その2-07
それからしばらくして、迎えに来たと言う男性がやってきて、アイラに言われて廉にタクシー代を払って、アイラが世話になりました――と二人は消えてしまった。
「――新顔だ」
「そうだな。二年だから、山川に聞けば分るだろう」
「そうだな」
「なんだよ。また、二人揃って、探るようなことしてるのか? やめろよな、それ。生徒会だからって、一々、生徒全員のことなんか管理しなくてもいいんだろ?」
「そうだね。でも、知らない生徒がいるのも寂しいからね。せっかく、短い三年の間に知り合うんだから、少し名前くらいは知っておかないと――とか、思わないかい、龍ちゃんは」
もっともらしい理屈を持ち出されて、龍之介はちょっと口をすぼめてみせた。
「そう……だけどさ」
「そうだろう?」
「でも、あいら、って言ってたじゃん」
「そうだね。可愛い名前だね」
「本当に」
龍之介を除いて、そこの三人は、三人揃って同じことを考えていたのだった。
あいら――名前だけを口にする女生徒も滅多にいるものじゃないが、と。
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