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何、してるの
やっと扉が見えたのだ。少し入院していただけなのに彩にとっては凄く久しぶりの外を見た気がしていた。
警備の人が二人。小さな窓から外の様子を見ているようだった。
でも、その警備はそこまで警戒していない。堂々としていれば、脱走とは思われないと彩は考えた。
警備の人たちのことを気にしつつ、外に出ようと一歩踏み出したとき、誰かが彩の手を掴んだ――。
病院からの脱走なんて今初めて考えて、初めて実行に移した彩だったため、病院から外へ出るためのドアまで来るのに人目を気にしすぎて約三十分もかかってしまっていた。
それが、医者や看護師たちが彩を見つける時間となったのだからよかった。
「彩ちゃん!」
引かれた腕の方から聞いたことのある声が聞こえ、彩は振り返った。
「せ、先生……」
そう、彩の手を引いたのは見たことのないほど怒った顔をしている春上先生だったのだ。
「何、してるの?」




