6の1話
我々木曜スペッシャル取材班の元へ、ひとつの情報がもたらされた。
それは伝説の果実「魅惑のカカオ」が存在するというものだ。
情報もとは現地露店商の中年原住民の訴えで、そのカカオを採りに行った兄が戻って来ないという話なのだ。
我々取材班は直ちに現地へと向かい、ヒトゥリデ・ショルトカを隊長とする「ヒトゥリデ様と探検隊」を結成。調査に当たる事となった。
木曜スペッシャル
ヒトゥリデ様と探検隊
緊急特報!
秘境ジャングルの奥に、幻のカカオは存在した!
BGM(チャララ~チャララ~チャララ~チャララ~チャラジャジャン!)
『ねえ、ノリノリのとこ申し訳ないんだけど』
はい。ヒトゥリ様。
『ナニそれ、意味わかんない。
ナニ水曜? スペシャル?
ナニ取材班って。
原住民ってドワーフおじさんの事でしょ』
よろしいですか、ヒトゥリ様。
水曜じゃなく木曜! んでスペッシャルね!
似たような番組、人物、表現は、一切関係ありません。
……まあ、わかんないでしょうけどねえ。
僕の世代が小学生の頃は、クラスの男子全員が夢中になった番組なんだけど。
『あんた、いったい何歳なのよ。
ああ、あんたの世界のテレビ番組なのね』
そうです、そうです。
あはははは。
つい最近やってたような、すごく前だったような。
『フン、あんたの世界の事なんかより今はカカオよ。
うまくドワルドンさんに会えればいいけど』
そうですね。
いずれ会えるのは分かっていますが。
ヒトゥリ様の行動によって結果が変わるので、はっきりとは見えないんですよ。
『チッ、使えないわね』
あんたのせいだっつーの!
現在、我々探検隊は秘境方面に向かうバスに揺られていた。
先ずは秘境に近い村、クワルノへと向かっている。
弟ドワーフのドワルゴが拘りの生乳を仕入れていた村だ。
「クワルノ産の牛乳は今でも取り寄せてんだ。
さすがに普通ので割って使ってるけどな」
ピクニック気分のおっさんドワーフが、役に立たない情報を言ってきた。
何度も行ったことがあるらしい、秘境の話をして欲しいのだが。
そうなのだ。
一緒にドワルゴおじさんも来ているのだ。
今回の秘境探索の事を話した時、
「俺も行く。道案内くらいにはなるだろう」
と言ってくれた。
願ってもない申し出だ。即OK。
ドワーフとエルフのパーティーなんて、もう最高じゃないか。
いやいや、秘境初体験の我々には心強い案内だ。
今回は、おとといスイーツ探しをした6人とドワルゴの7人パーティー。
前衛だらけの回復なし。全滅必至の突撃パーティー。
と思ったら、ドワルゴさんは軽い傷なら回復が出来るとの事だ。
ホー国時代を経験しているドワルゴさんは戦士としてのスキルも高い。
普通回復魔法は僧侶や神官の魔法で、戦士は使えない気がするんだけど。
ドワルゴさんは「ザックリ傷の治癒」なる料理人スキルを持っているんだとか。
これでミィンナデさんが加われば、それなりの冒険ファンタジーなパーティーになるんだけれど。
いやいやいやいや、ご心配なく。
ちゃんと魔法使いも用意しております。
いざという時には超絶魔法の使い手が現れます。
『絶対嫌よ! 絶っっっ対嫌よ!』
まあまあ、ヒトゥリ様。
使う場面がなければ、使う必要もないんですから。
『もう! それ前フリでしょ!
もうフラグ立ってんじゃーん!』
これこれ勇者よ。
登場人物がフラグとは何事じゃ。
『とにかく、私はもう嫌よっ!
おじいちゃんになったら1時間は戻んないんだからっ!』
などと心の中で叫んでいるヒトゥリデではあったが、車中のシートに座る膝の上には杖がちゃんと置かれている。
隣に座る僕の膝にまで乗っかってる、そのジャマな杖。イテッ……
その「ドゲンの杖」を。
ヒトゥリデ様は~、洞窟に入る~。
ちょっと若い人には分からないノリで6章のスタートです。
小学生の頃は探検ゴッコが流行るくらい人気だったなあ。
読んでいただきまして、ありがとうございます。
次話もどうか、よろしくお願いいたします。




