検査まであと二日
《用語》
・シャーカステン
医療や工業的な非破壊検査においてレントゲン写真、MRIフィルム等を見る際に用いる蛍光灯等の発光を備えたディスプレイ機器。
すぐそこにはもうB病棟へ入るドアが迫っていた。今日は緋和ちゃんと緋和ちゃんのお父さん、僕、唯木先生の四人で話をする。もちろん検査についての話だ。
コツコツと廊下に響く靴の音。診察室から聞こえる子供の泣き声。もう聞きなれたのは僕だけじゃない。緋和ちゃんもそうだろう。
「失礼します」
緋和ちゃんたちの部屋の前まできた。
「春上先生、唯木先生。ご無沙汰しております。」
少しぶりにみる緋和ちゃんのお父さんの顔。緋和ちゃんの表情も心なしか明るい。
「こちらこそ。緋和ちゃんもこんにちは。」
「こんにちは、唯木です。直接お会いするのは三度目ですかね。お忙しい中、ありがとうございます」
「いや、わたしが仕事ばかりで本当に申し訳ありません。」
「では本題に入るとしましょうか。診察室の方へ行きましょう」
集団の部屋だとこういうプライバシー保護のために起こさなければいけない行動がある。確かに他の人には聞かれたくことも多いだろう。
診察室に着くなり唯木先生はX線写真をシャーカステンに留めた。
先ほど、僕らが行く前にX線検査と心電図をとってきてもらっていた。少し問診も、超音波検査も行って、二日後の検査こともより詳しく話すだろう。
きっと緋和ちゃんには理解しきれないこともあるかもしれないが、寧ろ全て理解しているよりいいかもしれないとすら僕は思った。
全てをきっちり理解して検査や手術に臨めば、恐怖なんかがストレスになり影響が出かねない。それならば大まかな内容だけを知っていた方がいいと思った。
「これが先ほど撮ってもらったX線の結果です。二人で来てもらって悪いのですが、少し緋和ちゃんは席を外していただきたいと思います。よろしいですか?」
「はい」
緋和ちゃんのお父さんは緋和ちゃんにあまり聞かせたくないことを話すので席を外してもらいたいという意図に気づいてか、ただただ唯木先生の指示に従ったかは分からない。
「守山さん」
たまたま診察室の前を通った看護師の守山さんに声をかけた。
「はい」
「今、少しこっちの手伝いできないかな?」
「大丈夫ですよ」
唯木先生は守山さんに簡単に事情を説明して、緋和ちゃんの相手をしてもらうことになった。
緋和ちゃんと守山さんが診察室を離れたのを確認して唯木先生はまた話を始めた。
そして、次々更新で《50話》になります!
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