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LIAR・TEAR ~ライアー・ティア~  作者: 八瀬蛍
第一章 彩と緋和の出会い
53/91

53.「すぐ戻ってくる」

「緋和ちゃん、ちょっと持ち上げるよ~」

一声かけてから緋和ちゃんを持ち上げ、ストレッチャーに寝かせた。

やっぱり緋和ちゃんは軽い。

神原一家はみんな心配そうな顔をしている。

「緋和……。」

 なんて声をかけたらいいのか分からないのだろう。これから全身麻酔をして検査に挑む娘への言葉……。

「大丈夫。すぐ戻って来る。」

 緋和ちゃんは軽く笑った。

 市禾ちゃんはイマイチ状況が分かっていないようだったが、心配そうな顔をしている。

 一色くんは――。なんともいえない表情。

 先ほどお父さんが言っていたことを思い出した。……緋和ちゃんとの距離が掴めていない。

 なんとなく意味が分かった気がする。


 ごろごろガラガラと小さなストレッチャーの車輪の音が廊下に響く。

 病院でストレッチャーに乗っている人なんて珍しくもなんともない。

 実際、僕だってストレッチャーに乗っているような患者さんを相手にしたことだって何度もある。

「じゃあ、緋和ちゃん、これ吸ってね。犬見先生、用意は?」

 検査室に入り、検査台に緋和ちゃんをのせてから、酸素マスクをつけた。

「できてます。」

「お願いします。」

「緋和ちゃん、刺すよ」

 犬見先生がそう言うと、また小さく頷く緋和ちゃん。それを確認して犬見先生は消毒をしてスッと針をいれた。ちゃんと流れるか水をいれて確認。そして、確認したあとに点滴へつなげて数十秒。


            緋和ちゃんの意識がなくなった。


《用語》

・ストレッチャー

動けない怪我人や病人を搬送するための道具

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