その12-04
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「これが、鷲の置物――って、結構、でかかったんだなあぁ。最初は、彫刻かなにかを想像してたのに」
星形をした広場は、色取り取りのレンガできちんと模様が作られていて、その中央に、ドトーンと巨大な鷲が五角形の台の上に乗っている。
話によると、高さ12m近くもある巨大な鷲だ。
そこにも観光客がたくさん集まっていて、みんな、正面の鷲から写真を撮れるように、少しだけ行列ができているようだった。
「海にこの星形の部分が突き出てて、かっこいいなあ」
「この場所、上から撮った写真がよく出てるけど、上から撮ったなら全景が入って、いかにも観光写真らしいのにね」
「そうか? 俺は、あの鷲の真ん前から撮っても、自慢できると思うけどな」
そして、のんびりと星形の広場を歩いていくと、鷲の足元にはちゃんと“Langkawi”とロゴが入った文字が設置されている。
それなら、あのロゴを入れるようにして、正面から鷲を取れば最高の写真スポットだろう。
「少し並んだら、場所空くかな?」
「大丈夫じゃない。あれなら5分くらいで終わりそうよ」
全員は星形の先頭にやってきて、行列待ちの間、周囲の海を眺めていく。
こっちは、この間遊んだ真っ青な海とは違い、エメラルドグリーンという表現がぴったりな色の海の色だった。
向こうの方には、また小島が見える。
ここら一体には、結構な数の小島がある。それで、その小島の周辺でダイビングをしたり、他のアクティビティがあった。
そっちの方のアクティビティは今回はしていない。
下から見える鷲も迫力があるので、一応、観光スポットとして、廉を抜かした全員は写真を撮ってみる。
突然、アイラが近くにいた年配の女性にペラペラと話しかけた。
女性はにこやかに返事をしていて、アイラもにこやかだ。
「どうしたんだ、アイラ?」
「ああ、全員で写真を撮りたいから、あの女性にお願いしているみたいだよ」
「そうなんだ」
「あの女性もOKしてくれたみたいだ」
「観光地って、結構、写真をお願いしても嫌がられないよな」
「そうだね。やっぱり、それぞれに観光写真を撮りたい気持ちがあるから、他の観光客に頼まれても理解が深いんだろうね」
五分くらい待つと、すぐに龍之介達の番になった。
先程話していた年配の女性が、にこにこと、全員から渡された携帯電話を受け取っても嫌な顔をしない。
「あらあら、たくさんねー」って笑っている。
それで、このボタンを押して、などなど説明を受けて、星形の一番天辺から女性が場所を陣取ってくれた。
「ほら? 早く、早く」
全員をせかして、アイラ達は鷲を後ろにして立った。
女性が手だけで、少し右に動け、と合図するので、双子と龍之介が丁度3人で左にずれてみた。
OKサインが出て、全員がスマイルを見せる。
もちろん、龍之介はピースサイン。
隣にいる旦那さんに持たせている全員分の携帯電話を交互に、年配の女性は全部の写真を撮ってくれていた。
『本当にありがとうっ。感謝するわ』
『いいのよ。みんなで楽しそうねえ』
『満喫してるから』
それで、アイラが手を振って、年配の夫婦を見送った。
「これで、観光スポットでの写真は撮れたわよね」
「でも、この為だけに40分もかけてやってきたんだな」
それも、15分くらいしかいない場所で。
「観光だから、そういうこともあるわよ」
「ここら辺って――あれ? ボートが出てる。もしかして、港なのかな?」
「あれは――ボートじゃなくて、小型のフェリーよ。たぶん、あの建物、フェリー・ターミナルなんじゃないの?」
「そうなのか」
「島だから、周り中海に囲まれてるもんな」
「それじゃあ、そろそろ戻りましょう」
またタクシーを待つのは面倒なので、先程のタクシーには待ってもらっている。
元々、観光スポットで写真を撮ることが目的なので、長居するつもりはなかったしね。
タクシーでショッピングモールの方に戻ってきた一行は、あるレストランに落ち着いていた。
ランチを食べている間タクシーを待たせているのは金額が嵩むので、その場で料金の支払いは終えていた。
でも、タクシーの運転手の方から、ホテルの帰る時に連絡くれれば迎えにくるよ~、と名刺を渡されたので、ランチの間、どこかで時間を潰し、また龍之介達を拾ってくれるのだろう。
今日は、竜之介たちの観光のおかげで、かなりドライブしたからいい売り上げになっているはずだ。
やっぱり、予約や道路で待ちぼうけよりも、すぐに掴まるお客がいれば簡単だろう。
入って行ったサフラ・レストランというお店はこじんまりとした店で、ローカルな雰囲気がいっぱい。
壁も天井一杯が虹のように(よりも派手な原色で)線ごとに色々と色が違っていて、見た目からしても派手な内装だった。
マレーシアに来てから気が付いたことだが、結構、ローカルのレストランとか、屋台っぽい外のお店とかでも、派手な電球がよくぶら下がっているのだ。
ネオン、というよりも、色取り取りの電球で、一応、お店の内装ということになるのだろうか?
それから、色鮮やかな壁の色が多かったり、原色を好む文化が見えて来て、とても興味深い。
このお店は、Vegetarian、Indian、Pakistan、Arabic、Western、Seafoodということだった。たぶん、西アジア系の料理が多く、カレーもそっち系なのだろう。
でも、西洋系のチップスやハンバーガもある。
今回は全員で色々試せるように、入り口の写真に乗っている料理を適当に頼み、それをシェアする。
インドとパキスタンのカレーとナンが色々、フライドライス(炒飯)も色々、アラブ系(トルコ系)のピザも頼み、喉が渇いているのでジュースもだ。
朝食は遅かったのに、料理が運ばれてくると、もうお腹が空いてきてしまう。
全員がすぐにガッついていた。
「おお、インドとパキスタンのカレーかあ。区別がつかないな」
「そりゃあ、そうでしょ。国は違えど、文化は似たようなものなんだから」
「そうだな。でも、おいしいぜ。俺、ニュージーランドでも、結構、インドカレーを食べたけど、マレーシアでも食べてるなあ」
「インド人の人口がたくさんいるからね」
全員で座るとテーブル一杯の料理の皿と自分達の皿がぶつかり、ちょっと動かしたら、テーブルの外に落ちてしまいそうなほどだ。
でも、こんな風に狭くテーブルを囲んで皆でご飯を食べるのも面白い。
ナンをちぎって、手でカレーにつけて食べる習慣も慣れたものだ。
日本では、そんなにインドカレーを食べに行きたいと思ったことはなかったが、マレーシアに来て以来、何度も食べているような気がする。
でも、飽きた感じはしない。
郷に入っては郷に従え、だなあ。
読んでいただきありがとうございました。
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