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エルフだって……猫耳したい! ~お姫様はただオシャレしたいだけなのに、なんでいつもゴタゴタに巻き込まれる? それはこの小説世界の主人公だからです~  作者: KUZ
第6章 木曜スペッシャル! ヒトゥリデ様と探検隊 ~緊急特報! 秘境の奥にまぼろしの果実を見た~
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6の10話

 清々しい朝日を受けて、新しい1日が始まる。

 エルダ山と勝手に名付けた山の中腹には、山々の絶景を見渡す形でテラスがこさえてある。

 真夏だというのに肌寒いが、それすら何故か心地好い。


 小振りなテーブルを幾つか並べて、エルダさんが朝食の準備をしてくれる。

 手伝うとナツキが言ったが、

「いいから、いいから」

 と座らされる。

 エルダさんは、朝からやけに元気がいい。


 席には僕、ナツキ、ワンタロウ、ランコが着いている。

 ナツキとワン太は景色に見とれているが、ランコは室内から漂って来る香りで心ここにあらずといった感じだ。


「よーう、早いなあ」


 ドワーフおじさんドワルゴが起きて来た。

 オッサン臭く、欠伸あくびをしながら胸元をポリポリ。

 実に眠そうな表情だが、肌つやがやけにいい。

 もうテカッテカのツヤッツヤだ。


 ま、まあ、アレだな。

 温泉だなー。

 温泉浸かると、お肌トゥルントゥルンになるからなー。

 昨晩入った温泉は最高だったからなー。





「皆さん、温泉で疲れを癒してちょうだい」


 夕食後の談笑が一段落ついた時、エルダさんから笑顔でそううながされた。


「「「温泉!」」」 と思わずみんなの声が揃う。


「温泉があるんですか?」

わらわは温泉、大好きなのじゃ~っ!」


 頭上の耳がピンと立ち、いち早く獣臣カップルが食いついた。

 今では珍しい、純粋に近い獣人であるふたり。

 種の本能みたいな所で、温泉を求めるのかもしれない。


「なんだ、竜王山には出んのか? 温泉」


「出ませんねえ、残念ながら」

「残念なのじゃ」


「そうか、残念だな」


 竜王山レジャーランド計画に一口乗っている、ダイヤモンドグループの女社長は少しがっかりした。


「うふふ、秘境から遠いと湧きにくいでしょ。

 うちは秘境温泉そのまんまだからね!

 気持ちいいわよ~ぅ」


 秘境は良くも悪くも、大地のエネルギーに溢れている。

 地球内を巡っている気脈、龍脈などと呼ばれる流れが地表に近いからなのだろう。

 もちろん火山活動も活発になり、温泉も湧きやすくなるのだ。


「でも混浴だから、覚悟し、て、ネ!」


「「「ええええええーーっ!」」」


 驚く一同。

 だが、確かにここはホテルや旅館ではない。

 あくまで一個人の邸宅だ。

 そりゃあ、お風呂はひとつしかないだろう。

 だからと言って、みんな一緒に入る必要はないのだけれど。


「おおっ!

 私は、構わんぞっ!」


 ダイヤ先輩は鼻息荒く了承する。

 そしてランコ、ヒトゥリデを見詰め、

「な? な?」

 と仲間に引き入れようとする。


「ええっ!?」


 あからさまに嫌な顔のヒトゥリデ。


「え~っ?」


 どうしよっかなあ、と、温泉の誘惑に妥協しそうなランコ。


「「!!」」


 想い人との入浴は嬉しいが、他の男の視線には晒したくないという揺れる男心2つ。


「なあ、俺も一緒だけど大丈夫か?」


 ドワルゴが妻に聞いてきた。

 若い子ばかりに気が行っていたセクハラ女子2名は、中年男性の存在を完全に失念しておりました。


「あんたは男湯の方に入りなさいよ!」

「何だそりゃ!」


 あるんじゃん、男湯。


「男湯もあるんですね。

 じゃあ僕は、ドワルゴさんと男湯に入ります」

「あ、俺も」


「え? ああ、僕も、じゃあ、男湯で」


 チッ……

 僕はここでひとり混浴へ行くほど、空気よめない君ではないのです。 

 チッ……





「はああ、すごく気持ちいい……」


 ゆっくり肩まで浸かると頬を上気させながら、吐息混じりに美少女は呟く。

 少し体の位置を変えると、先程まで湯の当たっていた所に、白とピンクで境界ができている。

 透き通る肌とはこういう事か、と見た者は思わずため息をついてしまう。


「ふうっ、もうダメえ」


 熱めの露天風呂は苦手なのか、5分と持たずに立ち上がる。

 若い肌はお湯を弾いて、数多の水滴が裸身に淡く輝きを添えた。


 ゴクリ。

 となりで生唾を飲む音が聞こえる──


 おい! ワン太! ドワルゴ!

 お前ら、ナニ変な気持ちになっているんだ!

 この美少女にはナニがついているんだぞっ。

 ……失礼。

 この見た目美少女、ナツキには。である。


「ワンタロウ、大丈夫か?」


 こいつは以前、ナツキに惚れてたという見事な実績がある。


「い、いやだなあ。

 何が大丈夫だと言うんですか?

 あは、あはははは」


 大丈夫じゃないらしい。


「おい、もう俺らも上がろうや。

 ははは、何だかのぼせそうだからな」


 むむむ、そうだな。

 この顔のほてりはお湯のせいだろう。

 まあ、そんな事にしといて、僕ら3人もナツキに続いて浴場を後にしたのであった。


「お、みんな出てきたな」


 浴場入口前のロビーみたいな所で、ダイヤ先輩が牛乳瓶を片手に立っていた。

 他の女性陣は近くの長椅子に腰かけている。

 やはり手には牛乳瓶。


「どうしたんですか? それ」


 聞いてみる。が、エルダさんに貰ったであろうという事は聞くまでもなかったと思う。


「風呂上がりには、やっぱりコレだろ。

 お前たちにもご馳走してやる。

 どれがいい?」


 と、ダイヤ先輩は自販機を指差した。

 自販機?

 長椅子の脇に牛乳の自販機!

 なんで個人宅に自販機?


「俺が牛乳を自販機にしたんだ。

 ほっとくとガブガブ飲まれちまうんでな。

 そしたらエルダが気に入っちまってな」


 僕ら男性陣が戸惑うのを感じたドワルゴが、言い訳の様な理由を話す。

 エルダとドワルドンがいつも飲み過ぎて、えらい金額になっていたそうだ。

 クワルノの牛乳だから美味しいのだそうだ。


「じゃあ、俺、フルーツ牛乳を」

「妾はフルーツ牛乳も飲みたいのじゃ!」


「お、いいぞいいぞ。

 じゃあ私もフルーツ牛乳をもう1本」


 

 この後しばらくして、先輩とランコはトイレに駆け込んでいた。

 先輩が3本。

 ランコは5本飲んでいた。





 チャララーラー チャーラチャーラ チャララーラー……

(流れてくるBGM。某ボクシング映画のエンディング曲)


 秘境──そこは最後のフロンティア。

 未だ人類の進入を阻み続けている未踏の地。

 その最奥の地に、我々は確かに感じたのだ。

 ある。必ずあるであろうと。

 そうきっと、魅惑のカカオは密かに、我々が訪れるのを待っているのかもしれない。


チャンチャンチャンチャン バーーン(BGM)


『だから、そういうの分かんないってば!』 


 いいんです。

 一応、始まりに合わせたのですよ。

 締め方と始め方を同じにしないとですね。


『ハイハイ、ご丁寧な事で。

 そんなん気にするよりさ……

 この章であんたの名前、全く出てないわよ』


 ええっ!

 うそっ!


『次章、激闘カカオ争奪戦!

 お楽しみに。

 なんちゃって』

  

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