68.他人の迷惑
――緋和ちゃんは、いろいろな体験をしたのだろう。でも、私は今回が初めてで、もともと病院も嫌いなのに緋和ちゃんのように強くはとてもなれない。
「市禾ちゃんはまだ小さかったから憶えてないかな……?」
「あんまり……。顔はしっかりと思い出せないけど、でも百萌さんと七生さんのことは憶えてます。本当にいい人たちだったと思います。」
「うん、あの二人は本当にいい子たちだった。彩ちゃんは話を聞いてどう思った?」
「……やっぱり緋和ちゃんって分かんない。入院は痛いし怖いし逃げたいって思うもん! なのに……叩かなくたって。」
「なんも分かってないじゃん、緋和の話も聞いたのに。」
部屋に入ってきた夏目ちゃんはそこで足をとめた。
「入院はきっと終わりが来る。西尾さんだって例外じゃないでしょ? だったら家に帰れる日を待っていればいい。その方が自分自身もお医者さんたちにとっても絶対にいい。なのに、なんでわざわざ迷惑をかけてまで脱走なんてするの?」
「早く帰りたいからに決まってるじゃん!」
「……別に緋和みたいに端的になれって言ってるわけじゃない。私だって緋和みたいになんてなれない。でも自分が早く帰れるなら他人の迷惑なんて関係ないって、そういってるんだよ西尾さんは」
年を越す前に投稿致しました。いつもとお時間変わってしまい申し訳ありません。
そしてこの小説を投稿して一年と少し経ちました。
これで今年最後となってしまいます。来年も更新を続けていくので見ていただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
八瀬




