嘘つき
せっかく頑張ったのに戻してしまった。それもそれで辛くて、もう本当に嫌になった。帰りたい。それに何だか、少し呼吸もしづらい。ベッドでつらくて、ゴロゴロしていると先生が来た。
「どう? 食べれた?」
「う…ん」
「息できてる?」
「……つらい……」
その言葉を聞いて、先生はなにやら看護師さんを使って発作起したときに使っているマスクを持ってこさせた。
「夜やったの記憶あるかな? 吸って~はいて~吸って~はいて~」
先生の言葉に合わせてわたしは息をした。先生が背中を優しくさすってくれているからか、少し呼吸が楽になった気がする。
しばらく、大体五分くらいだろうか。マスクで呼吸をし、終わった今は先ほどとは比べものにならない程、楽になっている。
「まだつらい?」
「多分、平気」
「ご飯は?」
「大丈夫」
嘘だ。本当はほとんどもどしてしまった。食欲も朝よりないかもしれない。
「春上、先生」
先生を呼んだのはわたしでも看護師さんでもなく、緋和ちゃんだった。
「なに~?」
「西尾さん、さっき、もどしてた」
ガラガラの声でいらないことを言う緋和ちゃん。せっかく黙っていれば点滴をしなくて済んだのに、余計なことをしてくれた。
「本当? 彩ちゃん」
逃げられなくなってしまった。
「吐く方が、つらい、と思うけど」
また緋和ちゃん。でも確かにそうだ。吐くのは体力を使う、それをご飯のたびにやるのは辛すぎる。




