年相応
それでさっさと病室を出た。そのとき丁度、木原さんのベッドにも巡回が来ていた。カーテンの閉まったベッドから橋場の声が聞こえた。木原さんの担当は橋場だったのか。
僕と彼は、年齢が一緒。僕は今年からこの病院に来たが、彼はこの病院で研修期間を終えて、そのままこの病院にいる。
この病院にいる長さは彼の方が上だが、医者歴としては変わらず、また専門分野も似ているため、仲はよい方だ。
次の日の朝、僕はまた同じ時間に四〇一号室へ向かった。
「おはよう」
「おはようございます」
少し目の下に隈があった。それに、やはり朝が弱いのか昨日と同じように目をこすり、元気もあんまりない。
「眠れなかった?」
「そんなことは……」
そこで言葉を切ったのが気になったが、まだ様子を見ることにした。
「そう? じゃあ、まず検温ね~」
相変わらず低体温な緋和ちゃん。
「三十五度六分だねえ」
やはり体温が低いのは運動ができないために部屋にほとんどこもっているからか。いつか三十六度後半くらいまで体温が上がるようになればいいと思う。
「じゃあ、また採血するからね~」
自分のいた場所を看護師に譲り、昨日同様、採血をした。何も言わないが少し強がっていることは様子で分かった。肩が検温のときに比べ上がっている。緊張している証拠だ。それに、血を採っている手とは反対の手には力が入っているのが見て分かる。やっぱり年相応に怖いのだろう。
「よし、じゃあまたお胸の音聞かせてね~」
異常は元からだが、その点を除けば異常なし。そしてまた病室を出た。




