65.手術
その後、緋和ちゃんはお父さんが来てくれたようで僕としては一安心だった。市禾ちゃんと一色くんも一緒なようで良かったんじゃないかと思う。
勿論、お父さんと唯木先生には緋和ちゃんが泣いていたことを伝えた。お父さんは何というか寧ろ納得すらしていた。そしてお礼まで言われてしまった。
唯木先生もやっぱりか、と。息抜きや自分の気持ちを言うのが下手な子供はよくいる。長年やっていると緋和ちゃんのことも予想できたのだろう。
しばらくして検査の時と同じような手段で手術室まで行き、手術が始まった。
意識を失った緋和ちゃんが次に目を覚ますのは数時間後。それに目を覚ました時にはもうPICUの中だ。そして一般病棟に戻った時、部屋は変わる。百萌ちゃんや七生ちゃんとは会えない確率が高いだろう。
手術自体は特に問題なく、終了した。術後しばらくすれば割と普通に生活はできる程に回復するだろう。
その代償か、緋和ちゃんの体には首元から約5センチのところから下に約20センチ近くまで続く傷跡が残った。この傷をつくったのは僕ら医者だ。成長につれ薄くはなるだろうけれど、完全になくなることは「絶対に」ない。女の子なのに体に傷をつけてしまって本当に悪いことをした。
目を覚ました緋和ちゃんは予定通りPICUに入れられ食事はもちろん、水分も制限がかかった。
また、制限のある短い面会時間の中で緋和ちゃんのお父さんは必死に病院に訪れてくれた。緋和ちゃんの好きだというジュースを持ってきている日もあって、一般病棟にいた時よりも体重が落ち、気力もなくなってきた緋和ちゃんが唯一楽しみにしていることのように見えた。




