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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part2-マレーシア編
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その9-04

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* * *



 書類も書き終わり、代金も払うと、すぐ近くのビーチにやってきていた。


 お店の中にも貴重品などを預けれる場所があるそうなのだが、7人揃ってアクティビティをするので、一人のインストラクターだけではなく、もう一人の付き添いもついてくるらしく、その人が預かってくれるというので、全員はビーチに直行。


 さすがに、午後からだと日差しがきつく、肌をピリピリと突き刺すような強さに、暑さ。


 そして、気温だけではなく、午前中から温まった空気も上昇して、青く広がるビーチの上をゆらゆらと空気が揺れているようだった。


「あれ? アイラの水着、違うんだな。なんでだ?」


 それぞれに、Tシャツなどを脱ぎ始め出した中で、横にいるアイラのビキニが、水色のフリルがついているやつではなくて、龍之介がその不思議を素直に口にした。


()()()?」

「え? なにが? ――なんで?」


 自分の質問をそのままに返されて、龍之介もポカンとしたまま、また同じことを聞き返す。


()()()? 水着が違うなんて当然じゃない」

「え……、でも、なんで? もしかして、わざわざ、新しいのを買ったのか? 前のを洗えば済むだけじゃん。すんごい暑いから、即行で乾くしさ」

「なんですって?」


 ギロッと、理由も判らずアイラに睨め付けられて、理由が判らないだけに、パタパタと、瞬きしてしまうのは龍之介の方だ。


 ポンと、廉が龍之介の肩を叩いていた。


「龍ちゃん、女性の買い物に関しては、口を挟まない方が賢明だ」

「え? なんでだ?」

「いや、いいから」


「え? でも――だってなぁ……」

「龍ちゃん、こんな常夏のバカンスに来てて、水着の一つや二つもないなんて、情けなくて涙もでてこないわよ」


「え、なんでだ? ――いや、だってなぁ……。俺は一つ持ってきただけだし……」

「龍ちゃん、だから、深く指摘しない方がいい」


 なんだか、龍之介を諭すのではないが、廉はただ首を振ってみせるだけだ。


 どうも、納得がいく説明をもらった訳でもないのだったが、廉に諭されたのか、龍之介も、それ以上、質問を繰り返す雰囲気ではないようである。


「リュウチャンよ、女のショッピングは女に任せておけばいいんだよ」

「そうそう。下手に口だすと、後でどんな目にあわされるか判ったものじゃないぜ」


 いつもは、すぐに口を挟んでくる双子までも廉に賛同である。


 それで、益々、理解し難そうに、龍之介は首をかしげてしまう。


「いや…、そうかもしれないけどなぁ……――」


 実は、本人が全く納得していないもので、みなに寄ってたかって言いくるめられても、そう簡単に賛同できかねないのだ。


「――こんな暑い場所だから、水着くらいすぐ乾くと思うんだけどなぁ……――」


 それをこぼした龍之介に、なんだか、そこにいる男組み全員から、奇妙な視線が送られた。


「な、に?」

「リュウチャンよ、それは俺達の一族の前で口に出さない方が身の為だぜ」

「一族? ――俺達――って、アイラの親戚のことか?」


「そう」

「一族だぜ」

「一族――なのか? それも――すごいなぁ……」


 確かに、ものすごい数の親戚が揃っているから、“一族”と形容されても――多少の納得はいく。


 それで、龍之介もかなり素直に感心している。


「だから、親切から言ってやってるんだから、水着のことは口に出すなよ」

「いや……その――」

「おい、少年よ」


 ポンっと、年もさほど変わらないであろうマイケルが、龍之介の肩を囲んできて、なんだか、見知った風な様子で龍之介に頷いてみせる。


「俺達の親切心なんだから、しっかり聞いておけよ」

「はあ……」

「リュウチャン、双子の言うことはうるさいが、女性のショッピングに、洋服に、アクセサリーに、バッグに、至るもの全て、あっちに任せておけばいい。男には全く関係ない話だから」


 アイラの兄のジェイドまで親切にそれを言ってくるので、なんだか、本当にそうなのかなぁ……――と、龍之介も考えずにはいられなくなってしまう。


「まあ、深く考えんなよ」

「はあ……」


 結局は、全く理由の判らないまま、そこの男性全員に言いくるめられてしまった龍之介だったのだ。


 だが、あまり納得していない龍之介が知らない事実がここに一つ。


 そう。


 ここに揃っている男性陣は、もう、年端も行かない小さな頃から、一族内の女性陣全員に、そこら辺のマナーをしっかりと叩き込まれているのだ。

 下手に口出ししようものなら、一族の女性陣全員からものすごい勢いで、文句に、お叱りに、更なるエチケットやマナーの講義がされてしまう。


 それだけに、すでに幼少よりそんな(疲れる苦労)経験をしてきた男性陣は、女性のファッションに関しては絶対に口出ししない。口を挟まない。


 見て見ぬふり――もできない。


 ちゃんと、「ああ、とても素敵だね」と褒めなければならない状況が待ち構えているのだから。


 結構、個性の強そうな男性陣が揃っているのに、一族の女性陣には勝てない男性陣でした。


 全員に配られたライフジャケットを着こみ、まず、最初はクレイジー・ドルナツ。4人乗りなので、3人と4人で二回に分ける。


 アイラとアイラの兄弟が一緒になり、ドルナツの上に座ってベルトを締める。

 エンジンが快適にうなり、クレイジー・ドルナツを引っ張り沖に出て行った。


 スピードは快適で、早さもある。でも、なんだか、振り回されても怖くはない。初心者や子供向けの乗り物かな?


 そんな感想をアイラに聞いて、そっかぁ、とは一瞬ガッカリしかかった龍之介だが、それでも、意気揚々と乗り込んで行く。


 15分程のライドはすぐに終わっていた。

 安全圏の乗り物かな、なんて?


 よしっ。


 次のボナナビートに期待しよう!


 さっきと同じように、アイラ達がボナナビートの上に身軽に乗り上げていく。


 岸からそれを見ている龍之介達の前で、グングンと勢いを上げたボートがボナナビートを引っ張っていき、それから少し離れた沖で、ボートが一気に加速した。


「おおぉっ! 結構、引っ張ってくれるんだなぁ」


 今回のボナナビートは、全員が大人であるから、ボートをを運転しているインストラクターもかなりサービスしてくれているようだ。

 それで、スピードをグングンと上げていき、そのスピードのままボナナビートを左右に振り回してくれている。


 遠目からでも、一番前に乗っているアイラは随分楽しそうだった。


「結構、面白かったわ」

「見てても、面白そうだったぜ」

「そうねん」


「なあ、きっと、最初っからサービスしてくれたんじゃないかな?」

「きっと、そうねん。振り回されて、面白かったわよ~」


 おお、とお楽しみの時間を期待して龍之介も気分が上がっていく。


「じゃあ、いってっらっしゃい~」


 ひらひらと、アイラに見送られて、龍之介や廉、それに双子が次のボナナビートに乗り込んで行く。

 それで、ボートがグングンと加速し、また沖に着いていた。


 スピードのままに振り回されて、水飛沫が飛び跳ね、顔を濡らし、熱い日差しの下でのウォータースポーツは気分がリフレッシュする。


「良かったぜぃ!」


 元気よくボナナビートから飛び降りた龍之介は満面の笑みを浮かべ、警戒に小走りで戻って来る。



読んでいただきありがとうございました。

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