59/91
59.衝撃
「大丈夫? 吐いてもいいんだよ。」
声をかけても緋和ちゃんは小さく首を振って嫌がるだけで一向に吐く気はないらしい。
それどころか、何度も嘔吐いていて見ているだけでつらかった。
「緋和ちゃん、無理しないで……緋和ちゃん!」
すでに瞳からは涙がわんさか溢れている緋和ちゃんに思わず声を荒げた。
すると肩をびくっと震わせ、そして堪えきれなくなったようだった。
「どうしたの? 緋和ちゃん」
今まで嫌がることなどあまりなかった緋和ちゃんが嫌がっている姿があまりにも衝撃的だった。
「……ごめんなさい。」
小さく幼い声でそれだけをつぶやいた。それ以上は口を閉ざし何も話そうとしない。
「大丈夫だよ。だけど……何が嫌だった?」
やはり何も話さない。
「…………とりあえず、口ゆすぎに行こうか。」
喋ってくれなさそうなので、とりあえず諦めることにした。
緋和ちゃんをベッドから起こして車いすに乗せて水場へ運んだ。




