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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part2-マレーシア編
119/215

その11-06

11章はほぼ観光のお話でした。もう、簡潔な旅行記、ですね。

今のご時世、旅行も簡単ではありませんので、せめて、お話での観光スポットなど読んで気張らしになれたらいいですね。

ランカヴィはリゾート地には最高ですから!

「よしっ、次は、グラヴィティだな」

「お前、初っ端から激し過ぎだろ」

「こんなの序の口だぜ」


 なぜかは知らないが、ウィリアムの方はゲッソリとしている。


「その、グラヴィティって、なんだ?」

「720度回転して、グルグル回されるやつだ」

「そ、れは、すごいかも……」


 なるほど、次もまた、違った意味で激しい乗り物だ。


 丸い軸の中のシートに座り、シートベルトもしっかりと。それから、すぐに、グイン、グイン、と座っている椅子のまま、体が振り回される。

 上も下もひっくり返って、右も左も分からない。


「おおっ……!――これ……いや、回り過ぎ……」


 もう、どこが地面なのか天井なのか、空なのか、空間の区切れが分らなくなってきている。平衡感覚も滅茶苦茶で、龍之介が回っているのか、龍之介の周りの世界が回っているのか、不思議過ぎる感覚だ。


 グラヴィティを終えて、シートから降りて来た龍之介は、足がもたついて、その場でペタリと座り込んでしまった。


「大丈夫、龍ちゃん?」

「ああ……。いやぁ、なんか、平衡感覚が滅茶滅茶な気がする……。ちょっと、さすがに、目が回るかも……」


「大丈夫なの、龍ちゃん? 椅子に座って休みなさいよ」

「うん、まあ、そうするかな……。マイケルは平気なんだな」


「いや、俺もちょっと目が回ってるけど、リュウチャンほどじゃないぜ。初めてVRすると、静止画像や空間ならあまり問題なくやれるけど、物体が動くのは、やっぱり視覚感覚を狂わすからな。物体が後ろに通り過ぎていく場合、脳が理解できないんだ。後ろに進んでるのか、前に進んでたのか」


「そうなんだ……。いや、でも、その感覚は分るかも……」


 大丈夫か? と廉が龍之介の腕を支えながら、立ち上がらせてくれた。


「今は、大分、落ち着いたかも……」


 それで、現実世界に引き戻されて、目をパチパチと激しい瞬きを繰り返す。


 さっきのアリーナでの未来世界のイメージも強烈で、今の回転での世界がグニャングニャンで、自分の視覚でまだ脳の理解が追い付いていないかのようだった。


「私はパスするわ。さっき食べたランチ、吐きたくないもんね」

「俺もパスするよ」

「俺も」


 残りの三人は、龍之介の惨状でもないが、疲れ切っている様子を見て、危険は冒さないらしい。


 少し椅子に座って休憩させてもらったので、龍之介の気分も大分落ち着いていた。


「次は、あんまり動かないのをやれよ、リュウチャン」

「そんなのあるのか?」


「ビートがあるぜ」

「ビート?」


「ミュージックで踊るやつ」

「いやいやいやいや。俺は、そういうのは……遠慮したいなあ……。俺、そういうの、踊れないんだよ……」


 昔から、友達に誘われて、ダンス競争をしようなどと言われたが、龍之介はダンスは苦手なのだ……。


 それに、人前で踊っている姿など、恥ずかしくて見せられない……。


「じゃあ、忍者は?」

「忍者?」


「そう。ただ立ってる場所にフルーツが飛んでくるから、それを斬り落として行くやつ」

「へえ」


 それなら、龍之介にもできそうだ。


「それって、Mobile のapp にあったやつじゃない?」

「そう」

「モーバイル? アプ? ――ってなに?」


「ああ、携帯電話のことよ。それのゲーム」

「ああ、アプリのことか?」

「そう言えば、日本人はそうやって言ってたわね」


 え? アプリじゃないの?


 いえ、Applicationだから、省略されて“アプリ”と言われているようですが、英語では“アプリ”とは言いません。省略されて、App となり、“アプ”が通常です。


 またVRのゴーグルを取り付けると、龍之介は忍者になっていた。


 手で握れるコントローラーにはボタンがあるが、説明を聞く限りでは、龍之介はただ手を動かせばいいだけのようだ。


 二刀流?


 これ、ゲームの世界なら有り得る話かもしれないけど、現実の世界じゃ、なかなか有り得ないんだけどなあ、なんて考えちゃうな。


 それでコントローラーを握りながら、剣らしきものを振り回してみる。

 ス〇〇ウォーズのライトセーバーみたいだな、などと思う。真っ直ぐ伸びたビームの剣だ。でも、刀らしくは見えさせているらしい。


 左手をポイっと投げてみたら、刀が落ちた。


「あっ、ちゃんと落ちるんだ」

「おい、リュウチャン、なにやってんだよ」

「うん、そうなんだけどな」


 でも、拾うのは面倒だから、このままでやろうかな?


 ちょっと剣らしく構えてみたら、コントローラーがぶつかるけど、大丈夫そうだ。それで、龍之介は一本の剣(刀?)でゲームをすることにした。


 最初は、龍之介の真正面にフルーツが飛んできた。


「うわっ!」


 スイカ? なんで、スイカ?


 いや、フルーツが飛んでくるとは聞いていたけど、次から次にフルーツが飛んでくる。


 スイカ、レモン、いちご、オレンジ、バナナもだ。あれ? ――は、アーモンド? なぜ、アーモンド?

 理由はないのだろう。


 それで、次から次へとフルーツやら野菜やらが飛んでくるので、もう、この際、龍之介は刀の基本を無視して、全て滅茶苦茶に叩き斬る。


 ははは、と龍之介がおかしそうに笑っていた。


 こんな、滅茶苦茶な切り方で、型の構えで、持ち方で。

 こんなこと、おじいさまに知れたら、ものすごい勢いで怒鳴り散らされていたことだろう。それで、その日、一日は稽古でしっかりお叱りのはず。


 そんな型破りでも、今日は誰一人として龍之介を叱り飛ばす人はいない。


「ああ、面白かったなぁ、これ」

「龍ちゃん、さすがじゃないっ。これ、結構なハイスコアよ」

「そうなのか?」


「これなら、ミックの勝負に勝てるかもね」

「リュウチャン、見かけによらず、やるじゃんか」


 ウィリアムも感心している。


「当り前じゃない。龍ちゃんは、こう見えても武闘家なのよ」

「武闘家? リュウチャンが?」


 そいつはすごい、と双子が目を輝かせて龍之介に詰め寄って来た。


「おい、リュウチャン、武闘家って、何できるんだ?」

「さっきの刀だって、結構、サマになってたよな。刀もやるのか?」


「いや……、まあ、普通のだよ」

「普通のってなんだよ」


「うん……普通の、格闘技とか」

「普通の格闘技なんてあるのか、日本じゃ」

「うん、まあ……」


 いや、大学に行ってからは、もうほとんど稽古もしていない。


 やーっと、毎日の厳しい稽古から逃れて、今は、人生で一番気楽な時間を過ごしているのだ。


「龍ちゃんはね、それはもう強いのよ~。でも、見せびらかしたくないのよね。日本じゃ問題になるんだって」

「へえ。だったら、こっそり見せてくれよ」


「そうそう」

「いや……、普通の時は、しないから」


 残念過ぎる、と言いながらも、双子はそれ以上押し付けて来ない。随分、あっさりと引いてくれた。


 ほっ……と、ちょっと一安心。


「さっ、残りのゲームも制覇しましょうよ」

「おう、そうだな」


 それで、全ゲームのパスがあるので、ビート以外は、結構、全員が色々なゲームを挑戦していく。



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