大きな決断
「で、本題なんだけど近いうちに、МRIっていうのを撮ろうと思うんだけどね」
МRI? 聞いたことはある。でも聞いたことしかないから怖いのか、痛いのか分からないのがまた怖い。
「やだ」
本能がそう言っていた。何か嫌なことをする……咄嗟にそう思った。
「別に点滴をするくらいで、寝てるだけだよ~?」
「やだやだやだやだ」
「じゃあ、もっと痛いことすることになるけど……そっちがいい?」
先生はずるい、いつもいつも。わたしが痛いのを望むはずがない。でもどっちも嫌だ。
「やだやだやだやだやだ!」
「点滴するか、注射するか……かな。どっちがいい?」
「どっちもやだぁぁ」
わたしはママの前だっていうのに泣いた。でもママの前だとかそんなことを気にしてはいられない。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。もう頭にはそれしかなかった。
「――今日、直ぐに決めるのは無理かな。お母さんはどうですか? МRIを撮るか、さきほど話したことをするか。」
「わたしは……彩にはなるべく痛いことはしてあげたくないです」
「それはわたしたち医者と同じですね。」
ニコっと笑ってママと話している先生。全然笑えない、すごく怖い。どちらもやりたくない、もう帰りたい。
その日はわたしが決断を下しそうになかった、ということでママは帰ってしまった。




