテルのビラに戻って来た一行は、ビラが建てられている当たりのすぐ近くの広場で、今夜のバーベキューパーティーの準備がされている様子を見つけていた。


 ホテルの係員がバーベキュー用のグリルとかを設置していて、他のスタッフが大きなテーブルなどを運んできている。


 外でパーティーを許してくれるなんて、寛大なホテルだなあ。

 でも、60人近くの宿泊客がいて、それも二週間近くも同じホテルにステイしているのだから、アイラの一族のおかげで、年末年始はかなりの大儲けのはずである。


 それなら、大人数で止まってくれているゲストのサービスはするだろう。


「これから部屋で待ってるなら、俺ちょっと海に行ってこようかなあ」


 その一言に、全員から呆れたような眼差しが向けられる。


「龍ちゃんって、毎回、毎回、この炎天下でも外に出まくりね」

「そうだな。俺はこういった暑さ、結構、大丈夫なんだ。それに、もう気温にも大分慣れたしな」


「あら、そう。まあ、龍ちゃんだから、スタミナありまくりなんでしょうけど」

「いやいや、そこまでじゃないぜ。それより、みんなはどうするんだ? 部屋の中で暇だろ?」


「ええ? 暑いから別に部屋でゴロゴロしてても問題ないわよ。まあ、そんなに暇だって言うなら、プールくらいなら付き合ってあげてもいいけど」


「そう言えば、あんまりプール行ってなかったな。じゃあ、プール行こうぜ」

「まあ、いいけど」


 龍之介ってパワーがあり過ぎ。余り過ぎ。


 でもまあ、パーティーまではまだまだ時間があるし、ちょっと日陰の場所でも探して、プールに浸かってるのも涼んで気持ちいいかもしれない。


「じゃあ、俺らも行くぜ」

「プールでな」


 双子も混ざって来るらしく、今日はパーティーまで適当にプールで一緒に遊べるようだ。


 それぞれに水着に着替え、ホテル側にあるプールで再開する。


 気軽なワンピースを落して、アイラが水着姿になると、龍之介は不思議そうに首を傾げてしまう。


「また、違う水着なのか、アイラ? 3着も持ってきてるのか?」


 この間、女性のファッションに関しては口出ししないように、とせっかくの親切心からアドバイスしてやったというのに、この龍之介、すっかりのそのことを忘れてやいなしないか?


 ギロリ、とアイラからは無言で睨み付けられるだけだ。


「龍ちゃん、その手のコメントは、ただ胸内でしまっておけばいいよ」

「え? そうか? ――いや、確か、前もそう言われたような気がする」


 気がするじゃなくて、そうやってしっかりとアドバイスと忠告もされたはず。


 さすが、考えるより先に口が出てくる龍之介。


 ホテルのプールは少し大きめの丸いプールで、その周囲にたくさんのパラソルやビーチチェアが並べられて、プールを囲んでいる。


 少しだけ日陰のあるアイラは端っこに寝そべってブラブラ浮いているだけだ。

 双子はさっさと一周泳いだようだったが、それからはただ端っこで水に浸かっているだけだ。

 これだと、本当にただの時間つぶし(そして、バーベキューの準備を押し付けられない為の作戦)だなあ。


 龍之介は元気が有り余っているだけに、それほど大きくはない丸いプールを何周もしている。

 ただ泳いでるだけなのに、一人、楽しそうで、楽しんでいて、グルグル、グルグル、とさっきからずっと回って泳いだまま。


『リュウチャンってよ、ホント、元気有り余ってるヤツだよなあ』

『確かに』


『レン、あんたさ、俺達と同い年なんだろ? 全然、リュウチャンとパワーが違うじゃんか』

『龍ちゃんのパワーと比べる方が間違ってるよ』


 あれだけ動き回って、走り回って、泳ぎまくっている龍之介は疲れを見せず。疲れ知らず、と言っても過言ではない。


『リュウチャン、裸になったら随分いい体してるんだな』

『そうそう。日本人の若いやつって、スポーツ系以外は結構筋肉ついてないの多いだろ?』

『そうかな? 人それぞれだと思うけど』


 それで、二人の視線が無言で廉に向けられる。


『あんたも悪くない体じゃん』

『そうかな?』


 それで、返事をしたのでもないが、無視したのでもない。


 ここしばらくアイラ達を一緒に遊ぶ機会が増えて、それで龍之介と廉とも一緒にいる機会が多くなった。

 それでも、この廉は今だに自分からは手の内を明かさないし、無口ではないのに、余計なことには自分から口を挟んでこないし、のらりくらりと質問をかわしているなんて、本当に抜け目のない男だ。


『君達、二人も、結構鍛えている体だな』

『まあまあ』

『それなりに』


 ふうん、と廉の相槌はそれだけだ。淡々として、興味があるようには見えないのに、一応、そんな質問はするらしい。


『アイラ』

『うーん? なあに~?』


 プールサイド端に掴まって、プカプカと浮いているアイラは、そのまま寝こけていきそうな勢いだ。


『お前ら、このホリデー終わっても、まだ旅行するんだって?』

『そうよん。クアラルンパの方でも観光とショッピングする予定』


『どのくらいいるんだよ』

『う~ん? 2~3日かなぁ。適当。その時によりけり。でも、クアラルンパに行く前に、ランカヴィからペナンに行こうかなぁ? あそこ、ご飯がおいしいもんねえ』


 それに、ランカヴィ・アイランドからペナンには高速ボートがでているから、一時間半くらいでペナンに行くことができる。


 ペナン(Penang)は“Pearl of the Orient”とも呼ばれ、英国植民地として発達しただけに、多種多様な建築物が発達して、ユネスコの世界遺産としても登録されている場所もある。

 そして、なによりも、ペナンは“マレーシア一の食文化、食事ができる”場所としても有名だ。


 朝から晩までおいしいものが食べまくれるではないか。


『クアラルンパはショッピングだけにして、やっぱりペナンかなぁ? 観光する場所も結構あるしね』

『ホテルはどうするんだよ』

『まあ、空いてる所があれば、そこかもしれないし、最悪、バックパッカーズかもねえ』


 アイラとしては、バックパッカーズ泊りはあまり望んでいないが、それは最終手段だ。ホテルが満室で空きがない時の為。


『お前ら、そんなに長くいるつもりなのか?』


 クリスマスからやってきていて、お正月を開けてもまだ旅行するなんて、軽く2~3週間はマレーシアにいることになる。


『私んトコはまだ夏休みだもんねえ。龍ちゃんとレンは大学始まるんじゃない? でも、一週間くらいサボたって、大したことないじゃない。旅行できるなんて、滅多にないのよ~』


 へえ、と双子もアイラの話を聞きながら、あるアイディアが浮かび始めてきている。


『俺も行く』

『帰りの便延期してもらおう』


『ええ? わざわざ一緒に行くわけ?』

『なんだよ』

『差別すんなよ』


 別にそこまで嫌がってるわけでもない。

 まあ、二人とも広東語(カントニーズ)北京語(マンダリン)も話せるので、おいしい中華料理店では役に立つかも。


 それなら、一緒に旅行してもいっか――などと、アイラもお気楽なものだ。


『うちらは、四日の朝には発つのよ』


 へええ、と双子の返事はそれだけだ。


 いきなりイギリスに変える飛行機の便を延長することになっても心配していないし、予定にない旅行に変更しても全く気にしていない様子だった。


『よしっ、決めた。最初はペナンね』


 ふうん、と廉の方もアイラに慣れているだけに、勝手に決められた予定でも全く気にしている様子はない。


『ペナンで食べまくるぞっ!』


 それで気分が更に浮上しただけに、またお正月明けの楽しみが増えた。


『美花さんにホテル頼めないの?』

『頼んでみるわ。ウィルとミックも、本気で一緒に来るの?』

『『そう』』

『じゃあ、ミカに頼んでみ~よう』


 ぶ~らぶ~らと、午後の時間をプールで潰し、水に浸かっているだけの四人は手足がふやけてしまっていた。



読んでいただきありがとうございました。

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