表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/72

3の9話

 我々コウカ東高校美術部は、何故かワンコの隠れ里で下働きをさせられている。


 ナツキに嫌われたと落ち込むワンタロウをそそのかして、上手い事隠れ里に入れると思ったのだが。

 そうは問屋が卸さなかった。

 友達を連れてきました~的なノリは通用せず、手札のワンタロウは役立たず。

 私達は捕らえられて屋敷の一室に監禁されてしまった。


 いざという時は屋敷に火を放って逃げようとも思っていたが、村長の息子の友人という事実に嘘偽りはないからして、簡単な監視付で拘束は解除になった。

 ただ念のため1、2ヶ月は村を出せず、屋敷に逗留してもらうとの事。

 いい若い者がゴロゴロしちゃいかんって理由で、雑用の片付け等をさせられている。


 美術部の連中はブーブー言っているが、私の方は願ったり叶ったりだ。

 早速セバスチャンに学校等へ連絡させて、此処に居座る事にした。

 屋敷中、大手を振って歩き回れるのだ。

 仕事の合間、隅々調査し放題。


 ほどなく庭に書庫の様な蔵があるのを発見した。

 おそらくビンゴだな。



 驚いた。

 旧エルフ年号なとこを見ると、初代椀子椀太夫(わんこわんだゆう)の本に間違いない。


 うひょ~! 本物のワンコさんだ!

 私はトラさん派だが、大好きな物語に出てくる人物本人の直筆本っ。

 すごいお宝発見したぞ。

 うおおお、テンション上がるうっ。


 おっと違う、そうじゃない。

 落ち着け私。

 杖だ。杖の記述だ。あるのか?

 タイトルが導源公記、これどう考えたってドゲン公記だろう。

 絶対これに載っていそうだ。婆さんの作り話でなきゃ。


 あった! ドゲンの杖……

 変化へんげの杖にて、何人なんぴと全て、あらゆる、変化す……

 竜王山に……封印し……

 これだ! 

 あの話は実話だったんだ!


 私は勿体無いが数ページをなるべく綺麗に破り、元の場所に本を戻した。

 よし!

 この村にはもう用はない。が、念の為にこの書をしっかり読んでからズラかろう。

 取りこぼしがあるといけない。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 良かった、読んでおいて。

 所々読めなくなってはいたものの、重要な部分は分かったと思う。

 杖の能力と、封印した竜王山の守備についてだ。

 子孫に対して書いた注意書みたいなものだろう。

 

 やはり婆さんの書斎で調べた時に見た結界を張っている様だ。

 そしてゴーレムが十数体。

 かなりの戦闘力で、奥に行くほどに強くなるのだとか。


 杖は変化の能力で、あらゆる者が何にでも変身出来るみたいな感じらしい。

 変化した人物の持つスキルや魔法も使用出来る様なので、たしかに使い方によっては世に混乱を起こし得る。と思う。


 だが一番に、さっさと脱出せずこの覚書おぼえがきを読んでおいて良かったのは、結界が私では解除出来ないという事が分かったからだ。


 どうやら私では血が薄いらしい。

 まあ、4分の1だからな。

 結界の近くまで行ってみたが、感覚で無理だと分かった。

 同時にゴーレムも無力化出来ないって事になる。


 この書にある前後門の鍵を揃え、装備も整えて挑まなければならないな。

 これはカヨちゃんにも相談せねばなるまい。

 作戦立案は彼女に並ぶ者がいない。

 ナツキとミチにも協力してもらうかもしれん。


 ワンタロウ君には悪いが、もうひと働きしてもらうとするか。

 派手に失恋の修羅場でも演出して、騒ぎの合間にカヨちゃんと鍵を頂戴って感じかな。

 作戦はカヨちゃんに考えてもらうが、少なくともミチは参加だ。

 ナツキは無理だろうな。

 ナツキにワンタロウ君を追い詰める様な真似は狙って出来ないだろうし。


 ははは、事が全て丸く収まったら、ワンタロウ君には相当お返ししないといけないな。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 ヒトゥリ様、どうですか?


「ちょっと! 何この人!」


 いやあ、大変ですねえ。


「全部自分の好き勝手やってんじゃない!

 覚書も大事なとこ破っちゃってるしっ」


 そ、そうですよね。


「てか、前から思ってたけど、すごい偉そう。

 何様だっつーの」


 ……で?


「で?

 で、何よ」


 ええっ! 気付いてないっ!?


「ええっ! 何が!」


 結界の解除が出来なかったって残念がってませんでした?


「ああ、血が薄いとか何とか」


 何の血だよ! 何のクオーター美女だよ!


「え? ああっ! 

 エルフだ、しかも王族!」


 そこ一番に食いつくとこでしょ、王女さま。 

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ