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LIAR・TEAR ~ライアー・ティア~  作者: 八瀬蛍
第一章 彩と緋和の出会い
21/91

ちょっと熱い……

「彩ちゃん~元気?」

やけに今日は先生がよく来る。暇なのか?

「あ、今僕が暇なのかって思ったでしょ」

ズバリ言い当てられて返す言葉を失った。

「まあ、昨日に比べれば今日の方が忙しくはないかな。で、調子はどうだい~?」

どうやら体調の心配はしっかりとしてくれているようだ。そんなに心配しなくたって全然発作は平気だし、別に検査~とか言われてないんだから逃げる気も甚だない。

「別に、普通」

「だーかーらー普通じゃわかんないって言ったでしょ~?」

「普通は普通なんだって」

「はあ。じゃあどっか痛いとこはある?」

先生はため息をついてから少し呆れた様子で聞いて来た。だって普通なんだもん。わざわざ取り立てて言うような変わったことなんてなかったし。

「特には」

「じゃあ、体温は?」

「朝以来測ってないからわかんない」

「よし、じゃあ測ろうか」

「やだ」

「どうして?」

「どうしても」

何か、少し自分の手が熱い気がして、体温を測るのが怖くなった。

もしこれで熱があれば、きっとまた痛いことをされてしまう。そう考えたらとてもじゃないが体温なんて測りたくなかった。

「いいから~ちゃっちゃと測っちゃうよ~」

先生はわたしの抵抗なんて無視で体温計を用意した。

「はい、これ挟んで~」

「やだ」

「測んないと先生ずっとここにいちゃうよ」

「……。先生、ずるい」

「はい、挟んで」

先生がずっとそばにいる日常なんて考えられない。辛すぎる。

体温は――三十六度九分。いつもより少し高い。

「うーん、ちょっと高いかなぁ?」

「そ、そんなことない! わたし平熱高いの!」

わたしの平熱は大体、三十六度三分くらい。そう考えれば対して高くないように思える。

「まあ、三十七度くらいだったらちょっと考えるけど……とりあえず様子見かな。看護師さん、定期的に来させるから素直に測ってね~」

とりあえずは先生がずっとそばにいることはなさそうだ。よかった。でも体温を一日、定期的に測るなんて面倒だ。あまり気のりはしない。まあ、体温を測るのに気が乗るも乗らないもないと思うが。

「じゃあね。自分で熱上がった……とか思ったら、ナースコール押しちゃって構わないから」

そう言って先生は出て行くのかと思ったら、緋和ちゃんのベッドへ行った。

「緋和ちゃん、大丈夫?」

その一言を最後にわたしのベッドからじゃ会話は聞こえなかった。


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