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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part2-マレーシア編
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その10-03

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「このライス、中国米っていうやつか?」

「違うわよ。インド米よ。少しいい香りがするじゃない。それバスマティライスよ」

「そうなのか?」


 くんくん、と匂いを嗅いでみると、ほんのりと甘いような爽やかな香りがご飯から漂ってきた。


 この匂いは、ニュージーランドでもインド料理を食べた時に嗅いだ匂いと同じだった。


 それで、あの時食べたライスはインド米だったんだなあ、なんて今更ながら、感心してしまう。


「ちょっとパサパサしてる感じで食べずらいなって思ったけど、カレーにはよく合うよな」

「まあ、日本人って日本米に慣れてるから文句言うらしいじゃない? 要は食の違いよ。よく、頭ごなしに否定してるのも見たけどね」

「うん、そうだな」


 中国米はドライだからとか、パサつきがあるからおいしくないとか、それで、普通に食べれるような調理法――なんて、一昔前に出てきたこともある。


 日本人は水の含んだしっとりとしたお米に慣れているといっても、あの時は、他の国の食文化をバカにしてしまったかもな、と今なら龍之介も分る。


 ニュージーランドに行った時は、多国籍の料理をたくさん食べた。

 似ているものもあったけど、でも、自国の料理として出していたレストランをたくさん挑戦した。


 だから、お米が日本米と違っていても、たぶん、あっちの国の人からしたら、日本米の方が食べずらい、なんて言われているかもしれない。


 現に、アイラの知り合いは日本米でも炊いた後にわざわざ水洗いしている、と言う話を聞いた時は目玉が飛び出しそうになった。

 信じられなくて。


 外国の人は、日本米のねとねととくっつく感触が嫌な人が結構いるらしい。

 それで、日本米を洗って食べる習慣ができてしまったような。


 まあ、国が違えば文化も違い、食も違い、色々だよな。


 改めて、外国に旅行に行くと、色々なことに気がつくことができる。


 アイラと龍之介のテーブルには、アイラと龍之介が椅子側に。廉とギデオンが反対側。

 そして、すぐ隣のテーブルに双子と、ジェイドと美花が座っている。


「さっき見たら、肉まんとシュウマイがあった」

「ああ、中華のコーナーね。でも、肉まんもシューマイも日本で食べれそうね」


「そうだな。でも、本場――じゃなくて、でも、外国で食べるのは違う気分だろ? ニュージーランドで飲茶(やむちゃ)食べた時も、肉まんが違う味だったぜ」


「まあ、そうね。あのコンビニの肉まんって、おいしいけど、日本人用の味付けじゃないかしら」

「そうか? そう思うか?」

「そうね。中華料理とはちょっと違ったわ。おいしかったから、結構、買い食いしたけど」


「俺はカレーマンの方が好きだな」

「ああ、あれも悪くなかったわ」


 そして、コンビニで売っているお惣菜やらスナックやらと、ほとんど色々挑戦して買い食いしたアイラだ。


「あっ、食べる前に写真撮るの忘れてた。お腹空いてたのよね。それで、すっかり頭から抜け落ちてたわ」


 テーブルの上は、すでに、料理を食べた後の皿が残っているし、ジュースだって半分以上なくなっている。

 皿は片づけてくれるだろうが、ナプキンもくちゃくちゃで、テーブルに着いた時のきれいな状態とはいい難い。


「まあ、いいか。ねえ、レン。龍ちゃんと一緒の写真撮って」


 気軽に自分の携帯電話をテーブルの向こうの廉に差し出した。


 廉がそれを受け取り、少し後ろに寄りかかりながら電話のスクリーンを設置していた。


「じゃあ、1、2、3」

「イエーイ」


 アイラは龍之介の方に顔を寄せているが、龍之介はピースサインだ。


「やっぱりリュウチャン、そのサインだな」

「やっぱりさ、日本人だから。ピース! がないと、写真も決まらないよ」


 ははは、とおかしそうにギデオンが笑っている。


「ねえ、レンとギデオンも並んで」

「よしっ」


 まだ食べかけだったフォークを置いて、ギデオンが親し気に廉の肩を組んで、写真用にポーズを決める。


「俺も、ピースサイン!」


 笑いながら、片手はピースサイン。


「レンは、なんでピースサインしないんだ?」

「俺は昔からピースサインをしたことがないな」

「へえ、そうなのか? 変わってるな」


 そんな気軽な会話をしながら、ギデオンはまた皿の料理に手をつける。


『じゃあ、そっちは4人で一緒ね~』


 隣のテーブル側に向いたアイラは、4人全員を一緒に写す。


「なあ、その写真とかも俺に送ってくれないか?」

「もちろんよ。全員に送るから心配しなくても大丈夫よ」


 そう言えば、ニュージーランドに遊びに行った時も、アイラは写真をたくさん撮っていた。龍之介も山のように写真を撮った。


 でも、その後、日本に帰ってきて龍之介に、アイラからの写真が全部送られてきた。

 重なっても、違う写真もあるからいいじゃない~、って。


 今回も、きっとアイラなら遊びまくった写真を龍之介達に送ってくれることだろう。

 思い出はたくさんあった方がもっと楽しくなる。


「ギデオンも負けずにたくさん食べてるなあ」

「もちろん。まだまだ成長盛りだし」

「成長盛りなのか? そんなに背が高いのに?」


「背はもう伸びてないぜ。でも、胃袋の方はまだまだ」

「ああ、それは分る気がするな」

「それに、今夜はジェイドの奢りだし~」


「そうなのか?」

「そう。俺なんかまだ学生で、仕事ができるわけじゃないし、貧乏だから~」


 その“貧乏”の部分は強調すべき部分なのだろうか?


 隣のテーブルのジェイドは苦笑を浮かべ、ギデオンを無視している。


 それでも、今夜の食事は払ってあげるのだろうか。

 さすが、お兄ちゃんだ。


「じゃあ、ジェイドが奢ってくれるんなら、私のもよろしくねん~」


 この姉弟、実の兄とは言え遠慮がないなぁ、なんて龍之介も感心してしまう。


 ジェイドはアイラの一言も無視して食事を続けている。でも、文句を言ったわけじゃない。


 昼間のランチだって、またか……とかなり諦め顔だったのに、ジェイドはアイラとギデオンの二人分のランチ代を出していた。

 だから、きっと、今夜も下の妹と弟の分は払ってくれるのだろう。


「兄弟っていいなあ。俺は一人っ子だからさ。お兄ちゃんとかって、なんか、ねだったことないんだよな」

「ねだり過ぎてるだけだよ、リュウチャン」


 その点は、きっかり、きっちり、指摘するジェイドだ。


「はは。でも、いいな。俺は一人っ子だし、周りには同年代とかたくさんいたけど、やっぱり他人だからな。でも、廉もお兄さんにねだったりしたのか?」

「いや。そういう記憶はないかな」

「ないんだ。そうなんだ」


 へえ、と感心する。


 廉は質問したら普通に答えてくれるが、質問するまでは、廉にお兄ちゃんがいたなど全く知らない話題だったほどである。

 自分から家族の話をしている廉は、あまり見たことがない。


 それで、龍之介もアイラも、廉は一人っ子だと思ってしまったくらいである。


 あんまり家族と話している所を見かけないが、それでも、廉は寂しそうにしている様子もなく、高校の時だって一人暮らしを平然とこなしていたから、廉は結構自立してるんだな、なんて。


 中華料理も一通り満喫した。

 昼間食べたマレーシア料理の似たようなものもあったが、それも全部制覇した。


 胃袋が破裂しそうなほどだけど、一応、デザートもちょっとだけ挑戦してみた。

 ジュースは三色違ったものを全部飲んだ。


「あっ、食べたわ~。もう、入らない」

「俺も~。俺は動けない」

「私も~」


 そして、椅子の上でもちょっとだるけてしまう二人だ。


「やっぱり、誰が作るご飯って最高~。自分で作らない分、食べるのに専念できるしね」

「俺はちょっとだけ自炊しだしたんだぜ」

「コンビニがあるじゃない」


「あるけどさ。簡単だけどさ。お惣菜もスーパーであるけどさ。まあ、一応、塩分控えめとか、やってみたり?」

「へえ。他には?」

「他には、鍋とか」


「それ、いいわね。どんな鍋?」

「北海道の冬はさ、すげー寒いんだ。だから、スーパーで鍋の具ごと売ってるんだ。だから、土鍋がなくても、アルミホイルのまま煮れるやつが結構あってさ、便利なんだ」

「へえ。スーパーにも、よく分からないスープの素がたくさんあったわよね。あれ、全部に挑戦した人っているのかしらね?」


「試したくはなるよな」

「誰かが作ってくれたら、の話」

「はは、まあな」


 ああ、今夜の料理は全員が満喫しましたねえ。



読んでいただきありがとうございました。

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