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エルフだって……猫耳したい! ~お姫様はただオシャレしたいだけなのに、なんでいつもゴタゴタに巻き込まれる? それはこの小説世界の主人公だからです~  作者: KUZ
第6章 木曜スペッシャル! ヒトゥリデ様と探検隊 ~緊急特報! 秘境の奥にまぼろしの果実を見た~
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6の4話

 笑いの収まった一行は、改めてドワルゴ救出への歩を進めた。

 

 森の中には人が歩いて踏み固めた道が、ほぼ真っ直ぐに伸びている。

 ダイヤ先輩のマップによると、このまま直進すればドワルゴに合流出来るとの事。


「それにしても……」


 慎重に前を警戒しながら先頭を歩くダイヤ先輩が、誰にかけるともなく話し出す。


「いきなりエルダードラゴンとは驚いた」


 それに無言で頷く一同。


 そう。

 秘境は危険だという事は、知識としては知っていた。

 だが体験してみると、その危険を全く回避出来なかった。

 あれがドワルゴ以外だったら、噛まれた瞬間で詰んでいた。あ、ダイヤ先輩でも大丈夫な気はする。


「私がかつて聞いた話では……

 こんな人里近い場所で危険なのは、ゴブリン辺りの人型だったはず」


 さらに続けるダイヤ先輩。


「こんなところじゃ奴ら、狩りどころかドラゴンの餌になるだけだぞ」


 また黙って頷く一同。


 そうなのだ。

 普通ドラゴン等の大型モンスターは、こんな入口付近でウロチョロしてちゃあイカンのだ。

 そこまで秘境が危険なら、ハンター連中では役者不足だろう。

 とっくに軍の管轄になっているんじゃなかろうか。


 お約束ならこういうエリアには数体、ボスやら中ボスやらがいて、森の最奥や山のいただきなんぞに踏ん反り返っているもんだ。

 それで下っ端モンスターは外へ外へと追いやられ、人里に出るしかなくなり冒険者の依頼対象になる。

 これが由緒正しきファンタジーの流れだろう。


 今ではハンターと魔法の鉄条網で魔獣の流出を防いでいるが、所詮はそんなレベルの相手をしているに過ぎない。

 人間と共存出来ない種族の連中が狩っているのもその辺り。 

 そういった強者のピラミッドがしっかりしているからこそ、4千年もの隔離対策は成功しているのだろう。


 エルダードラゴンとは高齢エルダーなドラゴンの事。

 ドラゴンは創世と同時に誕生したと言われ、エンシェントドラゴンの中にはエルフ出現以前のン十億才ってのまでいるらしい。

 そんなエルダーやエンシェントなんてクラスのドラゴンはもはや神。神獣なのだ。


 そんな存在が入口脇でコソコソと……

 おまけに食いついたのは、堅くて小さいドワーフって。

 どんだけ切羽詰まってんだ。


「師匠、ひょっとしたら、エルダードラゴンが恐れる程の何かが君臨してるんじゃ……」


「私もそんな事を考えていた」


 探検隊の足取りは重くなる。

 だが引き返す訳にはいかないのだ。

 そんな事は負けず嫌いなボスキャラ2人が、けして許さないだろうから。


『無理強いはしないわよ。

 でもドワルゴさんは皆も助けたいでしょ』


 もちろん分かってますよ。

 皆、同じ気持ちですね。

 さあ、もうすぐ着きますよ。


「先輩、もうすぐ着くんじゃない?

 気合い入れて行きましょ!」


 さっきは笑えたヒトゥリデの姿も、今は頼もしく感じる一同であった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「観念するがいい、小さき者よ」


「ざけんな! バーローメ!」


 森にえらく尊大な声と、ひしゃげたヒキガエルが怒鳴っている様な声が響く。

 やはりドワーフおじさんドワルゴは無事だった。

 いや、現時点では無事だった。いや、無事とも言えないか。


「いい加減に潰れてしまえっ。

 堅くて小さき者よっ!」


「ぬがああああっ!

 てやんでぃ! こんちくしょう!」

 

 体長10メートルにもなろうかという巨大な竜が、両手ふりふり地面の何かを踏みつけている。

 まあ、その何かはドワルゴなのだけれども。


「小さきバカドワーフ!

 死ね、死んでしまえ!」


「ぐぬぬ……話せばわかる……話を聞け」 


「問答無用! 聞く耳持たん!」


 んん?

 何だかまるで痴話喧嘩みたいな会話だ。



「ドワルゴ! 大丈夫か!」

「ドワルゴさん、無事ですか?」


 なんとか救援は間に合った様だ。

 先ずはダイヤ、ナツキ師弟が駆けつける。

 騒ぎが届いたので、2人が先行したのだ。


「美女! ふたりも!」


 師弟に目をやった古龍は鼻息荒く叫ぶとともに、大きく息を吸いだした。


「いかん! 来るぞナツキ!」

「はい!」


 ダイヤ先輩とナツキは左右に分かれ、近くの大木の陰に身を隠す。

 ドラゴンブレスを回避するためだ。

 エルダードラゴンは吸っていた空気を止めた。


「キーーーーッ!

 浮気者ーーッ!」


 出てきたのは炎の息吹ではなく、嫉妬の炎の様だった。


「だから誤解だって! 話を聞け!」


 どうやら痴話喧嘩の様な、ではなく……

 ドワルゴとドラゴンの、痴話喧嘩そのものだったみたいである。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「我はエルダ。至高にして最強なるエンシェントが末席。敬うがよい」


「「「エンシェントドラゴン!」」」


 巨大な竜から出てきた言葉に、思わず声を揃えて驚く一同。

 エルダードラゴンだと思っていたら、エンシェントドラゴンだった。

 これはもう、神様と話している様なものだ。



「おいおい、いいのか? 

 お前ただのエルダーだろ?」


「ブッブ~! 先日欠員が出たんですう。

 億才超えてんの私だけだったんですう」


 どうやら5はしらの神龍の1柱が、最近死んだか、異世界に飛ばされでもしたのか、存在が消失したので空席が出来たのだそうだ。

 エンシェントドラゴンさん達は4だと縁起が悪いんで、最年長のエルダードラゴンを仕方なしに格上げしたらしい。

 なんじゃそりゃ。


「いくら欠員が出たっつっても、実力が足りねえだろ」


 エルダさんの説明を聞いてドワルゴが食い下がる。

 ごく親密な友人……じゃなかった。

 ごく親密な友ドラゴンだからって、ちょっとズケズケ言い過ぎなのでは?

 相手は末席ながらもエンシェントドラゴンですよ。


「良いではないか!

 せっかく妻が出世したのだぞ!

 もっと我を褒め称えよ!」


「「「ええええええーーっ!」」」


 友人どころか、ドワルゴさんの奥さんでした。

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