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4の2話

 我等ヒトゥリデパーティー6人は正午現在、列車に揺られ移動中であった。

 腹が減っては戦は出来ぬ。

 4人向かい合う形の座席に、僕とヒトゥリデが並んで座り向かいに荷物。

 荷物は大きめのランチボックスで、おにぎりがギッシリ。開いて置く。


 その4人掛け席の通路を挟んで左横の席に残りの4人。

 セシリー、カーナが並んで座り、向かいにワン太、ランコと座る。

 僕はランチボックスを取り、通路越しの友人へおにぎりを渡す。


 緊張で躊躇したワン太ではあったが、能天気なカーナからぐいぐいボックスを押し付けられ仕方なしに1つ手に取る。

 オーソドックスな海苔のおにぎりと、海苔代わりに大きな1枚の高菜漬で包んだおにぎりの2種類。

 奥様が握って持たせてくれたのだが、俄然、みんな高菜おにぎりを手に取る。

 旨さが段違い(ダンチ)なのだ。



 我等ヒトゥリデパーティーは何もピクニックに出掛けた訳ではない。

 昼飯まで2時間程あるので、居間でのんびりくつろいでいた所……

 ワンコ村から知らせが届いたのだ。


 ナンバ様が難しい顔をして部屋に入って来た。

 結界が開いた時に作動する警報が鳴ったとの連絡だそうだ。


「どうする、やめるか?」


 ナンバ様は直接手出しせず、ダイヤモンド家の方にアプローチするつもりらしい。


「う、うん。でも、あの人達も心配だし。

 やっぱりゴーレムだけでも無力化しに行こうかな」


「わかった。絶対無理も深追いもするな。テルオ頼むぞ」


 ヒトゥリデ主従は無言で頷いた。

 ナンバ様も頷き返す。


「みんなはどうするかい?」


 今度は他のみんなへと視線を向けた。

 しかしナンバ様のこの質問は愚問だった様だ。




 どの道お昼を食べたら出発だったのだが、状況が一変した。

 偵察任務が最悪な場合、ゴーレムに加え敵との戦闘という事になってしまう。

 こちらには幼い頃から鍛練した獣人ふたりと、攻撃無効の僕がいる。

 だが先方のダイヤ先輩も相当な手練れらしい。


 今まで4千年間奪われる事のなかった、前後門ふたつの鍵。

 いくら手薄になったとはいえ、全く警備がいない訳がない。

 どちらの村でも、トップクラスの強者が警護についていたのだ。

 不意討ち程度ではどうにもならない実力者が最低ふたり、扉前に立っていたはずだ。


 どうやら瞬殺だったようだ。

 まあ、瞬殺と言っても本当に殺した訳ではないんだけど。

 ふたりずつ計4人、気持ちよく気絶させられていた。


 見透視の僕の能力で見てみれば……

 ひとり目は不意討ち。

 ふたり目は有無を言わさぬ速度での当て身。

 普通の不意討ちでは通用しないだろうが、レベルが違うって感じだ。


 注意すべきはこのリーダー、アケミ・ダイヤモンドだが、彼女が達人だろうと僕を相手にしてくれる分には問題ない。

 だが他の者に牙が向いたら……

 特にヒトゥリ様に向いたら即詰みだ。


『ちょ、ちょっとどうすんの?

 私、すごく不安なんですけど』


 とにかく距離を取りましょう。

 絶対どんな場合でも近くに行かない。

 僕かランコの傍にいる事。


『う、なんか子供扱いみたいだけど贅沢言えないわね』

 

 ナンバ様も言ってましたが、深追いはしなくていい様です。

 やはり、そこまで現代社会に問題となるアイテムでもないだろうと思われます。

 最悪、何かしらナンバ様にも打つ手はあるようですし。


『え?』


 ダイヤモンドの名前で思う所がある様ですよ。

 まあ、本人が口にしない限り聞くものでもないでしょうけれど。

 とにかく、みんなとも話し合って戦法等打ち合わせましょう。

 

『う……ん、そうね。

 今はあれこれ考えたって仕方ないものね』


 そうですよ。

 今回はまず全員無事に帰ってくる事。

 その為に最善を尽くしましょう。


『うん。

 なんか冒険ファンタジーっぽくなって来てない!』


 その一言がなけりゃね!



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 ズズーーン!


 地面に自分の上半身と同じ位の大きなこぶしが叩きつけられ地響きを上げる。

 3メートルを越える体に、ハンマーの如く特化して巨大な両手。

 その振り下ろされた右手の肘をひと蹴りして跳躍、額の宝玉辺りを足の裏で蹴り砕く。

 今の今までゴーレムだったその巨体は、みるみるただの土くれに変わっていく。


 ダイヤ先輩は素早く地面の赤い宝玉を拾い上げる。

 この石は放置していると触れている土を固めていって、また先程までのゴーレムに戻るそうだ。


「こいつは後で、またここに放り投げておこうな」


 ポッケに石を入れながら、先輩は実に楽しそうだ。

 ゴーレムは処分するのでなく、一時的に排除するとの事。

 そして出て来るゴーレムは可能な限り、自分ひとりの力で倒してみたい。

 それもまた満面の笑顔で語っていた。


「先輩、それじゃあ僕の出番は無しですかあ?」


「まあミチ焦るな。そいつは最後だ」


 先輩は次行くぞ、と先を促しナツキに並ぶ。


「ナツキ、お前の気持ちは分かる。

 まるで私が墓荒らしみたいな事をやってるからな。

 死んでないから墓じゃないけど」


 ナツキは無言で頷く。


「だが何故ゴーレムの強さが違う?

 何故わざわざ奥に行くにつれ強くなっていく?

 本気で守りたくば最初ハナから最強の数体で守ればいい」


「「!?」」


「あなた達は盗みは悪いという一点だけ見てるでしょ。

 いい? 思い込みはそこで思考を停止させるのよ」


 僕の師匠カヨせんぱ……いや、ハートクイーンが僕とナツキに語り掛ける。

 違うな、僕にだな……

 不甲斐ない弟子に、もっと考えろと言っているのだ。


「私達は試されておるのだ。

 試練を乗り越えてみろと、ドゲン公は言っておるのだ。

 褒美が欲しくば己が力を示してみよとな!」


 まあ、たしかに一理ある。……様な気もする。

 思わずナツキと顔を見合せ苦笑い。

 どうやらナツキも心がちょっと軽くなったみたい。


 でもそれじゃあ、全部実力でゴーレムを倒すって事?

 いやいやいやいや、無理でしょう。

 いくら先輩が強くても、僕らみんなオマケみたいなもんですよ。

 この先も僕らを守りつつずっと?


 ズシン、ズシンとまた嫌な地響きが近づいて来た。

 5体目になるゴーレムだろう。

 さっきのより重そうな気がする。


 うううううう、怖いよう。

 取り敢えず効果あるかだけでも確かめさせてくれないかなあ。

 このマジックキャンセラー。

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