その10-02
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* * *
「おおぉっ!!」
レストラン内に案内されて、第一声は龍之介の歓声だった。
「写真で見たりよりも迫力だぁ! あれ、グラスウォールっていうのか? グラスがあんなに一杯並んでるだけで、迫力だな。それに、天井もカッコいいぜ」
見上げる天井は高く、真っ直ぐに進んで行くレストラン内には、木枠のパネルが天井の至る所にぶら下がり、壁も同じようにパネルがびっしりと並んでいる。
縦横の木枠だけだが、それが一列に並ぶと迫力もので、すごいかっこいいっ!
通り過ぎていく横には、ものすごい数の長いグラスやワイングラスがズラリと並んでいて、それだけでも、ガラスの壁ができたみたいに、室内灯に反射してキラキラ輝いている。
通された場所は、森に囲まれたガラス張りのテーブル席だった。
「おおぉっ! 森に囲まれてるなんて、すごいっ。それに、夜用のイルミネーションが見えて、カッコいいなぁ」
「俺が予約したから」
素直に感激している龍之介の後ろで、マイケルは自分を売ることを忘れない。
クルッと振り返った龍之介が、満々の笑みを投げた。
「そうだったな。ありがとなっ。すごいかっこいいぜ。俺の友達にジャンジャン自慢できそう」
そして、嫌味もなく、あまりに素直に大喜びされて、拍子抜けするマイケルは、ちょっと呆れ顔。
「リュウチャンよ、あんた、ホント素直でいい奴だな」
「ええ? そうか? 普通だけどな」
「いやいや」
「それはないぜ」
美花が話した通り、一人人数が増えてもレストラン側は全く問題なし。
やっぱり、偶数で美花を入れたら8人となると、4人席でも丁度いいし、8人席でも丁度いいのだ。
「おやつ食べずにお腹空かせてきて大正解。全部、食べまくらなきゃ」
「そうだよな」
「そうよ」
全員でタクシーに乗ってやってきたホテルは、泊まっているホテルから近くて、街に戻る必要はなかった。それで、5分もしないで着いてしまったのだ。
6時ではまだ夕食を食べに来るお客がまばらで、レストラン内もそんなに混雑しているようには見えない。
「龍ちゃん、今が食べ時ね」
「そうだな。混雑してない時の方が、より取り見取りだ」
龍之介もアイラに負けず、お菓子を食べてきていない。だから、昼間、あれほど山ほどのランチを取ったが、一応、ウォータースポーツをしたということで、消化済み。
あまり運動したスポーツではなくても、常夏の暑さで外歩きしていると、汗も噴き出て、それだけで結構カロリー消費がされているみたいだ。
「ちょっと、レストランの写真撮っていいか?」
「いいわよ。人がいないから、最高の時間じゃない」
それで、龍之介は携帯電話を取り出し、ガラス張りのテーブル席、グルリと向きを変えて、グラスがズラリと並ぶ通路、ご馳走が山ほど並んでいる界隈、パチパチ、パチパチ、と忙しない。
「いつでもどうぞバフェットに向かってください」、と勧められて、早速アイラは立ち上がっていた。
「アイラ、忙しないわね」
「お腹空いてるのよ~。ミカとジェイドはお酒でも頼むんでしょ? じゃあ、私のバッグよろしくねん~」
それで、椅子に置いてあるバッグの見張り役は、美花とジェイドになってしまった。
「さあ、行くわよ、龍ちゃん」
「おう、行くぜっ!」
やはり、若い子組はお腹が空いているらしく、双子も、ギデオンも一斉に立ち上がる。
「龍ちゃん、全部試してみるんなら、最初は一口ずつにしなさいよ」
「ああ、そうだな。それはいい考えかも」
「そうよ。辛すぎて食べれないのもあるかもしれないじゃない。それに、西洋料理は食べなくていいのよ」
「え? なんで?」
「あんな、クラッカーやら、パンやら、ハムやら、なんやらって、ホテルで毎日食べてるじゃない。これからも、まだ、1週間近く食べ続けるのよ。高いお金払って、今夜食べるものじゃないわよ」
「あっ、そっか」
自分の皿を取り上げ、一応、端から並んでみる。
「これ、サテイってやつじゃなかったか?」
「そうね。チキンだけじゃなくてビーフもあるのね。カレー味に、マサラ味? いいわね~」
アイラの皿の上にはよく焼きあがったサテイがポンポンと乗っていく。その横には、ピーナッツソースが。
そして、次の料理に進み、また次の料理にも進んで行く。
すぐにアイラの皿は山盛りになっていて、アイラは席に戻りだす。
「龍ちゃん、あっち中華みたいよ」
「そうなんだ。今は、インド料理のカレーに挑戦さ」
「そう。私もすぐに戻って来るけど」
「え? 戻って来るのか?」
「当然じゃない。もう一皿持っていくわよ。色々試して食べるのに簡単じゃない。毎回、毎回、席を立たなくていいのよ」
「へえ」
一皿ずつだけしかダメだと考えていた龍之介は、結構、変なところで生真面目な気遣いをするらしい。
だが、アイラが二皿目を取りに戻って来たので、龍之介もアイラの真似をすることにした。
「やっぱり、今はカレーかしら? ヌードルもいいけど、お腹いっぱいになっちゃうものね」
それで、アイラと同じくらいにテーブルに戻っていたレンは、アイラに無理矢理引っ張られてまた戻ってきている。
「俺は、毎回、席を立つの苦にならないんだけど」
「いいじゃない、簡単に食べれるんだから」
「どうせ、君の持てない皿持ちじゃないの?」
「そうよ」
そして、廉のご飯ではなくて、アイラのご飯を優先して、廉に荷物持ちをさせるアイラ。
相変わらずである。
典型的なインドカレー。バターチキン、マサラにコーマカレー、サグワラ(ホウレン草)、マドラスカレーもある。ダール(野菜だけの豆が入った)カレー。ゴート(山羊)カレーもある。
おまけに、大きなエビ一匹丸ごと出て来て、その上にカレーのソースをかけてくれた。
「ああ、おいしそう~」
「アイラ、見てくれよっ。エビ一匹丸ごとだぜ」
「おいしそうね。私も後でそれ挑戦するわ」
大きなエビ丸一匹が出て来て、龍之介も大喜び。
海が近いだけに、シーフードが混ざった料理もたくさんだ。さっき見た限りでは、どーんと大きな魚を丸一匹焼いた料理もあった。
それにどこを見ても、エピ丸一匹がどどーんと出てくるのである。
これは、今夜はエピの食べ放題だったりして。
「あそこのジュースバー気になってるのよね」
「どれだ? ――ああ、なんか色のついたジュースっぽいなあ」
「だから、レンにジュース持たせましょう」
「え?」
それは、なにか違うんじゃないかなぁ……、なんて?
だが、アイラは毎回のことなので、廉もすでに諦めている。
「どの色?」
「最初は赤。ベリージュースなのかしらね?」
「さあ」
「じゃあ、よろしくねん、レンちゃん」
そして、自分の皿を山盛りにしていくアイラだ。
「龍ちゃんはどうする?」
「え? 俺はいいよ。後で取りにくるから。それに、廉だって一気に持てないだろ?」
「別に、ウェーターに運んでもらうから問題ないよ」
「あっ、そっか。それなら――うーんと、じゃあ、俺は緑っぽいのがいいな」
「わかった」
「ありがとな。じゃあ、よろしく」
龍之介の皿も山盛りである。
早速テーブルに戻ると、アイラはすでにサテイを食べ始めていた。
「結構、いけるかも」
「そうか。楽しみだなぁ」
双子の方は、アイラに負けず皿が山盛りで、それでも、一皿の皿からものすごい量の食事が減っていく。
ギデオンは二皿だ。
ということは、アイラとギデオンはこの手の食べ放題で時間を無駄にしないらしい。
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