当時六歳の緋和ちゃん
――あれは、僕がこの病院に来て間もない頃。初めての担当になった患者が当時六歳の《神原緋和》だった。
「こんにちは~僕が今日から君の担当になった春上准です。よろしくね」
「よろしくお願いします。」
随分としっかりした子だなぁ。まだ六歳のはずなのに。
それから何度か緋和ちゃんの担当医として接して、早半年が経ったころだった。半年経っても緋和ちゃんの印象は何一つとして変わっていない。ただただ強い子、そんな感じだ。
「緋和ちゃん、いきなりで悪いんだけど夏休みから入院が、決まったんだ……」
いつも通り、心電図とエコーを終えてから僕は彼女にそう切り出した。緋和ちゃんの身体は結構、弱っていて現状、走ることはおろか歩くことだって長いことだと同世代の子の数倍疲れてしまう。
これ以上、心臓に負担はかけられない。それがこのタイミングだった。
この年で、手術を受けるというのは、身体に負担をかけることになる。それでもやらなければならないものなのだ。今の弱弱しい緋和ちゃんを見ると心が痛む。
「はい」
「…………え」
あんまりスラっと受け入れられ、驚いた。
もう少し「嫌だ」とか「怖い」とかそういう発言をしてもいい年ごろなのに。でも、これは今に始まったことではない。出会ったときからまだ一度も「嫌だ」「怖い」などの言葉を言われた覚えがないのだ。
「……じゃあ、当日はここの外来じゃなくて入院外来の方の受付に行ってね」
「はい」
「当日は手続きもあるのでお父さんもご一緒していただきたいのですが。」
「いつもすいません、自分が忙しいばっかりに」
緋和ちゃんのお父さんはいつも忙しそうで、緋和ちゃんを病院に送って受付をしたら、緋和ちゃんだけを残して仕事に向かって行った姿も見たことがある。
でも、いつも緋和ちゃんのことを考え、心配しているのは凄く伝わってくる。いいお父さんだと思う。




