51.当日
その後犬見先生との話も終わり、日付も変わってもう今日が検査当日。
「おはよ~緋和ちゃん」
「おはようございます」
緋和ちゃんのお父さんは九時頃いらっしゃると聞いている。
「調子はどうだい?」
「問題ないです」
僕が緋和ちゃんのベッドに行ったのは七時。もう既に看護師たちは今日の検査の準備をするため頻繁に四〇一号室を出入りしていた。
もちろん検査室まで緋和ちゃんを運ぶためのストレッチャーも用意してある。部屋の前にあった。
「そっか。もう少ししたらお風呂入ったり点滴入れたりすると思うけど、リラックスしたら、気づいたら終わってるはずだから大丈夫だよ~」
「はい」
まるでロボットのように淡々と短調に言葉を発する緋和ちゃんを見ていると、先日笑っていたのが嘘のようだ。
「まあじゃあとりあえず検温しよっか~」
三十五度六分、相変わらずだ。
看護師はみんな忙しそうだったが、守山さんに採血の用意を頼んだ。
でも検査の準備は進めてもらわないといけないので、今日は僕がやることにした。
「はい、ちょっとチクっとするから目、瞑っててね~」
言われた通りにギュッと目を閉じる緋和ちゃんはなんとなく、子供だった。いや、子供なのは確かなことだけれど。
「はい、終わり!」
十分な血液を採り、絆創膏やら駆血帯を外すやらの処理は手早く済ませ、器具と血液の入った瓶を守山さんに渡し、一旦緋和ちゃんの部屋から出た。
九時ごろ。
「失礼します、おはようございます」
そういって病室へ入っていく唯木先生の後を追って部屋に入った。
「あ、おはようございます。先生方」
「おはようございます、今日はよろしくお願い致します。」
「こちらこそ。」
今日も市禾ちゃんを連れているお父さん。
緋和ちゃんも寝起きと何ら変わりない様子でベッドに座っていた。
「じゃあ、緋和ちゃん。ちょっと僕にも、お胸の音聞かせてね~」
唯木先生は緋和ちゃんに聴診をした。
「うん、おっけい。じゃあ、お父さんもいらっしゃることですし、術前の処理と術後について話を進めさせていただきます。またいつものところに行きます。」
緋和ちゃんもベッドから立ち上がり、先を歩く唯木先生について行った。僕はその隣を、歩いて行った。
唯木先生と僕は、検査前のお風呂、麻酔の注入時の話。そして、検査後、動けない時間のトイレの方法などを詳しく話した。




