その11-05
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さあ、これから、今日一番のアトラクションVRユニバーサルだ。
やはり、せっかく遊びに来ているので、全員が全パスようのチケットを購入。もしかしたら、全部はできないかもしれないが、一応、念の為。
ミックこと、マイケルは全く問題なさそうに、全部やり切るぜ、と簡単に断言するほどだ。
ゲームおたく、ゲームマニア? 賭けはしない方が良かったかも。
「まず初めは、やっぱり、バトルアリーナだろ」
「バトルアリーナ?」
「そう。チームでコンバットアリーナに入って、戦いまくるぜ」
ほうぅ、と龍之介の目もキラキラと輝いている。
一応、ここの売りでは“世界初のVRフリー・ローミング”のアリーナらしい。
中に入ると、スタッフから装備を渡され、バックパックを背中に背負い、手には手袋のような上にセンサーがたくさんつけられている。
VRのゴーグルを装着すると、龍之介は未来空間のバトルフィールドにやってきていた。
チラッと自分を見下ろすと、龍之介はロボット? ――ロボットのようなフル装備をした格好になっていた。
「おおおおおぉぉっ、すごいっ!!」
手をニギニギしてみると、ロボットのような手が目の前で動いている!
これ、自分が動かしているのだろうが、自分の手だなんて思えないほどリアルだ。
「アイラと廉はどっちだ?」
龍之介の視界には、もう、人の形をした友人の姿は見えない。
前にいるのは、全員、ロボットのようなフル装備をした戦士ばかりだ。
「私はこっちよ」
手を振った一人がアイラだとしても、全然、アイラなどと見えない。なにしろ、完全武装した未来のロボット戦士なのだから。
「俺はこっち」
そして、廉も一応手を振ってくれた。
「おおおおおおぉぉぉぉぉっ!! 凄すぎるっ」
VRの未来世界。感動だ!!
建物のゲームで出てくるような未来世界で、さっき渡されたプラスチックのマシンガンは、真っ黒に輝くレーザービームのガンと変わっていた。
「リュウチャンよ、あんた英語ダメなんだろ?」
「ああ、そうなんだ」
「この説明、英語みたいだから、アリーナバトルは俺と組んでいいぜ」
「いいのか?」
「VRやったことあるのか?」
「いや、ないんだ。これが初めてなんだ。すごい、感激してるっ!!」
はは、とマイケルもおかしそうに笑っている。
「これは賭けにはいれないから心配すんな。英語の説明だと早過ぎて分からないだろうしな」
「そうか。ありがとうな」
「説明の後は少しトレーニングもあるみたいだから、それやって、後は撃ちまくれ。相手を殺す気でな」
「そうなんだ」
今回のアリーナバトルは、龍之介とマイケルのチームに対し、アイラと廉とウィリアムの3人が敵となる。
スタッフの説明も今回はマイケルがちゃんと説明してくれて、それで、ゲームが始まると、音楽と共に、パネルが目の前に現れて、持っている銃で標準を定めてみる。
ゲームのボタンやメニューが変わり、それを次々に撃っていくと、ものすごいリアル感、半端ない。
このコンバット・アリーナは某ゲームメーカで出されている、Mortal Blitz というゲームをベースにしているものだ。
龍之介はそのゲームをしたことがなかったが、マイケルに携帯で見せてもらったビデオは、息を上がらせるような音楽に、シューティングが激しくて、すごい迫力のゲームだった。
「よし。最初は、ウォームアップだな」
「そうか。まだ混乱してるけど、よろしくな」
「要は、撃ちまくればいいんだよ。弾が切れたら補充しろよ。やり方分るか?」
「それは、分かる。大丈夫だと思う」
それで、バトルが開始する。
目の前に、突然、ガラスのバリアが出て来て、うおぉっ、とビックリして飛び上がった龍之介の前で、少し前にいるマイケルはもうすでに完全戦闘態勢。
相手側に素早い攻撃をしかけて、次から次へとポイントが加算されていく。
間近の物体も破壊しまくりで、ガラスの破片が飛び散り、レーザービームが飛び交い、場所が少しずつ変わって行っても、あまりにたくさんの映像が目の前を通り過ぎていってしまって、龍之介は景色をゆっくりと眺めることもままならない。
「1Kill」やら「3Kill」やらと、数字が飛び交い、そのあまりに素早いスピードにやっとついていけるような龍之介だ。
でも、自分の銃を動かし、体を動かし攻撃を交わし、避けて、目の前の物体も次々に破壊していく。
「すごいぃぃぃっ!! かっこいいなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
走り去っていく景色が未来世界で、現実には存在しなくて、宙に浮かぶ建物、ゲームの世界にある非現実世界を直で経験し、レーザービームで破壊された場所は、眩しすぎるほどの閃光が飛び散っていくかのような激しさだ。
素早く、画面操作で、自分の武器を変え、ステータスをチェックし、アップグレードアイテムも次々に飛び込んできて、どこもかしこも爆発音で忙しい!
その全部を本当に自分がしているかと思うと、経験しているかと思うと、リアルの迫力が堪らない。
龍之介は一度死んでしまった。
ショックだったが、一応、生き返らせてもらったようだった。
自分の武装した腕が、手が、足が動き、全く現実にはない未来世界でバトルである。本当に、未来に迷い込んでしまったかのような錯覚。
なのに、現実っぽくて、VR最高だっ!
バトルをやり終え、スタッフが装備していた部品を外してくれたが、現実に戻っても、さっきまでの高揚感から抜け切らず、龍之介も呆けてしまっている。
「ねえね、これ面白かったわぁ!」
「悪くない」
あっさりしている態度だが、マイケルだってかなり満足している顔をしている。
「お前、やっぱり、ハイスコアかよ」
「当然」
「すごいなぁぁぁぁぁ……。あんなスピードで、次から次に物がでてきて、撃ち落とされてるのに、ハイスコアなんて得点できるんだ」
「リュウチャンよ、あんた、FPSしないのか?」
「FPS? え? それってなに?」
「ファースト・パーソン・シューターのことだよ」
「それって、なに?」
だが、その日本語の通訳は誰一人分からない。
マイケルもウィリアムもアイラも、その視線が一斉に廉に向けられる。
でも、廉にだって説明し難いのだ。廉はゲームをするタイプでもない。誘われればするが、自分からコンソールやコンピューターゲームを買う方でもない。
だから、FPSのコンセプトは理解できるが、日本語の活用方法など知らない。
うーんと、考えてみて、
「日本語なら、たぶん、一人称――だから、自分本位としたシューティングゲームのことだろうけど、どうだろうな?」
「自分本位? ――ああ、なんとなくは分る、その意味。よくゲームセンターでも見たから。たぶん、そういうシューティングゲームなんだろうな、ってことは判った。でも、それやると、VRゲームができるのか?」
「それの実践版。リアルで」
「確かにリアルだったな。未来世界に飛び込んだ気分だった。最高っ~」
「まっ、確かにな」
初っ端から、意欲が上がるゲームだった。
読んでいただきありがとうございました。
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