76.謝罪
「もしかして、緋和の妹の……市禾ちゃん?」
「はい! 憶えていてくれたんですね。」
「もちろん。緋和は市禾ちゃんが来たときは楽しそうだったから。で、緋和の様子見に行くの?」
「うん」
「じゃあ私は帰るね。さっき緋和とも話したし。お医者さんたちに迷惑かけちゃ駄目だよ、夏目。また来るよ」
「またね!」
バイバイと手を振って帰っていった七生ちゃん。相当久しぶりに会えて緋和ちゃんも嬉しかっただろう。夏目ちゃんも嬉しそうだった。
「じゃあ行こうか」
――フリールームの椅子に緋和ちゃんは座っていた。ドアには背を向けているため、緋和ちゃんの表情を見ることはできない。
「緋和、ちゃん?」
返事は、ない。
「……ごめん。叩くことは、なかった……。」
しばらくの沈黙は緋和ちゃんの謝罪で破られた。まさか、謝られるとは思ってもいなかったから驚いた。
「そう、だよ……! みんな、私を悪者みたいに……。」
「みんな……?」
「うん、夏目ちゃんも先生だって。」
「春上、先生が……? そんなはずない、先生があなたを悪者として扱うわけない。」
緋和ちゃんは春上先生に多大な信頼を置いているように思える。




