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あった……
食欲は意外とあり、朝も昼も食べられた。
緋和ちゃんも昨日はどうだったか分からないが、今日は食べていた。……全部ではないが。そして朝の先生の話を思い出した。
『昨日の話は早く決めたいから、またお昼頃来るね~』
またあの話をされる。どちらも嫌だし、怖い。嫌だ嫌だ。
そろそろ先生が来てしまう。逃げなきゃ。咄嗟にそう思った。
心晴ちゃんもいないし、緋和ちゃんはトイレで夏目ちゃんは寝ている。最高のタイミングだと思った。
――彩はまだ少しだけ高い熱の身体を動かして、入院病棟を出て、一般病棟の方まで行った。
彩のように入院していると思われる点滴をしている人なんかもたくさんいて、絶対にバレないと彩は思った。
売店の横を抜けて、郵便局を抜けて、廊下を歩いて、レントゲンの受付の前を通って、エレベーターの横を抜けた。
そんなに距離は歩いていないが、バレないか……という不安からか彩は中々、外に出る扉までたどり着けない。
「あった……」
彩は思わず声をもらした。




