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エルフだって……猫耳したい! ~お姫様はただオシャレしたいだけなのに、なんでいつもゴタゴタに巻き込まれる? それはこの小説世界の主人公だからです~  作者: KUZ
第6章 木曜スペッシャル! ヒトゥリデ様と探検隊 ~緊急特報! 秘境の奥にまぼろしの果実を見た~
62/72

6の6話

 2話続けての衝撃発言で、各話賑わせながらめてくれたエルダさん。

 しかも前話の発言では、もうただの賑やかしではない。

 この6章の根幹に関わる情報、いや、イベントかもしれないのだ!


 とは言え、思春期真っ只中の隊員たちには更に刺激が強すぎた。


 髪と瞳は、深紅の中に漆黒がいく筋か入った模様で、情熱的なマグマを連想させる。

 その長い髪を丸く束ねて上げた、うなじのほつれがつやっぽい。

 エルダさんは一口に美女と言っても、色香の匂い立つような美女なのだ。


 そんな肉感的美女には夫が2人もいて……

 それが兄弟でドワーフ、しかもオッサン。

 そりゃあ妄想しない訳がないだろう。


 ダイヤ先輩なんか、タラリ鼻血が一雫。

 腐女子の彼女がBL以外でそんな反応は珍しい。

 それほどインパクトが強かったのだ。



「エルダさん!

 その口ぶりだと……」


 それでもダイヤ先輩は、鼻血拭き拭き質問の声を上げた。

 そう、今はそれよりも聞く事がある。


 もうひとりの夫、ドワルドンを助けてちょうだい──


 エルダの口ぶりでは、ドワルドンの現状を彼女は知っているという事か。

 そしてその情報は、あまり良い内容ではなさそうだ。

 

「その口ぶりだと……

 上位のドラゴンは夫を複数持てるのか!」


 先輩は思いっきり煩悩にシフトしていた。

 まったくこの人は……

 話には優先順位があるでしょうに。


 あ、そうか。

 さっきエルダさんは、のんびりドワルゴと痴話喧嘩をしていたくらいだ。

 そう切羽詰まった状況でもないんだろう。

 さすがダイヤ先輩。

 基本、この人は頭の回転が速いのだ。

 

「ちょっと! そんな事より!」


 おっと、ヒトゥリ様が先輩を制止する。

 本来ならヒトゥリデは根が真面目なクセに、それを人に見せようとはしない。ツンデレだから。

 そんな彼女に先輩を止めさせるとは。


 ナツキ! お前は何をやっている!

 お前の仕事は、そうやって頬を赤くして、モジモジする事か!

 ……クソッ、可愛すぎやがる。



「エルダさん!」


 ヒトゥリデは続けた。


「それ変化へんげ魔法ですか?変化ですよね?変化しましたよね?魔法でですよね?魔力感じましたですもんね!魔力ヤリっと出しよりましたですもんね!教えて下さい!変化魔法ば知りたいとです!チカッパイ知りたいとです!」


 そうでした。

 ヒトゥリデにとって最も重要なのは、エルダが目の前で変化魔法を使ったという事実。

 探しても探しても見つからなかった禁呪の様な魔法が今、手に入るかもしれないって事なのだ。

 そりゃあ、目の色も変わるだろう。

 因みにチカッパイはとてもの最上級。


「ちょ、ちょっと、どうした、うぬら……」

 

「ちょこーっと! ほんのちょこっと、ヒントだけでも!」


「おいヒトゥリデ! そんな事とは何だ!

 私が先に質問している。順番を守れ!」


「何言ってんの!

 第一、よくナツキ君の前で聞けるわね。この浮気者!」


「ええ! ボ、ボク!?」 


「んなっ、ち、違うぞ、ただの、興味本位でだ」


「じゃあ黙ってなさいよ!

 これは私の人生がかかってんのよ!」


「んむむ……」


 ヒトゥリ様がダイヤ先輩を気迫でねじ伏せてしまった。


「教えてっ、エルダさんっ」


 詰め寄るヒトゥリデ。


「こ、これね。

 すまぬが、これは魔法じゃないぞ」


「へ?」


「我は違う姿に変わった訳ではない。

 今も我、今しがたも我。

 うぬらで言えばパジャマに着替えた様なものだ」


「で、でも、さっき膨大な魔力を感じて」


「うむ。

 体を一度、うぬらの間で言う、マナだかマソだかにして、再構築しとるだけだな」


 エルダさんによると、変化魔法はこの段階までは一緒らしい。

 そこから自分ではない者に作り替える為、非常に難しいのだとか。

 自分の姿に戻すだけなら簡単で、回復魔法はそれと基本変わらないそうだ。

 それだけ個々各々には、自らの情報がしっかりと記憶されているという事だ。


「そ、そんなあ……」


 へなへなと、その場に崩折れるヒトゥリデ。


「そもそも、うぬの方が変化へんげしておるではないか」


「いやあ、言わないでえ」


 うずくまったまま両手で耳を塞ぐヒトゥリデ。

 そう。彼女の姿はドゲン爺ちゃんだった。

 騒ぎに駆けつける直前に、もう一度杖を使っていたのだ。

 まだまだたっぷり1時間、爺ちゃん姿のヒトゥリデであった。



「あ、ついでにうぬの質問」


 言ってエルダさんはダイヤ先輩の方を向く。


「我の様な原初に近き存在には寿命がない。

 うぬらの出現前から存在し、滅亡以降も存在するであろう我が縛られる事か?」


「ううっ……」


 などとうそぶきつつも、エルダさんは優しく答えてくれた。

 本当は寿命が無いので子が出来にくいそうだ。

 同じエルダークラスの竜相手だと特に難しく、何万年経っても妊娠しない夫婦はざらとの事。

 最初の夫は自分と同じ黒龍種で、1億年一緒に暮らしても授からなかったとの事。

 何だかんだで大喧嘩して別れ、龍種はもうこりごりだ、との事。


「一応の寿命がある、エルフだってそうなのよ。

 ハイエルフ同士だと妊娠しないわよ~」


 その通りの話で、現にミィンナデさんのあと、ヒトゥリデが誕生するのに4千年以上かかっている。


「ドゲンちゃんとこにナンちゃんが出来たのも1万年近く経ってたんだゾ」


「えっ? おじいちゃんの事、知ってるの?」


 驚くヒトゥリデ。

 つーか、エルダさん、話し方……

 まあ、いいけど。


「ププッ、その格好で言う?」


「もおおう! やめてえ!」


「アハハハハ…………ハ?」


 ジーッとエルダを見詰める探検隊一同。ヒトゥリデ以外。

 みんなも彼女の雰囲気に気がついた様だ。

 ヒトゥリデ以外。

 

「わ、我が言いたいのは、だな、小さき者よ。

 自らが幸せにする事の出来る伴侶の数なら、誰に文句を言わせよう!」


 ジーッと見詰め続ける探検隊一同。


「王様に何人も妻がいたって変じゃないのに、ナンで女王に夫が複数いるのは白い目で見られんのよっ!

 納得いかないわっ!」


 つい、本音を漏らすエルダさんでした。

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