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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part2-マレーシア編
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その11-04

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 それから、龍之介もアイラも記念写真を撮りまくる。

 吊り橋の全景を撮るなら、こっちのプラットフォームより、最初に降りたプラットフォームの方がいいかもしれない。


 そこに集まって来た他の親戚も交えて、大勢の記念写真。

 今度はこっちのカメラで、次はあっちのカメラで。もう何枚同じ写真を撮ったか分からないほどだ。

 そうやって写真を撮っている間にもっと人数が増えて、更に記念写真を。


 それだけで、軽く15分から20分は過ぎてしまった。


 さすが、この人数……。


『少し早いけれど、これからランチなんてどうかしら?』

『いいわねえ。私は朝少なめにしたから、ランチはいつでもオッケー』


 それをペラペラと通訳してくれるアイラに、龍之介も賛成。

 今朝はホテルの朝食でも、シリアルとフルーツだけだったのだ。レストランでたくさん食べて、地上のお店でもなにか買い食いしようとのことで。


『じゃあ、二人も一緒にね?』


 そして、後から混ざって来た双子に向かってオカアサマのにこにことした微笑みが。


 「トンズラなんて許しませんよ」なんて、にこにこしたままの暗黙の圧がすごく、双子は反論無し……。


『じゃあ、行きましょうか?』



* * *



『なんでも好きなものを頼んでいいよ。ランチは私が払うからね』

『ホント? 叔父さん、ありがとうっ』


 それを聞いて龍之介は、驚いて、アイラの叔父を見返す。


「……いいんですか? 俺は、身内じゃないんですけど……」

『ああ、問題ないよ。たくさん好きなものを食べて欲しい』


 にこにこと、龍之介達を見ているアイラの叔父は本当に嬉しそうだ。


『こうやって日本人に会うのは久しぶりで、嬉しいね。だから、好きなものをたくさん注文していいんだよ』

「あ、ありがとうございます……。あの、お言葉に甘えて……」


 それで、龍之介が座ったまま、ペコリと頭を下げる。


「では、俺もお言葉に甘えさせていただきます。ありがとうございます」


 廉のお礼にもアイラの叔父は嬉しそうににこにこと微笑んでいる。


「私は、このステーキサンドにするわね。これ、なんだかソースがこってり乗ってるわよねえ」

「確かに。じゃあ――俺は、こっちのハンバーガーにしてみようかな。ハンバーガーなのに、なんか、こってりソースがかかってるなあ。それに、豆のソース? おまけに、お肉が二段重ね――三段かも。すごいなあ」


 メニュを見やりながら、不思議なハンバーガーを見て、興味が引かれる。


 豆のソースはきっとケチャップ系だろうから、そこまでひどい味ではないはずだ。それで、ハンバーガーのパンは乗っていなくて、横に立てかけるように置いてある。


 でも、メニューの写真で見る限りは、飾り付けがお洒落? ――と形容すべきなのか、チーズの黄色に、ソースのオレンジやら、茶色やらとゴッテリとハンバーガーの上に乗っている、そのコテコテさに感心すべきか、よく分からないなぁ。


 たっぷり、ゴテゴテとかけられたソースやチーズで、ハンバーガーのお肉も隠れてしまってるよ、これ。


 これって、やっぱり、フォークとナイフで食べるハンバーガー?


 全員の注文を終えて、ドリンクも注文し終えて、周りを見ると、結構な数のアイラの親戚がレストランにやってきていた。


「時間が早くても、やっぱり、皆レストランに来るんだな」

「後は、地上に戻るだけだからね。頂上にいる間にすることなら、レストランくらいでしょう?」

「そうだな」


 すぐに注文した食事が運ばれてきて、目の前の料理を見て、龍之介の目も真ん丸。


「すごいなぁっ! このソースとといい、チーズがこってりとかかってるのといい、豆のトマートソースだろうな。すごいぜっ。それに、やっぱり三段重ね! 食べ応えありそう」


 そして、アイラの料理は、細長いバゲットの上にステーキっぽいお肉が乗って、その上には、ケチャップ、バーベキューソース、それにサザンアイランド(マヨネーズとトマト)ソースもかかっているのではないだろうか。


 お肉の茶色が、赤色のソースに、焦げ茶のソース、オレンジのソースに埋もれ、すごいことになっている。


 アイラは早速フォークとナイフで一口食べていた。


「どうだ?」

「お肉はおいしいわ。でも、ソースが並じゃないっ。もう、すごいかかってるわよ、これっ」

「そうだろうな。じゃあ、俺も挑戦してみるぜ」


 龍之介もフォークとナイフを取り上げた。


 お肉の天辺から突き刺すようにナイフを入れてみる。さすが三段重ねだけあり、下の皿に届くまで、かなりの肉厚だ。


 よしっ。


 ここは、三段を一気に食べてみよう。


 フォークで三段のお肉を、ブスリ、と刺して、落ちないように一気に口に含んで行く。


「おおぉ! 肉厚がすごい。それに、ソースが、たくさん混ざって――混ざり過ぎてる感じだけど、うまいぜ、これっ」

「そうなの?」


 見た目も強烈なインパクトのある料理だが、お肉の三段重ねは食べ応え満々。


 そして、廉一人だけ、まともな料理がテーブルの上に乗っている。


「廉のは何だ? ヌードルなんだ」

「そうだね。ミー・ゴレンだよ」

「あれ? それって、なんか、マレーシア料理のヌードルだったような?」

「そうだね。でも、普通そうに見えたから」


 確かに、廉の前の皿に乗っている料理は、白い皿の上にお洒落にもりつけされた、マレーシア料理のヌードルだ。


 お箸ではなく、フォークで丁寧に食べているところが、西洋っぽいけど。


 双子も揃って、龍之介と同じハンバーガーだ。やはり、見た目からして、試してみたくなる料理だと思う。

 その上に、子供用なのか、フライドチキンもチキンナゲットもあって、食欲旺盛だ。


『ランチの後はどうするの?』

『まずは、ミドル・ステーションの展望台に上って、そっちでも写真を撮るつもり。その後は、VRゲームよ』


『VRゲーム? そういうのがあるのねえ』

『リュウチャンよ、競争するって約束覚えてるか?』

「もちろんっ」


 はっ、と双子の片っぽが少し小馬鹿にしたように笑う。


『じゃあ、賭けようぜ』

「賭ける? なにを?」


『なんでもいいぜ。例えば、昼飯食い放題でも、ディナーでも。まだまだ、街にも違うレストランはあるしな』

「なるほど。じゃあ、昼飯賭けてもいいぜ」


 それで、双子の片割れの口元が微かにだけ上がる。


「ちょっとぉ、龍ちゃんに吹っ掛けないでよね」

「かけてないだろ」

「何言ってんのよ。ゲームオタクなんだから、龍ちゃんが適うわけないじゃない」


 さっきまでは、アイラの叔父と叔母の為に英語だったのだろうが、アイラとの口ケンカは日本語だ。


「えっ? ゲームおたくって、もしかして、ゲーム、すごい得意なのか?」

「まあまあ」


 その返答をどこまで信用していいのか、怪しいものだ。


 お昼代を賭けてしまったのは、間違いだったかな、なんて後悔してしまう。


 それで、今の話を、ペラペラ、ペラペラと英語で通訳するアイラに、双子の両親がおかしそうに笑う。


『あらあら。ミックはコンピューター専門だから、ゲームだっていつもしているのにね』

『そうだね。その賭けはハンデがあり過ぎじゃないのかな?』

『ないない』


 そして、ぼったくる気満々なだけに、一切、反省の色が見られない。


「あの……、すごい失礼だと思うんだけど……。あなたはどちら様で……? ――いや、すごい、失礼だと思うんだけど……」


 ミックが微かに口を曲げてみせ、

「ミックだよ。こっちが、ウィル」

「ああ、そうなんだ……。あの……いや、すごく悪いとは思うけど、その……」


「龍ちゃん、いちいち謝ることないわよ。この二人なんか、年がら年中一緒にいるくせに、わざと真似て行動してるんだから」

「真似てるのか?」


「そうよ。それで、見分けがつかない相手をせせら笑ってる性格の悪い双子なのよ」

「笑ってないだろ」

「間違う方が悪い」


「おまけに、暑苦しいし」

「そっか。でも、やっぱり……名前とかさ、間違えるの、悪いだろ?」

「この二人の場合は、例外よ」


「アイラ、差別だ」

「お前、偉そう」


 そして、相変わらずの二人の抗議に、ツン、とアイラは知らん顔。


『叔父さんと叔母さんはどうするの?』

『そうねえ。私達は、ゲームはしないと思うから、もう少し、のんびりできるものをしてようかしら?』

『そうだね。シネマ用のアトラクションが他にもあったみたいだから、そっちにしてみようか?』

『そうね』


 そして、のんびり、ほんわかな夫婦は、二人でにこにこと微笑みを崩さない。


 双子の性格とは違って、本当に、双子の両親はほんわ~かと和んでしまえるような雰囲気だ。


 それで、ガッツリとランチも終え、双子の両親にお昼ご飯のお礼をしっかり言って、ゴンドラで下降する。


 乗り換えのステーションで、螺旋状の階段を上り、展望台に上がると、こちらもグルリと全景が見渡せる。


 全員で写真を撮り、今日だけで、かなりの数の記念写真ができたものだ。



読んでいただきありがとうございました。

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大人になってもはちゃめちゃ恋愛物語『やっぱりやらねば(続)』は大人の恋愛編です。
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