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LIAR・TEAR ~ライアー・ティア~  作者: 八瀬蛍
第一章 彩と緋和の出会い
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夜の発作②

「彩ちゃんッ!!」

 しばらくして春上先生が入ってきた。目の下に隈がある。看護師の電話ででも起きたのだろうことは予想ができた。

「ネブライザー用意! あと……点滴」

 酸素マスクを口に付け、背中をさすられてベッドにいる彩に看護師が二人と春上先生がいた。ネブライザーを持ってきた男の看護師。それを春上先生は受け取ると彩の酸素マスクをとり、ネブライザーを代わりに付けた。

 初めてのネブライザーに彩は、少し嫌がる素振りのようなものを見せたが、発作のせいで自分ではどうすることもできずネブライザーを素直につけられていた。

「大きく吸って~はいて~」

 春上先生の声に合わせて息をする彩。しばらくすると苦しそうだった顔は少しマシになったように思える。そんな中、別の看護師さんは春上先生に指示されたように点滴を持ってきていた。

「ん~んん~!」

 ネブライザーがまだついているっていうのに、彩は点滴に明らかな嫌がりを見せた。

「彩ちゃん! ちゃんと息吸って。はい、吸って~はいて~」

 彩は春上先生に少し怒鳴られたことで、また吸ったりはいたりし始めた。でも、彩の目は確実に点滴の方を見て、凄く気にしていた。

「はーい、ちょっとチクっとするからね~」

 看護師はアルコール消毒シートで彩の腕をサッと軽く拭きながら言った。

「ん~んんんん~!」

 やはりどうしても嫌なようで、彩は点滴を拒んだ。そんな彩を見て春上先生はネブライザーを押さえている手とは反対のもう一方の手で、彩の目を隠した。

 その様子をみた看護師は、そのタイミングで彩の腕に針を刺し、手早くとめて手を離した。

「はーい、もう終わりですよ~」

 看護師さんは笑顔で彩にそう言ったが、彩の目には涙。

 彩が本当に点滴を嫌がっていることは、その場にいる誰もが分かっていた。


☆用語☆


『ネブライザー』

喘息などの喉や器官の病気の際、薬液を霧状にし、鼻や口から吸収させるための装置

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