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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part1-出会い
10/215

その2-05

 アイラがトイレに入っている間、その場に残された三人は、ついその視線を廉に向けてしまう。


「なに?」

「女生徒を連れ込むとはいけないな、藤波君」

「君ね、親元離れてるらしいけど、そういった行いはあまり奨励できるものでもないな」


 廉はちょっとだけ口元を上げるようにして、

「まだ、手を出してないんですけどね」

「まだ――って、手出すつもりなの? 廉って、その顔のまんま、手が早いんだな」

「その顔の()()()? ――それは?」


 廉の顔が少々複雑そうに、ひくり、と引きつっていた。


「廉ってさ、遊んでなさそうな顔だけど、でも、裏で女いっぱいいそうな感じだもんな」

「どうして?」

「だって、女慣れしてる感じするしさ。いつも、女子が寄ってきても、全然、動じてないじゃん」


 そういう問題ではないだろう――と廉が言い返そうとしたが、あまりに無邪気にそれを口に出している龍之介は、廉が遊んでいる――と疑いもせずに信じているようだった。


 訂正するにも、あまりに無邪気なその様子を見ていると、溜め息だけがこぼれてしまう。





「――ねえ、あんた、もう大丈夫なの?」


 居間に戻ってきたアイラに、龍之介が聞いた。だが、その瞳は興味津々といった感じがありありである。

 なにが珍しいのかは知らないが、その瞳を丸くして、随分、あからさまにアイラを凝視してくる少年である。


「ええ、まあ――」


 それに答えるアイラだったが、またじぃっと龍之介がそのアイラを観察している。


 トイレで確認したアイラは、自分の顔がかなり青ざめていることに気がついていた。その顔色を見ている限りでは、到底、大丈夫の部類に入るはずもないのは百も承知である。


 嘘八百――があまりにしらけているので、アイラは仕方なく藤波という青年に向いて、

「私の――ブレザー、どこですか?」

「ああ、あれね――」

「ここにあるよ。俺の横にちゃんとあるぜ」


 アイラのブレザーを取り上げて龍之介が座っている場からそれを持ち上げて見せた。


「それは、どうも――」


 さっさと龍之介からそのブレザーを受け取って、アイラはポケットを探ってみる。携帯を取り上げて、皆の前で勝手に電話をかけ出してしまった。


 その光景を全員が黙って眺めている。


「――迎えに来て」


 相手が電話口に出るなり、アイラの簡潔な一言が出されていた。電話の向こう側で文句を言っているが、アイラはそれを無視して、

「ここどこですか? 住所は?」


 つっけんどんに問い返されて、廉はそのアイラをじぃっと見返してはいたが、一応、それを説明するらしい。


「六本木――サンライトマンション305号室」


 説明されたままを電話の向こうに繰り返し、

「学校の生徒が運んでくれたみたい。だから、迎えに来て」


 グッ、と向こうで詰まっている様子は伺えたが、アイラはそれで会話を終えて、さっさと携帯を切ってしまった。



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